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第二章【Train of equipment-備えの列車-】

  1. 名前: 歯車の都香 2019/03/27(水) 19:11:02
    第二章【Train of equipment-備えの列車-】


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    列車の旅の悪いところは、相性の悪い奴と一緒になったら同じ空間に居続けないといけないことだ。

    それも含めて列車旅なんだけどな。

     

                       ――著:エディー・マーティン『ぶらり途中乗車の旅』より抜粋

     

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    次の停車駅であるフートクラフトが小さく見えてきたのは、スノー・ピアサーがジャーゲンを出発してから、四時間が経過した頃だった。

    そそり立つ巨大なクラフト山脈の姿はすでに乗客たちの視界を埋め尽くし、見上げなければ山頂を見ることもできないぐらいだ。

    山頂付近の風が強いことを示すかのように、山肌から湯気のように雪が虚空に流され、どこかへと消えていく。

    その様は幻想的であり、魅惑的な何かがあった。

     

    毎年多くの死者を出しながらも、登頂せんと挑む人間が途絶えないのはそうした姿にこそあるのだろう。

    その圧倒的な姿から登山家達からは“世界を隔てる壁”と呼ばれ、フートクラフトの人間たちからは“天国への階段”と呼ばれている。

    確かにどちらの呼び名もクラフト山脈を的確に表現していた。

    クラフト山脈を越えれば西の街に行くことができるが、この山脈がある以上、人間は遠回りせざるを得ない。

     

    世界を東西に分断する最大の壁が、このクラフト山脈なのだ。

    この山を登れば、間違いなく寿命を縮め、天国もしくは地獄という名のついた死地に階段を上るようにして旅立つことができる。

    スノー・ピアサーはクラフト山脈沿いに新たに線路を敷き、山脈を最短距離で越える道を確保することに成功したのである。

    線路を敷く作業は危険と困難を極め、構想から十年以上の歳月を要することになった。

     

    だが逆に、十年以上の年月をかけることで、人は無謀とも言える作業を完遂させることが出来たのだ。

    今日までその道の詳細は伏せられており、徹底した情報統制がなされたのだと分かる。

    それを実現するためには労働に参加した人間たちが仕事に納得し、誇りをもって従事していなければならない。

    エライジャクレイグの市長トリスタン・トッド・トレインは、そのことをよく理解した人間なのだろう。

     

    (∪´ω`)「おおきいですおー」

     

    ブーンは徐々に近づくクラフト山脈を見上げながら呟き、圧倒されている。

    彼がこれまでに見てきたあらゆる物の中で物理的に最も巨大なものが、今、眼前に広がっている。

    あまりにも巨大すぎるため、近づいているという実感があまり沸かないが、四時間前と比べればその大きさは歴然としている。

     

    ノパ⊿゚)「ほんとにでけぇな……」

     

    ブーンを膝にのせて同じように山を仰ぎ見るヒート・オロラ・レッドウィングも、同様の感想を口にした。

    紅茶を一口飲み、デレシアもクラフト山脈を仰いだ。

    世界最大、最長の山脈。

    その姿は昔も今も、まるで変わることがない。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「後一時間ぐらいで着くから、それまでに服を見ておきましょうか」

     

    季節は夏だが、この辺りの気温は昼でも十度未満が基本で、夜になれば氷点下になる。

    車外に出ることがなければいいが、列車旅においてそれは不可能に近い。

    そのため、スノー・ピアサーのラウンジ車で冬服販売が行われるとのアナウンスがされており、フートクラフトに到着する前に各々の服のサイズを見ておきたかった。

     

    ノパ⊿゚)「見るってことは、ここで買うのか?」

     

    デレシアは頬に指を当て、少し考える仕草をした。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「いいのがあればね。

          でも、買うのならここではなくフートクラフトにしたほうがいいわ。

          多分、車内販売の服はデザイン重視だからいいのが少ないと思うから」

     

    ノパ⊿゚)「そっか。 しかし、夏に冬服を買うってのも変な感じだな」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「シャルラの人にしてみたら、夏と冬の違いは日差しの強さぐらいだもの。

           地域によって、季節の考え方も対策も違うのよ」

     

    三人が着ているローブもある程度の防寒には役立つが、ある一定の寒さを超えた時には力を発揮できない。

    そのため、保温に特化した衣服を下に着ておかなければこれから向かうラヴニカでは凍えることになる。

    もしもいい品があれば買うが、あまり期待はできないため、ここではサイズを測ることが目的だ。

    紅茶を飲み干して、デレシアはゆっくりと立ち上がる。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、行きましょうか」

     

    ブーンはヒートの膝から降り、ヒートに手を貸す。

    その小さな手を掴んで、ヒートも腰を上げた。

     

    ノパー゚)「よっしゃ、行くか」

     

    (∪´ω`)「おー」

     

    三人は身なりを整え、毛足の長い赤い絨毯の敷かれた廊下に出る。

    デレシアたちが利用している特別寝台車とラウンジ車輛は隣接しており、その一つ先には食堂車がある。

    利便性は他の寝台車に比べて抜群に良く、流石に高額な券で売り出しているだけの価値はある。

    貨物車などを除き、スノー・ピアサーに寝台車は合計で十二輌ある。

     

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    その内、特別寝台車は四輌。

    特別寝台車は前よりと後ろより、それぞれ二輌ずつ食堂とラウンジ車輛を挟む形で配置されている。

    金額から考えても利便性のいいその配置は妥当であり、当然と言えた。

    通常の寝台車一輌に対し、最大二人が宿泊できる部屋が四つあり、八人が一輌を共同で使うことになるという点を考えれば特別寝台車の金額も納得がいく。

     

    デレシアを先頭にラウンジB車輛の札が付いた車輛に入ると、半分ほどのスペースにハンガーラックにかけられた衣服が並んでいた。

    衣服はどれも冬用のそれと分かるものばかりで、夏用のものは見当たらなかった。

    ファーのついたコートや皮の上着が並び、乗客たちがグラスを片手に品々を物色している。

    広いラウンジ内にはざっと見て三十人はおり、皆、服を見ていた。

     

    ノパ⊿゚)「結構良さそうな服だけど案外安いな」

     

    近くにあったハンガーラックを見て、ヒートが感想を口にする。

    手に取れば分かるが、使われている皮は合皮ではなく本物だ。

    にもかかわらず、値段は市場に並ぶよりも安価である。

    生産地の記載を見て、その理由に察しがついた。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「そうね、多分さっきジャーゲンで仕入れてきたんでしょうね。

          でもやっぱり、防寒性能よりもデザイン重視のものが多いわね」

     

    ジャーゲンが流通の中継点であるということは、多くの品が店頭に並ぶ前の段階で買い付けが行えるということだ。

    輸送費を抑え、間に入る業者が減ることで安価に仕入れ、更に客の性別や年齢は乗車名簿を見れば一目瞭然である。

    無駄のない仕入れを行うことで在庫のリスクも減らす、実に賢いやり方だ。

    ただ、品物の質自体は悪くないが、性能については微妙だった。

     

    シャルラが近くなると寒さだけでなく、風との戦いにもなる。

    ここに並んでいるものは保温が出来ても防風対策が完ぺきとは言えなかった。

    屋外において防寒と防風は切り離して考えることが難しく、安易な考えで選ぶことはできない。

    いい加減な装備で北の大地に行けば待っているのは凍結だ。

     

    スノー・ピアサーはこれが処女運行になるため、実際にクラフト山脈を突破できるかは確認されていない。

    信頼しないわけではないが、今彼女たちが置かれている状況を考えれば、この列車がティンバーランドに狙われないとは限らない。

    万が一緊急停車を余儀なくされたり、動力が停止して暖房器具が動かなくなれば直接手を出さずとも人を殺せる。

    念には念を入れておいても、損はしないだろう。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「気になるのがあれば試着して、大きさを見てみましょうか」

     

    まず、デレシアは子供向けの服を見ることにした。

    ほとんどが大人向けの服で、子供用の服はほんのわずかしかない。

    手堅そうな青いダウンジャケットを手に取って、それをハンガーから外した。

     

    ノパ⊿゚)「ブーン、ローブをちょっと脱いでみな」

     

    (∪´ω`)「お」

     

    言われた通りにローブを脱いだブーンに、デレシアがダウンジャケットを手渡す。

    袖を通し、ブーンは小首を傾げた。

     

    (∪´ω`)「おー?」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「大きさはどうかしら?」

     

    腕をぐるぐると回し、ブーンは短く返答する。

     

    (∪´ω`)「ふつう……ですお?」

     

    だがやはり、ダウンジャケットの欠点でもある運動性の低下は否めない。

    運動用に作られていないため、ブーンにとっては窮屈な服に感じることだろう。

    分かってはいたことだが、ポーラージャケット――極地で使用するジャケット――などの服のほうが彼には合っているはずだ。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「となると、ブーンちゃんはMサイズがちょうどいいぐらいね」

     

    それから何着か試し、サイズの確認が済んだ。

    性能的に満足のいくものはその中にはなかったが、やはり、彼の体型と動きやすさを考えた服が最適解のようだった。

     

    ノパ⊿゚)「やっぱりあんたの眼鏡にかなうのはなかったか」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「仕方ないわ、車内販売だからね。

           フートクラフトにいいのが売ってるといいんだけどね」

     

    極地に近ければ近いほど、その衣類は無駄を省き、機能に重点を置いたものになる。

    シャルラで製造されているブランドの服がその最たる例だ。

    彼らの地域に住み、働き、動くことを考えて作られた服は極寒の地で作業をする人間たちにとっては必需品となっている。

    極寒のベルリナー海でカニ漁に出る人間全員が、必ずシャルラで製造された服を着ているほどの需要がある。

     

    一度転落すれば溺死ではなく凍死するほどの海で使用される服は、世界最高の防寒性能を備えているといっても過言ではないのだ。

    事実、登山用の服を作っているメーカーも雪山などの厳しい環境下で使用される物に関しては、シャルラのものを取り入れているぐらいだ。

    世界最高峰の山の麓に住む人間たちが使用する衣類も、必然、寒さに強いものだけが自然淘汰の末に残されるのが道理。

    購入するのであれば、フートクラフトの服屋か登山用品店が最適解だ。

     

