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第三章【igniter-点火者-】

  1. 名前: 歯車の都香 2017/04/14(金) 21:26:47
    第三章【igniter-点火者-】






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                    \       /: /ベ《ー 、:_`ト . __,. イ: : : :/: :/ : ',: :/  !'|/⌒}
                     \   /: /   \  ノ     ヽ:__/: :∧: : :V   7´/
        第三章             \/: /      ヽ     _, // ̄`ヽ:{     ‘´ /:
                        /: /、ヽ         /´ //      i|    / : :
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      【igniter-点火者-】      i: /:/       ノ   //          j   / : ヽ. ヽ
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    降り始めてから一時間半が経過しても、雨脚は弱まる気配を見せなかった。
    嵐に見舞われたオセアン一帯は暴風波浪警報が発令され、外出は禁止され、常識ある住民は屋内に避難していた。
    オセアン西部。
    煌びやかな明かりに溢れる市街地も、心なしか鳴りを潜め、どこか寂しげにも見えた。

    そこに住む人々は、東の海の荒れ模様を一種のエンターテインメントとして、酒の余興にして楽しんでいた。
    高層ビルの群れは嵐程度ではビクともしない。
    雨漏りをする訳でも、隙間風に悩む事も縁遠い。
    漁業で口を糊する北部では今頃、大変な騒ぎになっているに違いない。

    慌てふためき怯え竦む姿を想像しただけで、立派な酒の肴になる。
    安全な場所から観察できるのは、力を持つ者の特権と言えるだろう。
    今は力さえあれば、世界を動かす事も可能な時代なのだ。

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    シャンパングラスを満たす黄金の液体を一気に飲み、貿易会社オーシャン・トランスポート社の誇る五十四階建のオフィス・ビル、
    ログーラン・ビル最上階の窓辺に立つオセアンの事実上の支配者、ロバート・サンジェルマンは窓の外から視線を外してゆっくりと振り返り、
    濡れ鼠の様相を呈する若い哀れで愚かな