    ノパ⊿゚)「ん?」

     

    ふと、ヒートが訝しげな声を出した。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「あら?」

     

    その声に反応し、デレシアはヒートの視線の先を見た。

     

    (∪´ω`)「お?」

     

    ブーンはヒートの傍に立ち、不思議そうに二人を見上げた。

    デレシアとヒートの視線の先で車輛間にある扉が開き、そこから一人の女と男が姿を現した。

    男の服はスカイブルーの、見るからに制服と分かるそれで、肩にライフルを提げている。

    三十代と思わしきその男がスノー・ピアサーの警備員だろうことは、一目瞭然だった。

     

    |゚レ_*

     

    鋭い眼光を周囲に向けつつも、口の端を僅かに笑みの形にしている。

    その笑顔が事務的なものなのは明らかではあるが、高圧的な印象を与えないことで円滑な業務遂行に役立てようという試みが伝わってくる。

     

    (*‘ω‘ *)

     

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    もう一人の女も三十歳前半ほどの顔つきで、自分の見せ方を心得た薄い化粧を皺の入った肌に施し、灰色のパンツスーツで身を固めている。

    赤い口紅を引いた唇はその端が吊り上がって笑みの形を浮かべ、後ろで束ねたクリーム色の髪が足を踏み出すたびに上下に揺れる。

    ジャケットの下に見えた拳銃の銃把が、女がただの乗客ではないことを示していた。

    その胸元に輝く青金色のバッジは、彼女が鉄道警察“ブルーハーツ”――エライジャクレイグ独自の警察組織――の所属であることを意味している。

     

    |゚レ_*州「皆様方、お買い物中失礼いたします。

         先ほどジャーゲンから不正乗車の通報があり、皆様の乗車券を拝見させていただきます。

         ご協力をお願いいたします」

     

    円らな瞳で車内を一瞥し、女が口を開いた。

     

               motherfuckers

     (*‘ω‘ *)「さぁ、 お 前 ら  言われた通りにするっぽ!」

                マザファカ

     

    ――女のハスキーな声が、ラウンジ車輛の隅々に響き渡った。

    使われた俗語のインパクトも相まって、誰もがその声に反論することはなかった。

     

    ノハ;゚⊿゚)「すんげぇ元気のいいおばさんだな」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「……」

     

    デレシアはこの抜き打ち検査に対して、疑いの念を真っ先に抱いた。

    スノー・ピアサーに不正乗車を試みる人間がいたとして、それを知り得たのは何故か。

    そしてどうして、それがジャーゲンからの通報で発覚したのか。

    限りなく作為的なものが動いていると考え、デレシアは女の一挙手一投足を観察することにした。

     

    (*‘ω‘ *)「よし!」

     

    鉄道の人間らしく、女は白い手袋を付けた指で差し、声を出して確認を行い、乗車券と客とを素早く見比べていく。

    その手際は鮮やかで、僅か一分で車輛の半分の人間が確認を済ませ、買い物を再開していた。

    抜き打ち的な行動で生じる客のストレスを緩和する最大の方法は、迅速な対応だ。

    痛くもない腹を探られる客にとって、その時間は苦痛でしかなく、それが一刻も早く終わるのであればそれに越したことはない。

     

    その点、女は両手と目、そして足を使って素早く処理をしていき、デレシアたちに近づいてくる。

    恐らくだが、この調子でいけば検査は三分で一車輛を終わらせられるだろう。

    問題は通報者の目的とその真偽、そしてスノー・ピアサー側の考え方だ。

    三人は乗車券を取り出し、それを掲げて見せた。

     

    (*‘ω‘ *)「よし! よし! よ……」

     

    ヒート、デレシアと指差しを行い、その指と声はブーンの前で止まった。

     

    (∪´ω`)「お?」

     

    (*‘ω‘ *)「……ぬんっ!」

     

    そう言って女が指をブーンに向けると、そこに棒付きの飴が出現した。

    一種の手品だ。

     

    (*‘ω‘ *)「君にあげるっぽ!」

     

    差し出された飴をおずおずと受け取り、ブーンは礼を口にした。

     

    (∪´ω`)「あ、ありがとうございます……」

     

    (*‘ω‘ *)「よしっ!」

     

    満足そうにそう言って、女はブーンを指さした。

    そして女は全ての乗客の検査を終え、最後に扉の前で振り返った。

     

    (*‘ω‘ *)「ご協力ありがとうございましたっぽ!!

            それでは失礼するっぽ!」

     

    何事もなかったかのように車輛では買い物が再開されていたが、デレシアとヒートは背後の車輛に消えていった女を目で追っていた。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「どう思う?」

     

    ノパ⊿゚)「詳しくは分からねぇが、言えることが一つある。

        あいつは、堅気の人間じゃねぇ。

        あたしに近い匂いがする」

     

    流石はヒートであると感心し、デレシアは頷いた。

    あの女の言動は確かに素人のように見えたが、その実、足運びや目の動きが明らかに鉄道警察のそれではなかった。

    ブルーハーツは戦闘ではなく防御に特化した防犯組織であり、あの女が垣間見せたような動きができるはずがない。

    バックグラウンドがそうなのか、それとも別の要因があるのかは分からないが、警戒に値する相手なのは間違いない。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「ふふっ、やっぱり一筋縄にはいかなそうね」

     

    囁くようにしてそう言って、デレシアは微笑を浮かべたのであった。

     

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    August 14th PM03:15 ̄ ̄``¨'' -

    .      /〃~ヘ〆N i! i       `

        _ノ                 `

         '7/ /  ノ l .l  i : .       i

        レl l l l | l  l | l l i i      l

         `、ト{l |l l/レニ、}|ヽト、 iへ  l

           }{_}{ レヘ. j`   | レヘ } l

           | ノ     ̄ ≡  l |‐ノ/

    .        K___       ニ ノル'r' {

           ! `、__    ,'    ノ| |

           `、 `_'’        ル{

           .ラウンジA車輛にて――

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    サイレントマンは冬服の良し悪しについての判断が出来ないため、ワカッテマス・ロンウルフの力を借りることにした。

    果たして自分にどのような服が似合うのか、姿見を見てもいまいち分からないことが多い。

    自分自身の好みと似合う服とが一致することが稀なのだと、ワカッテマスはアドバイスをした。

     

    ( <><>)「こういうのは決まった型があって、そこに当てはめるようにしていくものなんです」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「なるほど……」

     

    ( <><>)「しかし、好きな服でなく、似合う服を着なければならないというのもおかしな話ですよね。

            服とはもっと自由でいいと思うのですが」

     

    服本来の目的だけで言うのであれば、好みの服だけでいいのだろう。

    だが服にはそれ以外の意味も付け加わっているため、そう簡単な話ではない。

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「誰のために服を着るのか、によるんでしょうか」

     

    ( <><>)「なるほど、いいことを仰いますね。

           誰のために、ですか。

           ではサイレントマンさん、貴方は誰のために服を着たいですか?」

     

    そう言われると、サイレントマンにとって服とは何かを考えなければならない。

    まず、衣服が持つ機能については言うまでもないが、それ以外の用途として服をどう見るかだ。

    彼にとって服を見せる対象は見ず知らずの人間か、目の前にいるワカッテマスしかいない。

    言い出した自分で答えが分からないというのは、実に複雑な気持ちだった。

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「……分かりません、すみません」

     

    ( <><>)「謝ることではありませんよ。

            ここに並ぶ服でいいのがなければ、次の駅で降りて探してみませんか?

            フートクラフトには実用的な服が置いてありますよ」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「実用的な服ですか。

        ここにあるのは実用的ではないんですか?」

     

    一見して暖かそうな服が並んでいるが、彼の目には違って見えているらしい。

     

    ( <><>)「残念ながら、ここにあるのはファッション用の服です。

           例えば、そうですね。

           このコートの袖口を見てください」

     

    ラックにかかるベージュ色のダッフルコートを指さす。

    こげ茶色の大きめのボタンが一つだけついていた。

    そこでようやく、サイレントマンはワカッテマスの言わんとすることを理解した。

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「あ……」

     

    ( <><>)「そう、このデザインでは袖口からの風の侵入を防げないんです。

           これはデザイン用に付けられたボタンで、意味がないんですよ。

           本来のダッフルコートは海軍で使われていたもので、ちゃんと絞ることが出来るのが基本です。

           まぁ、シャルラやラヴニカで降りなければこのコートで十分ですけどね。

     

           と、まぁそんな感じですね」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「実用的な服のほうがいいんですか?」

     

    ( <><>)「これも好みの問題ですが、ファッション性をあまり問わない服なので、余計な装飾がないんです。

           なので、着る人をあまり選ばない利点がありますね」

     

    確かに、人を選ぶような服でなければ、誰が着ても同じように見せることが出来る。

    実用重視の服ならば、少なくとも顰蹙を買うようなことはないというわけだ。

     

    ( <><>)「ところで、サイレントマンさんと呼ぶのもあれなので、あだ名で呼んでもいいですか?」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「も、勿論です。でも、僕は自分のあだ名を知らなくて」

     

    ワカッテマスは一瞬だけ目を丸くして、それから満面の笑みを浮かべ、彼の肩に手を乗せた。

     

    ( <><>)「あだ名何て言うのは、その場で付くものなんですよ。

           では、サム、と呼んでもいいですか?」

      _,

    ( ゙゚_ゞ゚)「サム、ですか」

     

    その響きは、不思議と胸に染み渡り、そして何かが足りない感覚に陥らせた。

    何かが不満なわけではないが、あと一歩届いていない。

    奇妙な不快感にサイレントマンは思わず眉を顰めていた。

     

    ( <><>)「おや、お気に召しませんか?」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「いえ、なんだか不思議な感じで。

        では、僕はワカッテマスさんを何て呼べばいいでしょうか?」

       _

    ( <><>)「そうですね……」

     

    いつもは即答に近いワカッテマスが、珍しく沈黙をした。

    腕を組み、虚空を仰いで、やがて口を開いた。

     

    ( <><>)「親しい人は、私のことを――」

     

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    AmmoRe!!のようです

    Ammo for Rerail!!

              .′       :    i |      i: . : .| ': . :. : . : . : .

               i   '   .    :i   i | :i|      |: .|i_:|__': :.:. : . : . :i

               |  ; . :    :|  . :|. :|Ⅵ       レ'´!:i|   i |:.. : : . |i

              . .i :  :   i|  . :l;斗─      丿 |,ノ   j : |: .

                 '. :| : . : !: .  ||: .|i从 . : .      ,x≠''  iV: .i

                  Ⅵ: . :: . .:|∨ i| . :       :    ´   { : | !

                从 : . :!i : . : ': .| ,,x≠       :.      lj从 }

                Ⅵ |^ヽ :| 从j'´  ´      ヽ     爪

                 弋| ( 从{                 ′     '

                  \ 乂                 ,ノ  /

                    ヽー 、          .  ´   /

                       } : .i|` .       ー ´ 第二章【Train of equipment-備えの列車-

                    丿: 从  ` : . .            . '

                     i´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ス=-- ィ´

                   〉;.;.;.,., . ; . ; . ; . ; . ; . /.;.|    /___

     

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    August 14th PM06:00

     

    そのアナウンスが車内に流れたのは、太陽が地平線の向こうに沈み、クラフト山脈をオレンジ色に染め上げる頃だった。

    紫と群青色の空には星が瞬き、牙のような形に欠けた巨大な月が姿を現していた。

    頭上に輝く星々は耳を澄ませずとも瞬く音が聞こえてきそうなほどの近さにあり、手を伸ばせば届きそうなほどの迫力があった。

     

    『お待たせいたしました。まもなく、フートクラフト。

    麓の村、フートクラフトに到着いたします。

    到着後、四時間ほど停車いたしますので、お買い物の際にはお時間にお気を付けください。

    ここから先、次の停車駅であるシャルラまでは駅がございませんのでご承知おきください.

     

    出発時刻は十時丁度となります』

     

    ゆっくりと斜面をスノー・ピアサーが登り、やがて、水平になった場所で停車した。

    窓の外にはまばらな明かりが浮かび、高層ビルなどは一切見えない。

    その明かりも不安定に揺れており、電気ではなく炎の生みだしている明かりなのだとすぐに分かる。

    発電設備が太陽光だけのフートクラフトにとって電気は貴重なエネルギー源であり、文明からは少し離れた生活が今なお続いている。

     

    だがこの土地において、その生き方はある意味で正解だった。

    大規模な発電設備を作ったところで、この土地でできることは限られており、それを必要とする生活をしていないのだ。

    彼らにとって重要なのは自然の恩恵で得られる僅かな収入であり、生活に必要な道具と食料品だ。

    気候の厳しい土地であるが故に育つ農作物は限られ、それらも美味い野菜とは言い難い。

     

    狭いコミュニティであるため、森の獣を狩猟して得た肉は村の肉屋に並ぶと、瞬く間に姿を消してしまう。

    狩人が自ら卸した肉を酒屋で食べることになるのは、普通の話だ。

    余剰な物などなく、逆に常に何かが足りない状態の村。

    輸入品は彼らの生命線でもあり、生活を支える重要なものだった。

     

    これまでは行商人が運転するトラックが一か月に一度の頻度で訪れ、積載されたコンテナから日用品を村に売り、村からはその代金として貴金属を回収していた。

    クラフト山脈では極めて希少な貴金属や太古の遺産が発見されることがあり、村の人間はそれを貨幣の代わりに使うことが多かった。

    しかしそれも、このスノー・ピアサーが大きく変えることだろう。

    敷かれた線路は何もこのスノー・ピアサー専用というわけではないため、陸路による輸送手段が飛躍的に変わることになる。

     

    ジャーゲンから北の街に輸送する際、陸路を使う運輸会社はトラックのリスクについて頭を悩ませている。

    路上強盗、持ち逃げ、そして悪天候による事故など、商品が確実に目的地に届かないことは毎日のように起こっている。

    線路は道を塞ぐものがないために渋滞も、強盗も起こり得ない。

    安全に安定した量を安定した速度で寄り道することなく目的地に運ぶという点において、列車というのは極めて便利な輸送手段だった。

     

    その途中下車の駅としてフートクラフトが選定されたことは、間違いなく、この村が大きく変わるきっかけとなるだろう。

    輸送列車が定期的に――かなりの頻度で――フートクラフトに停まることで、巨大な流通の旨味を手に入れられる。

    安定した供給と仕事、そして貨幣の獲得。

    寂れた村が数年以内に変化することは、まず間違いないだろう。

     

    小さな村には不似合いなほど立派な駅に停車したスノー・ピアサーから、デレシアを先頭にして三人が下車した。

    ブーツが白い雪を踏みしめ、小さな音が鳴った。

    雪の絨毯が敷き詰まったホームはランタンの炎に照らし出され、下車する人々に穏やかな明かりを提供している。

    人々の口から吐き出される白い息が空に昇り、消えてゆく。

     

    制服を着た駅員たちがスコップなどの道具が入ったカバンを背負い、車両の傍に屈んで作業を始めだした。

    これから向かうのは世界最高峰の山脈であり、人間の足以外では未踏の地なのだ。

    車輪に付着した僅かな雪や汚れを落とし、何かの加工作業を行っている。

    多少の時間を費やしたとしても、万全の状態で行くのは当然だ。

     

    (∪´ω`)「おー……」

     

    ブーンは雪を何度も踏み、そして、ローブの下の尻尾が激しく揺れた。

    ブーツで軽く蹴り、宙に舞った雪に声を上げた。

     

    (∪*´ω`)「おー!」

     

    ノパー゚)「雪は初めてか?」

     

    彼の手をつなぐヒートが、その様子を微笑ましそうに見つめながら、問いを口にした。

     

    (∪*´ω`)「おっ!」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「ならきっと、この先の景色も気に入るはずよ。

          さ、食事とお買い物をしましょう」

     

    乗客たちがぞろぞろと駅を出て、光に誘われるようにして村に散って行く。

    恐らく酒場や食事処は大盛況だろう。

    村中から聞こえる客を呼び込む声は、山から下りてくる冷たい風に乗ってデレシアたちのところにまで届く。

    その風は今が夏本番だとはまるで思えないほどの冷気を孕んでおり、ローブの隙間から侵入して彼女たちの体を冷やした。

     

    :;(∪;´ω`);:「おおっ……」

     

    ノハ;゚⊿゚)「さっ……むっ……!!」

     

    風がなければ涼しく感じていた周囲の空気も、僅かな時間で過酷な気温へと変化する。

    知識があっても実際の冷気に対する覚悟が足りていなかった二人は、その風に身を震わせた。

    その姿を見て思わず微笑み、デレシアは妥当な提案をした。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「服を買うのが先ね」

     

    ノハ;゚⊿゚)「あ、あぁ、そうしよう。

        これは寒い、寒すぎるっ……」

     

    :;(∪;´ω`);:「おー」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「シャルラもラヴニカも、これぐらいの気温だから気を付けないとね」

     

    ブーンはヒートの手を両手で握り、少しでも暖を取ろうと本能的に彼女に寄り添っていた。

    デレシアを先頭に、村にある服屋に向かう。

    駅からすぐの場所に、村唯一の服屋があった。

    木製の看板に彫られた服の絵が、その店が持つ役割を雄弁に語っている。

     

    扉を押し開くと頭上で鈴の音が響いた。

    店は田舎らしくこぢんまりとしていたが、商品は奇麗に陳列され、内装も整っている。

    乗客らしき人間は僅かだがその店の中におり、陳列された商品を手に取って品を確認していた。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「まずはアウターの前にその下の服ね。

          ヒートちゃん、好みとかあるかしら?」

     

    ノパ⊿゚)「動きやすくて丈夫な服がいいな。

        スカートとかは勘弁してくれ、冗談じゃねぇ」

     

    ζ(゚、゚*ζ「あら、似合うと思うわよ」

     

    ノハ;゚⊿゚)「勘弁してくれよ。

         あんなひらひら服で動くぐらいなら、ホットパンツ穿いたほうがまだマシだ。

         それにな、足が太いから絶望的に似合わねぇんだ、よく分かってる」

     

    (∪´ω`)「おー」

     

    二人の会話を聞きながら、ブーンは不思議そうにヒートを見上げた。

    彼にとってファッションはまだまだ理解の及ばない領域なのだろう。

     

    ノパ⊿゚)「ジャケットとジーンズ、あとはシャツでいいんだが、流石に寒いからカーディガンでも買っておくさ。

        後は下に着る保温用のやつぐらいだな」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「カーディガンの好みは?」

     

    ノパ⊿゚)「ハイゲージ――編み目の細かい物――が好きなんだけど、あの寒さをどうこうできるのはねぇよな」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「厳密に言えばそうなるけど、アウターがあるからそこまで気にしなくて大丈夫よ。

          列車の中で動く分には、カーディガン一枚あるだけでも違うわ」

     

    重ね着をすることを目的とするならばヒートの言うとおりだが、ポーラージャケットを購入すればその懸念は杞憂に終わる。

     

    (∪´ω`)「かーでぃがん?」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「セーターは分かるかしら?」

     

    (∪´ω`)゛

     

    ζ(゚ー゚*ζ「それにボタンが付いたものがカーディガン、って覚えておけばいいわ」

     

    (∪´ω`)「カーディガン……おぼえましたお」

     

    だがカーディガンを買う前に、まずはポーラージャケットを探さなければならない。

    店の奥にある登山用ジャケットコーナーに、それはあった。

    大人用のポーラージャケットは数着あったが、子供用のものはなく、裏地にアルミ箔が使われているマウンテンパーカーがあった。

    幸いなことに、ダウンと合わせた防寒性能の高いものであったため、それを選ぶことにした。

     

    それに、マウンテンパーカーであれば動きやすさは保証されているため、ブーンにとって窮屈に感じることはないだろう。

    視認性の高い赤と相性のいい黒のポーラージャケットを選び、買い物かごに入れた。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「ブーンちゃん、この中で何色が好き?」

     

    マウンテンパーカーは複数の色があった。

    赤、黒、白、青、黄色、果ては砂漠用の迷彩柄まであった。

     

    (∪´ω`)「おー……みずいろ? がすきですお」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「じゃあこれにしましょう」

     

    水色と群青色のマウンテンパーカーを手に取り、ブーンに試着させる。

    思った通りのサイズ感で、ブーンが腕を動かしても動きに何かしらの制限がかかっている様には見えない。

    更にその上にローブを着せ、運動への影響を見る。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「どう? 動きやすい?」

     

    (∪´ω`)「はいですお!」

     

    それからカーディガン、厚めの生地を使った黒のジーンズ、ジャケット、そして発熱素材を使ったインナーを買った。

    紙袋に大量の服を入れるのも面倒だったので、デレシアたちはアウターをその場で身に着け、その代わりにローブを袋に入れた。

    ヒートは右腕を通せないため、店を出る前にポーラージャケットを肩から羽織り、首元のスナップボタンで固定させた。

    扉を開くと冷気が出迎えたが、顔意外は大して寒さを感じなかった。

     

    ノパ⊿゚)「へぇ、やっぱりすげぇな。

         あったけぇや」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「でしょ? ブーンちゃんはどう?」

     

    (∪´ω`)「ぽかぽかしますお」

     

    彼の場合はもともとの体温も高く、素材との相性がいいのだろう。

    逆にポーラージャケットでは暑すぎるぐらいだったかもしれない。

    村にはまばらながら活気が宿り、そこかしこから笑い声や歓声が上がっている。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「夜ごはん、何か食べたいものはある?」

     

    寒冷地の食べ物は保存食が主で、加えて、フートクラフトには名物がないために美味いものはあまりない。

    雪解け水が作り出した川で獲れる魚は確かに美味だが、この時期に獲ったものは各家庭が冬に食べる保存食に加工される。

    塩辛い食べ物が多いため、特に二人のリクエストがなければここでは夕食を取らず、食堂車輛に行ったほうがいい。

     

    ノパ⊿゚)「あたしは特にねぇな。

        美味い物なら何でもいいよ」

     

    (∪´ω`)「お……」

     

    ヒートの意見を聞いたブーンは、少し俯いた。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「あら、どうしたの?」

     

    (∪´ω`)「あの、からだにいいものがたべたいですお」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「そうね、骨や傷にいいものにしましょうか」

     

    この少年は、本当に面白い。

    デレシアは感心と感激の感情を押し殺して、ブーンの意見に賛同した。

    奴隷として売られ、人として扱われていなかった彼が、この短期間でここまで人格者になったのは嬉しい誤算だった。

    予想ではもう一か月は必要だと思っていたが、ヒートの存在と彼女の負傷が大きなきっかけになったのだろう。

     

    ヒートとブーンとの距離は、親しい友人を越え、姉弟のそれと言っても過言ではない。

    片一方がそのように思っているのならば分かるが、二人の場合は、そうではない。

    双方ともに互いの存在を身近なものとして感じ、信頼しきっている。

    男女間の恋愛関係よりも遥かに強固な絆で結ばれた二人がこの先どうなるのか、本当に楽しみで仕方がない。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「一度戻って食堂車輛に行きましょう。

          美味しいお魚があればいいんだけど」

     

    道中でブーンが雪で遊べるように、来た道ではなく若干の遠回りをして列車を目指す。

    家屋から漏れ出てくるオレンジ色の光に染められ、月光の青白い光で漂白された雪の上には足跡が幾つも残されている。

    大きな足跡の隙間にある新雪を器用に踏み、ブーンは足取り軽く飛び跳ねるようにして細い路地を進んでいく。

    月明かりが照らすのは村の姿だけではなく、その頭上に聳え立つクラフト山脈をも照らしている。

     

    (∪´ω`)゛「きれいですおー」

     

    デレシアとヒートに手をつながれ、ブーンがクラフト山脈と月を仰ぎながら感想を口にする。

    それは誰かに向けた言葉ではなく、彼自身の心の言葉だった。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「空気が澄んでいるから、空も奇麗ね」

     

    ノパ⊿゚)「星空が桁違いだな。やっぱり山の上だからか」

     

    ヒートも星空に感嘆の息を漏らし、見入っている。

    オセアンから見る夜空も見事だが、この土地に比べれば流石に見劣りしてしまう。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「世界中を旅していたけど、やっぱり、ここからの星空が一番奇麗ね。

          寝静まって明かりが消えれば、もっと明るく見えるわ」

     

    その頃には列車はクラフト山脈を登っていることだろう。

    列車の中からでも星空を見られるため、凍える思いをしなくて済むのは実に便利だ。

    登山家たちはこの星空を見上げ、その頂上に辿り着いた時のことを夢想し、厳しい環境下でも足を踏み出せるのだ。

     

    (∪´ω`)「お……?」

     

    ノパ⊿゚)「どうした?」

     

    (∪´ω`)「いいにおいがしますお……」

     

    鼻をひくつかせ、ブーンは周囲に目を向ける。

    そしてある一点に注目し、そちらを指さした。

     

    (∪*´ω`)「あっちからしますお」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「気になるの? じゃあ、ちょっと見てみましょうか」

     

    せっかくブーンが興味を持ったのだから、実際に見てみるのがいい。

    時間にはまだまだ余裕がある。

    ブーンの嗅ぎ付けた匂いは恐らく、喫茶店から漂ってくるものだ。

    トマトとコンソメの香りに誘われるようにして、ブーンはその方向に正確に進んでいく。

     

    店の中から湯気が立ち上り、それが風に乗って漂っていた。

     

    (∪*´ω`)「おー」

     

    ノパー゚)「コンソメスープだな。

        それとトマトか」

     

    この時期のトマトは水分が多く瑞々しいが、フートクラフトではトマトを含めた野菜類も保存食にするため、意図的に水分を少なくして育てられる。

    そのためトマトの旨味と濃度は極めて高くなり、煮込み料理などに使うことでその真価を発揮することが出来る。

    水の少ない土地で行われる農業法で、ここでは意図的にそれが行われている。

    その点で言えば、この土地の名産品は乾物と言っていいかもしれない。

     

    が、名産品として他の街と戦えるほどの水準に至っていないのが問題なのだが。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「美味しそうな香りね。

          一杯だけ飲む?」

     

    (∪*´ω`)「はいですお!」

     

    ノパー゚)「あたしにも少し分けてくれるか?」

     

    (∪´ω`)゛「はいですおー」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「……私が買ってくるから、二人は少しここで待っていてくれるかしら?」

     

    ノパ⊿゚)「ん? あ、あぁいいけどよ」

     

    (∪´ω`)「あ…… はい、ですお」

     

    デレシアの意図に気づいたのはブーンだけだった。

    それも無理のない話であり、ヒートに落ち度はない。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「すぐに済むわ」

     

    デレシアが店の扉を開くと、数人の客が木製の長机を囲んで談笑する姿が目に入った。

    そしてそこに、スノー・ピアサーで会った女が座っていた。

    開かれた扉から入り込んだ冷気に気づいたようにして振り返り、そしてそこにデレシアたちを見咎め、笑みを浮かべた。

     

    (*‘ω‘ *)「おや? 奇遇ですっぽね!」

     

    頬を赤らめながら、女は自らの顔よりも大きなジョッキを掲げた。

    ジョッキの中には泡立つ黄金色の液体――おそらくはビール――が満たされており、空になった同じ形のジョッキがテーブルの上に二つ乗っている。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「こんばんは、ブルーハーツのお姉さん」

     

    (*‘ω‘ *)「こんばんはですっぽ!

          この店を選ぶとはなかなかお目が高いですっぽね!」

     

    デレシアとブーンはこの女が店の中にいることに気づいていた。

    ブーンは音で気づき、デレシアは気配で気づいていた。

    彼女の見立てが正しければ、この女は、デレシアたちの動きを観察している節がある。

    それが悪意なのか、それとも単なる興味関心の対象として見ているのかは分からない。

     

    列車に残っているべき人間がこの店にいる時点で、これが偶然とは思えなかった。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「コンソメスープのいい香りがしたから、一杯だけもらおうと思ったの。

          そういうわけで店員さん、コンソメスープを持ち帰りで」

     

    デレシアは女から視線をそらし、店の奥に声をかけた。

     

    ,,,_ア゚)「あいよ!」

     

    威勢のいい返事が返り、すぐに店員が紙コップに注いだコンソメスープを持ってきた。

    濃厚な赤いスープにみじん切りにされた玉ねぎとベーコンが浮き、その上に粉チーズが散らしてある。

    パンにつけて食べたらさぞや美味いことだろう。

    料金を支払い、店を出ていこうとするデレシアの背中に女の声が再びかけられた。

     

    威勢のいい声、そして明瞭な声がデレシアの鼓膜を震わせる。

     

    (*‘ω‘ *)「ティングル・ポーツマス・ポールスミス、それが私の名前っぽ!

          ティムって呼んでほしいっぽ!」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「覚えておくわね、ティム。

          ところで、不正乗車のお客さんは見つかったのかしら?」

     

    (*‘ω‘ *)「もう目星はつきましたっぽ!

          お姉さんの名前は――」

     

    その言葉を最後まで聞くことはせず、デレシアは店を出た。

    背中に視線を感じても、振り返ることはしなかった。

    本当に目星がついたのか、そして、不正乗車をした人間がいたのかは興味の対象ではない。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「お待たせ、さ、熱い内に飲みましょ」

     

    (∪*´ω`)「ありがとうございますおー」

     

    紙コップを受け取り、ブーンは笑顔を浮かべて礼を言った。

    ブーンの頭を撫で、デレシアは短く返す。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「どういたしまして」

     

    カップを傾け、ブーンは湯気の立ち上るそれを一口飲んだ。

    尻尾は正直に揺れ、味を物語った。

     

    ノパー゚)「美味いか?」

     

    (∪*´ω`)「お!」

     

    白い息を吐き、ブーンがそのカップをヒートに差し出す。

    受け取り、ヒートも一口飲む。

    僅かに身を震わせ、その味にうなった。

     

    ノパー゚)「美味いな、これ!」

     

    ヒートから渡され、デレシアも口に含む。

    スープに溶け込んだトマトの酸味とコンソメの風味が絶妙に合わさり、そこに焦げ目のついたベーコンの甘みが食欲を増進させる。

    なるほど、これは確かに美味い。

    コンソメ―スープとミネストローネの中間の味が体の芯に染み渡り、安堵できる味だ。

     

    具が細かいため、スプーンを用意しなくても十分に味わえるのは嬉しい限りだ。

    飲み歩きをしながら三人は列車に向かいつつ、夕食についての話をするのであった。

     

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         /   人 : : :  -=ニ二 ̄}川 >、  `''ー 一    ∠斗匕/´ ̄ ̄ ̄`Y: :{: /

         {   { 厂      . : { /⌒\          .//: : : .____   人: :/

         ':   ∨} _: : : : 二二/ /   | \_   -=≦⌒\く_: : : : : : : : :_:August 14th

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    デレシアたちが列車に足を向け始めた頃、サイレントマンはワカッテマスと共に一件の居酒屋から出てきたところだった。

    その居酒屋はワカッテマスが選んだ店で、現地の人間がよく利用する暖かな雰囲気の店だった。

    つまみが陳列されている棚から好きなものを選んで席に向かい、酒を注文するという変わった店の形態をしていた。

    寒い地域でよく見られるウォッカの一種を炭酸で割って飲み、イモのサラダを食べ、サイレントマンはほろ酔い気分で夜風を顔に受けた。

     

    酔った体を冷やす夜風が気持ち良い。

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「いやあ、いい月ですね。星も奇麗だ」

     

    ( <><>)「えぇ、そうですね。

            こんな夜は他にも何かいいことがありそうですね」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「今日一日で僕はとてもいいことに恵まれたので、これ以上は怖いですね」

     

    ( <><>)「サムは欲張らないんですね。

           謙虚な人だ」

     

    これ以上何かを望んでしまえば、きっと、自分は何かを失うことになるだろう。

    その感覚は、どこか確信めいた様子で彼の心にそう言い聞かせていた。

    友人を得てあだ名まで付けてもらったのは、幸せ以外の何物でもない。

     

    ( <><>)「“多望多失”という諺がありますが、きっと、サムのような人が作ったのでしょうか」

     

    今の状況を表す諺がワカッテマスの口から出てきたが、サイレントマンはその意味を知らなかった。

    いや、知っていたのかもしれないが、この際は意味がない見栄だ。

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「どういう意味なんですか?」

     

    ( <><>)「望むということは、その対象を得たいという気持ちが生まれます。

           その気持ちが成就することもあるし、そうでないこともあります。

           望まなければその気持ちを失うこともないので、多くを望めば結果的にマイナスになることも多い、という意味の諺です」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「なるほど…… しかし、博識ですね、ワカッテマスは」

     

    ( <><>)「少しだけ物を知っているだけですよ、私は」

     

    結局サイレントマンは、ワカッテマスのことをあだ名で呼ぶことはできなかった。

    まだそこまで親しい関係に至っていない、と彼の中で何かが線引きをして一歩を踏み出させないのだ。

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「ワカッテマスは、何の仕事をしているんですか?」

     

    ( <><>)「私はただのサラリーマンですよ。

           出張中の、ね」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「へぇ、業種とか訊いてもいいですか?」

     

    彼ほどの人間が務める業界とは、果たしてどのようなところなのだろうか。

    真っ先に思い浮かんだのは探偵業だが、どこかそれとも違う雰囲気がする。

     

    ( <><>)「ちょっと変わった商品を扱う輸入会社の人間ですよ。

           各地の動向とかどういうのを調べて、本社に伝えるんです。

           だから出張ばっかりで、余計なことばかり頭に入ってくるんですよ」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「なるほど」

     

    ( <><>)「ところで、次は服を見に行きますか?

           それとももう一軒?」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「少し気分がいいので、もう一軒行きませんか?

        軽く一杯飲んで、それから服に行きたいです」

     

    ( <><>)「分かりました。

           では…… そうですね、私の一押しのお店に行きましょう。

           狭くて小さいですが、料理の味は抜群で酒によく合うんですよ」

     

    ワカッテマスに連れられ、サイレントマンは路地を歩いた。

    明かりが少なく、屋内から外を照らす明かりのほとんどが揺らめいている。

    この時代に電気ではなく炎で明かりを確保するのが大多数でありながらも、村そのものが過疎化している印象はなかった。

    フートクラフトの衰退を見ることは、大木が朽木になるような趣がある。

     

    緩やかな死。

    文明や生命が迎える死を想像した時、サイレントマンは己の股間が硬くなるのを感じた。

    あまりにも突然の生理反応に驚いたが、その想像はまるで濁流のような次から次へと湧き出てきた。

    何かの栓が抜けたような、決壊したようなイメージの中、彼は死と快楽が表裏一体の存在であり決して切り離せない物なのだと思い出した。

     

    そう、彼は思い出したのだ。

    命を奪う快楽と、命が散る瞬間に見せる輝きを。

    自分が凶悪な感情を持っていることを思い出した瞬間、サイレントマンは立ち止まり、思わず屈みこんでしまった。

    体が震える。

     

    恐怖か、それとも、愉悦か。

    初めて絶頂を経験した時のように、その震えは快感を伴ってサイレントマンの全身に広がっていく。

     

    (;゙゚_ゞ゚)「あっ……ああ……!!」

     

    そんなことを考えてはならない、と言い聞かせても邪悪な思考は止まらない。

    津波に両手を広げて立ち向かうように、彼の良心は瞬く間に汚れ、崩れ――

     

    ( <><>)「大丈夫ですよ、サム」

     

    ――彼を包み込んだのは、ワカッテマスの暖かな胸だった。

    まるで躊躇うことなく、怪訝そうにすることもなく、ワカッテマスはサイレントマンをその胸に抱きこんで気分を落ち着かせた。

     

    ( <><>)「大丈夫ですから」

     

    力強く抱きしめられ、サイレントマンは頭の中が一気に静まり返るのを感じた。

    あれだけ彼の心を染め上げていた黒い感情が、いつの間にか、その鳴りを潜めて代わりに心を満たすのは温もりだけだった。

    負の感情など何一つない、純粋な温もり。

    守られているのだという安心感からくる、究極的な安堵感。

     

    (;゙゚_ゞ゚)「あ……」

     

    ( <><>)「少しは落ち着きましたか?」

     

    (;゙゚_ゞ゚)「すみません、お見苦しいところを」

     

    ( <><>)「何を言うかと思えば、まったく。

            友人相手に体裁を気にする必要などないのですよ。

            私の胸ならいくらでも貸しますよ、少し硬いですけどね」

     

    冗談交じりにだが、ワカッテマスはサイレントマンの心に浸透する言葉をかけてくれた。

     

    ( <><>)「二軒目はやめておきますか?」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「いや、もう大丈夫です」

      _,

    ( <><>)「ほんとですか?」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「えぇ、ホントですとも」

     

    ( <><>)「ではほどほどに飲んで、それから服屋に行きましょうか」

     

    ワカッテマスに手を引かれて立ち上がり、サイレントマンは服の乱れを直した。

     

    IeUeI「ははっ、見ろよゲイだぜ」

     

    从´_ゝ从「うわっ、マジか…… 尻隠さねぇとやべぇな」

     

    下卑た笑い声を口にしながら、二人の男達がワカッテマス達の横を通り過ぎた。

    明らかにこちらのことを指して吐き出された暴言に、サイレントマンは怒りと情けなさを覚えた。

    全て自分のせいなのに、ワカッテマスにまで暴言をかけられるのは心が痛い。

     

    ( <><>)「あんな雑魚に構う必要はありません、無視をしましょう。

            同性愛を罵倒の言葉として認識しているような教養のない人間は、そもそも言葉を正しく使えないんです。

            哀れな人たちなので、気にしてはいけませんよ」

     

    ワカッテマスは淡々と、そして自信たっぷりにそう言って歩き出した。

     

    ( <><>)「サムは同性愛者をどう思いますか?」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「え、えっと……」

     

    ( <><>)「では、サムはビールは好きですか?」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「は、はい、まぁ」

     

    ( <><>)「それを真っ向から否定されたら、どう思いますか?

           ビール好きなんてありえない、そいつは頭がおかしいんだ、と。

           誰だっていい気分にはなりません。

           つまるところ同性愛か否か、それに嫌悪感を抱くかどうかなど、ただの好みの問題。

     

           特別扱いすることもなければ、互いにその価値観を押し付ける必要もないんです。

           好きだろうが、嫌いだろうが、それはその人の好みですから勝手に言わせておけばいいんですよ。

           食べ物の好みと同じですよ」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「……なるほど」

     

    ( <><>)「さて、つまらない話をしてしまいましたね。

            さっさと店に行って、美味い酒と飯にしましょう」

     

    案内された店は喧騒から少し遠ざかった場所にあり、周囲は極めて静かな環境だった。

    漂ってくるコンソメの香りがなければ、木造家屋が並ぶ路地裏にしか感じなかっただろう。

    店の戸を開くと、美味そうな料理の香りと人々の談笑する声がサイレントマンたちを迎え入れた。

     

    ( <><>)「二人なのですが、席はありますか?」

     

    ,,,_ア゚)「あぁ、すみません、ちょうど満席でして」

     

    ( <><>)「むむっ、それは残念」

     

    ワカッテマスが肩を落としたその時、客席から声がかけられた。

    大きく、そしてよく通る声は間違いなく聞き覚えのあるものだった。

     

    (*‘ω‘ *)「ここ!! ここ空いてるっぽ!!」

     

    ,,,_ア゚)「お姉さん、相席でもいいですか?」

     

    (*‘ω‘ *)「大歓迎ですっぽ!! そちらさえよければ、いっしょに飲むっぽ!!」

     

    その女性は、スノー・ピアサー内で不正乗車をした人間を探していた鉄道警察の人間だった。

    今は制服を着ていないが、その声と顔に覚えがある。

    巨大なジョッキを掲げ、女性は笑顔で二人を呼んだ。

     

    (*‘ω‘ *)「ほら、はやくするっぽ!!」

     

    急かされた二人は顔を見合わせた。

     

    ( <><>)「お言葉に甘えさせてもらいますか、サム?」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「そうですね、せっかくの厚意を無碍にするのも嫌ですし」

     

    (*‘ω‘ *)「おらっ!! 男が小難しいこと言ってんじゃねぇっぽ!!」

     

    言われるがままに、二人は女性の向かい側の椅子を引いてそこに腰かけた。

    木製の椅子と木製のテーブルは角が欠けて丸くなり、多くの傷が刻まれているが、そこに人の温もりのようなものが感じられた。

     

    ,,,_ア゚)「注文は?」

     

    ( <><>)「じゃあ、ウィスキーの水割りを一つ。

           あと、燻製チーズの盛り合わせと、カプレーゼを」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「僕はウィスキーのロックを。

         それと、ピクルスセットをお願いします」

     

    すると、目の前の女性が半分ほど残っていた巨大なジョッキの中身を一気に飲み干し、大声で言った。

     

    (*‘ω‘ *)「ギガハイボールもう一杯お願いするっぽ!!」

     

    注文を取り終えた店員が奥に戻る。

    残された三人は改めて顔を見合わせ、自然と自己紹介が始まった。

     

    ( <><>)「私はワカッテマス・ロンウルフ。

           お姉さんは、ブルーハーツの人ですよね?」

     

    (*‘ω‘ *)「そうですっぽ!!

          ティングル・ポーツマス・ポールスミス、ティムって呼んでほしいっぽ!!」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「ぼ、僕はサイレントマンです」

     

    (*‘ω‘ *)「よろしくお願いするっぽ!!

          お兄さん達は元々お知り合いではないっぽね?

          列車で知り合った系っぽね!!」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「よく分かりますね」

     

    (*‘ω‘ *)「伊達に鉄道警察やってないっぽ!!

          列車旅は思いがけない出会いがあるから楽しいっぽ!!」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「えぇ、まったく。

        ティムさん、お仕事は?」

     

    (*‘ω‘ *)「交代制だからもう非番になったっぽ!!

          夜はまた別の者が担当するから、酒を飲んでも問題ないっぽ!!」

     

    そこに店員がやってきて、それぞれの前にグラスと皿を置いた。

    ティムのジョッキは桁違いに巨大で、高さが30センチ――約1フィート――はある。

    並々と注がれたハイボールに細かな氷が浮かび、一目でよく冷えているのが分かる。

     

    (*‘ω‘ *)「せっかくだから乾杯するっぽ!!」

     

    ジョッキを軽々と持ち上げ、ティムがそう提案した。

    よく見れば彼女の手首は太く、鍛え上げられていることがよく分かる。

    恐らくはサイレントマンと同等の筋力があるに違いない。

    二人もグラスを掲げ、軽くぶつけ合う。

     

    ( <><>)「なるほど、交代制でしたか。

           ブルーハーツに勤めて、大分長いんですか?」

     

    喉を鳴らしてハイボールを飲み、ティムは頷いた。

     

    (*‘ω‘ *)「まぁそこそこっぽね!!」

     

    すでに自分で注文していたピクルスにフォークを刺して、それを豪快に口に運ぶ。

    そして実に美味そうにハイボールを喉に流し込むのであった。

    そんな様子を見ていたサイレントマンも、自分が注文したピクルスを食べてその酸味に唸った。

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「んんっ!!」

     

    強い酸味と野菜の旨味が調和し、いい肴になっている。

    ウィスキーを一口飲むと、その唸りは不服なものへと変わってしまった。

      _,

    ( ゙゚_ゞ゚)「ん゛ン゛っ?!」

     

    どうも、注文したウィスキーとの相性があまりよくないようだ。

     

    ( <><>)「酸味が強いと、ウィスキーとは合いませんからね。

           ハイボールにしたほうが合いますよ」

     

    (;゙゚_ゞ゚)「どうもそうみたいですね、次にそうして――」

     

    (*‘ω‘ *)「マスター!! ハイボール用のソーダくれっぽ!!」

     

    ティムの大声はサイレントマンの声をかき消し、喧騒の中を通り抜け、店の奥に戻った店主に届いた。

    厨房から親指を上げた店主の手がのぞき、注文が聞き届けられたことが分かった。

     

    (*‘ω‘ *)「困ったときはすぐに声に出すっぽ!!

          これ、人生の秘訣っぽよ!!」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「な、なるほど」

     

    到底自分には真似できそうにないが、それでも、この女性が悪人でないことはよく分かった。

    発言したいと思った時に発言したい事を言葉にするのは、非常に勇気のいることだ。

     

    ( <><>)「こっちのチーズ、美味しいですよ。

           やはり、ウィスキーには燻製したものがよく合う」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「じゃあ、お言葉に甘えますね」

     

    ワカッテマスが勧めたチーズを口に運ぶ。

    小指の爪ほどの大きさしかないチーズだったが、中まで浸透した燻製の香りがウィスキーと調和し、互いに引き立て合った。

    口の中が煙の香りで満たされ、そこに自然の旨味を感じ取った。

     

    (*‘ω‘ *)「いい飲みっぷりっぽ!!

          お兄さんたちはどうしてスノー・ピアサーに乗ってるっぽ?!」

     

    いつの間にか運ばれていたソーダ水をサイレントマンに押しやりつつ、ティムが興味深そうに二人に質問をした。

     

    ( <><>)「私は会社の都合で、新製品の視察に行くために乗ったんです。

           本当なら退屈な旅のはずだったのですが、こうしてサムに会えたので良い旅になりました」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「ははっ、口が上手いですね。

        僕は…… 自分を知りたくて」

     

    (*‘ω‘ *)「ほぅ!! 自分探しの旅ってやつかっぽ!!

          よくインドゥに行って腹壊すハイティーンなら知ってるっぽよ!!」

     

    (;゙゚_ゞ゚)「ま、まぁ、ある意味自分探しというやつです」

     

    ( <><>)「そういえば、サム。

            彼女なら、あの女性について何か知っているかもしれませんよ?

            列車であちこち行っているのですから、見た可能性は十分にあります」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「そ、そうですね。

        実は、こういう女性を探していて」

     

    サイレントマンは懐から紙を出して広げ、ティムに見せた。

    知っている可能性はまずないが、いつか目撃した時に――

     

    (*‘ω‘ *)「あぁ、この人なら多分知ってるっぽよ!!

          えらく美人な人だったから良く覚えてるっぽ!!

          サイレントマンは絵が上手いっぽね!!」

     

    (;゙゚_ゞ゚)「――え?!

        そ、その人はどこに?!」

     

    (*‘ω‘ *)「乗客の個人情報は教えられないっぽ!!

          私の口からは言えないっぽ!!」

     

    ( <><>)「つまり、乗客にいるということですね、分かります」

     

    ワカッテマスの冷静で的確な指摘に、ティムは唖然とした表情を浮かべた。

    そして、変わらない大声で己の失態を口にした。

     

    (*‘ω‘ *)「しまったっぽ!!」

     

    ( <><>)「サム、これはいいことを聞きましたね。

           明日にでも少し列車内を探してみましょう」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「は、はい!!」

     

    思いがけない出会いから、思いがけない収穫を得た。

    彼が探している人物に関する足跡が僅か一日で見つかった。

    僥倖と言わずして何というべきか。

    サイレントマンの視界は明かりくなり、一秒でも早く明日が来ることを願った。

     

    ( <><>)「せっかく情報をもらったのですから、ここは私が奢りましょう。

            それでいいですよね、サム」

     

    ( ゙゚_ゞ゚)「もちろんです!!」

     

    (*‘ω‘ *)「えぇー…… じゃあ、せっかくだから高いお酒を頼むっぽ!!

          というか、秘密でお願いするっぽよ!!」

     

    果たして彼女が口を滑らせたのはわざとなのか、それとも事故だったのか。

    この時。

    この卓を囲む三人の中でそれを知らないのはサイレントマンただ一人だった。

     

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          {.::::::::::::/..::::::::::::::::::/!::/  ´,'!::|!:::!

         }::::::::::,r:::::::::/=,v,,_  ',x=:!/ '

       ‐:-:=;':::::::// ,,;.  {::.ソ{:リ     「一番高い酒を三人分くれっぽ!!」

        {:::‐‐==:'l:| =,'   ヾ !:!

         i|:::::::::r::::l:{ '''       ' /

       }::::::::::::}`¨}::::::l::i      ‐ ', :l:::',

       |:::::::::::i}:::::::i!:|=  __,,r=x::l:::::..

       }::::::::::i:}:i=',::∧_ |∨∧ V::

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    August 14th PM10:00

     

    巨大な鋼鉄製の車輪には、歪な形状のカバーがかけられ、風防の役割を果たしていた外装は車輪全体を覆い隠す状態へと変化していた。

    車輪に装着されたカバーの正体は特殊な素材で作られた特注の滑り止めであり、凍結した線路を走破するためにだけ作られた物だ。

    融雪用の設備ではクラフト山脈の冷気と過酷な環境下での運用が難しく、また、実用に耐えないという結論からこうして直接車輪にカバーを取り付けることとなったのだ。

    そして延長された外装は高く積もった雪が車輪に害をなさないための対策であり、乗客の命と車輛を守るための強力な鎧の役割を果たしていた。

     

    フートクラフト到着後に設けられた長い停車時間は、これを用意するためだったのである。

     

    『大変長らくお待たせいたしました。 これよりスノー・ピアサーはフートクラフトを出発し、シャルラに向かいます。

    道中、途中停車の駅はございません。

    シャルラへの到着は、八月十九日、午前十時を予定しております。

    また走行中、車窓は一切開閉できませんので、ご了承ください。

     

    それでは、皆さま。

    世界初、クラフト山脈を伝っての列車旅をお楽しみください』

     

    車内放送と共に、スノー・ピアサーが勾配を登り始めた。

    車輪にかぶせられたカバーの影響で、僅かな振動が伝わってくる。

    速度が上がればそれも安定して気にならなくなるだろう。

    外では村の人たちが手を振り、スノー・ピアサーを見送っている。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「さぁ、いよいよね」

     

    デレシアにとって、列車を使ってクラフト山脈を走るのは初めての経験だった。

    間違いなく、未知の領域。

    人類の新たな可能性に、デレシアは感心と尊敬の念を抱いた。

    この時代になってもまだ、過去の模倣ではなく自らの意思で自らの考えを現実のものにするというのは、極めて稀有なことなのだ。

     

    何か新たな試みをしようとしても、大抵のことは過去の模倣になってしまう。

    その内、新たな発想や発明は世の中から姿を消し、ほとんどの人間がDATに保存されている過去の物を再現するだけになった。

    スノー・ピアサーとは、諦めずに新たな方向性を模索して成功した、非常に稀な例なのである。

     

    ノパー゚)「クラフト山脈自体が初めてだからよ、結構楽しみだ」

     

    (∪-ω-)「おー……」

     

    ベッドの上で半臥になり、腰に抱き着いたまままどろむブーンの頭を撫でながら、ヒートは小さな声で同意した。

    三人は夕食と入浴を済ませ、就寝の準備に入っていた。

    本来はブーンが寝付いた後は二人で酒を飲む予定だったのだが、彼はヒートの傍からなかなか離れようとしなかった。

    そのため、晩酌はまた日を改めることとなり、デレシアは一人車窓――壁面に映し出された映像――の傍に座り、景色を眺めていた。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「しばらくは山の景色が続くわね」

     

    部屋の明かりは全て落とし、傾き始めた月と星明かりが彼女たちの世界を青白く照らしている。

    ゆったりとした速度で世界が移ろう様を眺めながら、デレシアはそう呟いた。

     

    ノパー゚)「だな。……しっかし、ブーン、今日はどうしたよ?

        こんなに甘えん坊になっちまってよ」

     

    そう言って微笑を浮かべるヒートは決して迷惑に思っているわけではなく、突然の変化に少し戸惑っているようだった。

    ティンカーベルでヒートが負傷してから、ブーンはやはり、心のどこかで彼女がいなくなることを恐れているのだろう。

    あの時、デレシアが動いていなければヒートは間違いなく、あの場で殺されていた。

    それを理解しているからこそ、ブーンはヒートから目を離したくないと思っているのだ。

     

    自分の知らないところで親しい人間に死なれることの恐ろしさ、そして寂しさを理解したのだ。

    彼にとっては間違いなく成長だが、極めて悲しい話でもある。

    今回は偶然に助かったからよかったものの、次に同じことがあった場合、助かる保証はどこにもない。

    デレシアにとってヒートは良き友人だが、いつでも彼女を手助けできるわけではないのだ。

     

    (∪-ω-)「ぉ……」

     

    ブーンの瞼は落ち、彼女たちの声に反応するだけの意識も残っていないようだ。

    ヒートの手櫛が彼の黒い髪を優しく撫でる。

    僅かに身をよじり、ブーンは意味のない言葉を呟きながらヒートの服を掴む手に力を入れた。

     

    ノパー゚)「ったく」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、ヒート。

          幾つかお願いがあるんだけど、いいかしら」

     

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       /  . : : :.:.:.: l:.|: : :l: : l云テtrく    ∠ニ' .:!.: ト、

     ∠ _ _, ィ´.:.:.:.:./..l.:|: : :l :/辷ンノノ     ,rテテ.:.:. !.:.:l.:.:.>

         ̄/.:.:.:.:.:.////l:.|: : :l |´ ̄       じジ.:.:.:. !.:.:l'´

          ̄ ̄フノノ/l l:.|: : :l |       ,:  ,.:.:.:.: !.:.:!

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             /: : : .\ l:.|: : :l | \  ´, ..:/|.:.:.:..!.:;

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    ノパ⊿゚)「あんたがあたしに?

        出来ることでならいいけどよ」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「列車の中に、ちょっと変わった人たちがいるみたいなの。

          ブーンちゃんがちょっかいをかけられないように見ていてもらいたいんだけど、いいかしら」

     

    ノパ⊿゚)「なんだ、そんなことならお安い御用だ。

        変わった人ってのは?」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「一人は私がログーランビルから落とした殺し屋」

     

    デレシアはまず左手の親指を上げて見せた。

    ヒートは頷き、理解を示した。

    その姿は彼女も目視し、記憶しているはずだ。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「もう一人は、多分だけどジュスティアの人間ね」

     

    人差し指を上げたところで、ヒートの眉が僅かにしかめられた。

     

    ノハ;゚⊿゚)「もう気付かれたのか?」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「トラギコが私たちを売ることはまず有り得ないから、偶然の産物ね。

          私が落とした殺し屋と一緒にいた男なんだけど、多分ヒートは見ていないんじゃないかしら」

     

    二人でいるところをジャーゲンで見た程度だが、その視線の配り方や身のこなしは紛れもなく訓練を経た人間のそれだった。

    また、その歩き方や視線の動かし方などの根底にあるのはジュスティア警察の訓練によるものだ。

    かなりの研鑽を積んで自己流の物になっていたが、それでも隠し切れない眼光の鋭さがあった。

    そして、ティムもまたデレシアの目にはただのブルーハーツには見えていなかった。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「後は、私たちの乗車券を確認した女ね」

     

    最後に中指を立てて、三本の指をヒートに見せた。

     

    ノパ⊿゚)「あの元気のいい奴か」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「えぇ、あの元気のいい女。

          スープを買った店にいてね、ティングル・ポーツマス・ポールスミス、って名乗ってたわ。

          どうにもわざと臭いのよね、色々と」

     

    推測の域を出ないが、恐らく、あの女は何かを隠している。

    不正乗車の人間を探すという名目で、車内の捜索を行い、不正乗車ではない何かを探していた。

    その対象となるのがデレシアたちである可能性は極めて高い。

    ティンバーランドの人間なのか、それとも誰かに雇われた別の組織の人間なのかは、今の段階ではまだ分からない。

     

    ノパー゚)「まぁ確かに、あの声の大きさはわざと臭いわな」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「後ね、あの人結構な年齢のはずよ」

     

    ノパ⊿゚)「三十手前ぐらいに見えたけど、違うのか」

     

    ζ(゚、゚*ζ「そうね、大体六十歳ぐらいじゃないかしら」

     

    ノハ;゚⊿゚)「え?」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「最初に見て少し違和感があったんだけど、あの店でもう一度見たから間違いないと思うわよ。

          お化粧というよりも、あれはもう変装ね」

     

    化粧は人の年齢だけでなく、印象までも変える力がある。

    ティムのそれは、そういった技術の集大成で芸術の領域にあった。

    恐らく彼女が本気を出せば、別人に成りすますことも可能だろう。

    そんな技術を持った人間がブルーハーツにいるはずがなく、別のどこかでその技術を身に着け、生かしてきたはずだ。

     

    列車旅の不便な点は、次の到着地まで全員が同じ空間に居続けなければならない点にある。

    最低でも三人の不審な人間がいる以上は、デレシア一人ならばまだしも、ブーンとヒートの両人に目を向け続けるのは難しい。

    守るだけであれば可能だが、今彼女たちが置かれている状況では、守るだけでは意味がない。

    必要とあらば攻めに転じ、相手の出鼻を挫かなければならない。

     

    この狭い列車の中で一度に襲われれば、最悪の場合、脱線に至ることも視野に入れなければならない。

    クラフト山脈で脱線事故が起これば、そのまま山を滑落して乗客の生存は絶望的になる。

    怪我人のヒートとブーンを連れ出せたとしても、厳しい自然の猛威にさらされ、死に至るのは明らかだ。

    未然に防ぐこと、それが重要だ。

     

    ノパー゚)「……なるほどね」

     

    ζ(゚ー゚*ζ「ふふっ」

     

    二人はほぼ同時に笑んだ。

    ヒートの笑みも、デレシアの微笑みも、それは同じ所から来る笑顔だった。

    何事もない旅にならないことは重々承知している。

    そしてこの旅を経て、ブーンが成長してくことも知っている。

     

    それが楽しみであり、この旅の大きな意味なのかもしれない。

    故に、困難も難題も、彼女たちにとっては歓迎すべきものなのだ。

    ブーンの栄養になるような困難であれば、喜んで迎え入れ、蹴散らそう。

    そのためには多少の痛みを伴うことがあるが、それでも止める気がない自分たちの身勝手さに対して、二人は笑顔を浮かべたのだ。

     

    この世界はそういう世界なのだ。

    何かを変えたいと望み、何かを得たいと望むのならば。

    たった一つのシンプルなルールに従い、動けばいい。

    そう、これは――

     

    ――これは、力が世界を動かす時代の物語なのだから。

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    August 14th PM11:15

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               ∠ イイ |/∧        〈ソ`ノ)ノ /

                ,ィ´ト、/  ヽ、   、  -| | ヽ(

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      /      ::::V::::::`ヽ `='イ>≧=<  ̄ヽ )

    ジュスティア 警察本部 長官室

     

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    ジュスティア警察長官ツー・カレンスキーは突然の来訪者に対して、まずはコーヒーを淹れることにした。

    その来訪者はいつものように上質なスーツで身を固め、コーヒーが入るまでの間、ソファに深く腰掛けて静かに待っていた。

     

    (*゚∀゚)「もう少しお待ちください」

     

    '`)「あぁ、そうさせてもらうよ」

     

    ジュスティア市長、フォックス・ジャラン・スリウァヤは落ち着き払った様子でそう言った。

    コーヒーマシンが静かに豆を挽き、お湯を注ぐ音が聞こえる。

    警察本部のビル内に残るのは夜勤の人間ぐらいであり、日中に比べて極めて静かだった。

     

    '`)「残業のし過ぎは感心しないな」

     

    (*゚∀゚)「今日は特別忙しいだけです。

        普段は定時で帰っていますよ」

     

    '`)「悪いが、タイムカードを押してから遅くまで居残っているのは分かっているんだ。

        こう見えて、私はそういうのを調べるのが得意なんだ」

     

    嘘をついても仕方がないと諦め、ツーはわざとらしく溜息を吐いた。

    恐らく、フォックスは内々の情報から彼女が無給で残業をしていることを聞いているのだろう。

    残業とは無能な人間のすることだ。

    それを知られるのは、正直、彼女にとっては恥ずべきことなのである。

     

    しかし、仕事の量は一時期に比べてかなり減った方だ。

    世界情勢の変動により、治安は落ち着き始めてきた。

    今、彼女を残業させている仕事は主にトラギコ・マウンテンライトが持ち込んできたものの処理だった。

    あの男は遠慮なしに領収書を切り、更には弾薬にかなりの金額を費やした。

     

    あまつさえ、軍用第三世代強化外骨格――通称、棺桶――も修理が必要な損傷を与えたため、その手配もしなければならなかった。

    幸いなことにジュスティア内での修理が行えたため、彼の出張に間に合わせることが出来たが、彼が持ち込んできた厄介ごとはそれだけではない。

    オセアン、フォレスタ、ニクラメン、クロジング、ポートエレン、オアシズ、そしてティンカーベル。

    これらの街で起きた事件はどれも彼女の頭を悩ませるに十分足るものだった。

     

    “あの”トラギコでさえ手を焼く組織が背後にあるだけでなく、もう一つ、一連の事件に関わっているとされる人間の存在が大きかった。

    デレシアと名乗る女。

    その女の正体を知ることが、今の彼女にとって最大の頭痛の種だった。

     

    (*゚∀゚)「……以後、気を付けます」

     

    '`)「労働には対価が必要だ。

        働きに見合った対価、それは権利であり、義務なんだ」

     

    言われるまでもなく、ツーは部下たちの残業に対して相応の対価を支払っている。

    給与の査定についても上司だけでなく、同僚や部下からの意見を吸い上げて厳密な決定を下している。

    それをするための時間を考えると、どう計算しても既定の勤務時間で全ての業務を片付けることが出来ないのだ。

    だが部下たちの給与は彼らの家族を養うための物であり、決して妥協できるものではない。

     

    '`)「君の分は年末にまとめてボーナス、ってことにしておくよ」

     

    (*゚∀゚)「では、その分を――」

     

    '`)「言っておくが、部下たちに分配、なんていうのは駄目だ。

        さて、本題に入る前にまずはコーヒーをもらおうか」

     

    そしてツーはコーヒーを注ぎ、フォックス・ジャラン・スリウァヤに出した。

    一言礼を述べてからフォックスは漆黒の液体を口に含んで、香りを堪能し、それから飲み込んだ。

     

    '`)「うん、いいコーヒーだ」

     

    (*゚∀゚)「それで、本題とは」

     

    '`)「“ロールシャッハ”から連絡があった。

         しばらくの間、連絡ができなくなるそうだ。

         サイレントマンとデレシアとの本格的な接触は明日になるそうだが、一つ訊きたいことがあってな」

     

    (*゚∀゚)「私に答えられることであれば」

     

    '`)「オサム・ブッテロ、彼とデレシアを接触させるように仕向けた意図を聞きたい。

        何をさせるつもりだ?」

     

    一瞬、ツーの背筋に氷が当てられたかのような錯覚を覚えた。

    フォックスは語気を荒げることも、態度に表すことも、ましてや目で伝えることもしていない。

    彼はただ、静かに伝え、尋ねただけ。

     

    (*゚∀゚)「……彼の記憶が戻れば、少なくともオセアンの事件を起こした人間が分かるはずです。

       そこから、デレシアと名乗る女との関連性を見つけ、連行しようと」

     

    '`)「なるほど、なるほどね。

        オサムの正体が殺し屋なのを理解し、彼の記憶が戻ることで列車内で戦闘行為が起こる可能性も視野に入れ、“ロールシャッハ”を差し向けたのか。

        先の先までよく考えたな」

     

    (*゚∀゚)「え、えぇ……

        “ロールシャッハ”であれば、仮に車内で何かが起きても即応できます」

     

    エライジャクレイグは自分たちで治安維持をするための組織を持っており、ジュスティアとは契約関係にない。

    そのため、デレシアを逮捕するためには越権行為が認められている“モスカウ”の人間を密かに派遣する必要があった。

    モスカウの統率者であれば、事件への対応も事後処理もトラギコよりも上手くやれるはずだ。

     

    '`)「それは相手が一人なら、の話だ。

        なぁ、ツー。 隠し事はなしにしよう。

        トラギコがその気になれば、デレシアを名乗る女は捕まえられた。

        だが奴がそうしなかったのには、理由がある。

     

        その理由を私に何故、詳しく話さない?」

     

    (*゚∀゚)「まだ不確定な情報で、憶測でしかありませんので」

     

    フォックスがコーヒーを飲み、溜息を吐いた。

     

    '`)「情報が正確であることに越したことはないが、情報はすぐに腐る。

        ならば腐る前にそれを私に届けるのが君の仕事だ。

        いいかい、この街で起きた事件と奴が捜査した事件で同様の棺桶が使われていた。

        これはつまり、巨大な組織が関わっていると断言しているようなものだ。

     

        トラギコはその組織と相対し、例の女を捕まえなかった、もしくは捕まえられなかったと推測が出来る。

        ベルベット・オールスターの報告では、トラギコとあの女はつながりがあったらしい。

        仕事になると馬鹿みたいに真面目なトラギコが、重要参考人を見逃す理由などより重要な事件を嗅ぎ付けたからとしか思えない。

        やつの仕事の粗暴さはさておいて、取り組みの熱意については周知のとおりだ。

     

        ベルベットの言葉がどうあれ、ライダル・ヅーの死とその女が関係していないのは、トラギコの行動が何よりも示している。

        ではその組織とは何か、それを調べるのが最重要になってくる。

        だが君は組織の捜査ではなく、女を追わせた。

        その女が組織につながる情報を持っている可能性に気づいたからだ。

     

        捕まえるだけならもっと大々的に、それこそスノー・ピアサーに乗られる前に捕まえられたはずだ。

        ロールシャッハが動いたのなら、それも簡単な話だ。

        つまり君は、女をあえて泳がせて事の成り行きを監視させているんだろう。

        その中で組織の情報や、女と事件との関連性を見つけてから動くつもりってことだ。

     

        どうしてここまでの報告を私にしないのか、実に理解に苦しんでね、こうして話を聞きに来たわけだ」

     

    歌を口ずさむようにして並べられた彼の発言は、全てその通りだった。

    トラギコから得た情報やベルベットからの報告をもとに、巨大な組織が存在することは確実だった。

    そして、その組織の影響力がジュスティア内にまで及んでいるという危機的な状況を理解し、早急に対処しなければならないと考えたのだ。

    正直なところ、デレシアという女は鍵でしかない。

     

    上層部の意見と食い違ったとしても、ツーにとってはそうなのだ。

    警察を束ねる長として、彼女がするべきことは上層部の人間たちの機嫌を損ねることになったとしても、警察らしい対処。

    媚びを売ったり、期限を窺ったりすることは警察の仕事ではない。

     

    (*゚∀゚)「も、申し訳ありません……」

     

    何もかもを見透かされていることを理解したツーは、謝罪することしかできなかった。

     

    '`)「責めているわけじゃない。

        忘れないでもらいたいんだが、組織というのは連携が必要なんだ。

        手足はいくつあってもいいが、多頭は困る。

        太鼓持ちも嫌いだし、何より胸を張ってできない行為は大嫌いなんだ。

     

        それに、私をのけ者にしないでもらおうか」

     

    (*゚∀゚)「以後、肝に銘じておきます」

     

    フォックスは部下を無意味に責めることはしない。

    彼が行うのは、己の手足が意に反して動かない原因を理解し、それを改善することだ。

     

    '`)「そうしてくれ。

        失敗をいつまでも引きずってもらっては困る、次に生かしてくれ。

        さて、実は本題は別にあるんだ。

        明日の正午、ベルベットがティンカーベルで逮捕した人間を連行してくることになっている。

     

        そこで頼みがあるんだ」

     

    (*゚∀゚)「私にできるのであれば、何なりと」

     

    厳重な警戒態勢の元、複数の犯罪者が送られてくる。

    ティンカーベルで起こった狙撃事件やその他の事件に関わっている最重要の人間たちの中には、ショボン・パドローネとジョルジュ・マグナーニが含まれている。

    更にはカラマロス・ロングディスタンスとシュール・ディンケラッカーまでもが運ばれることになっている。

    何かが起こらないはずがない。

     

    ショボンは脱獄不可能と言わしめた刑務所から二人の囚人を脱獄させ、あの騒動を起こしたのだ。

    島からこの街までの間に、間違いなく何かが起こる。

    となると、警察にできるのは厳重な警備ぐらいだが、それはすでに派遣済みだ。

     

    '`)「分かっているとは思うが、逮捕された人間達はカラマロスを含めて間違いなく、組織の人間だ。

        あれだけのことをしでかす組織が、そう簡単に奴らを引き渡すとは考えられない。

        だから、やられる前にやることをやる。

        円卓十二騎士をより前面に出していく。

     

        一切容赦をしない。

        いいか、一切の容赦も出し惜しみもなしだ」

     

    すでに円卓十二騎士を二名も派遣し、その警備に従事させているというのに、まだ足りないというのか。

    だがそれでは、外交における強力なカードを使うことになる。

     

    (*゚∀゚)「で、ですがそれでは、イルトリアに円卓十二騎士の姿を見せることになります」

     

    犬猿の仲であるイルトリアに、円卓十二騎士の姿は極力見せたくないというのは、これまでジュスティアが頑なに崩してこなかった姿勢だ。

    彼らの最高戦力と比肩しうる存在を公にするということは、弱点をさらすようなものだ。

     

    '`)「奴らのことは気にしなくていい。

        重要なのは顔じゃない。

        正義を遂行することだ。

        むしろここで十二騎士を出して、我々が本気であることを見せつけてやる。

     

        君には私の指示した通り、動いてもらう」

     

    (*゚∀゚)「分かりました、具体的にはどのようにすれば?」

     

    フォックスはもったいぶるようにコーヒーをゆっくりと啜り、口を開いた。

     

    '`)「それはな――」

     

    ――そしてフォックスが告げたのはツーがこれまで受けた命令の中で、最も難しく、最も受け入れ難いものだった。

     

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                                ノ          r!:;:;;:;;|

                           。 ヽ.;'___,..、   ノ`'.|:;;'|;

                              ヾー'´ 。,-'')'- _

                              ヽ..._.:ヶ´ _,.-''´ ̄: : : ::

                                 r:T'  ,'´  . : : AmmoRe!!のようです

              Ammo for Rerail!!編 第二章【Train of equipment-備えの列車-】 了

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ページのおしまいだよ。。と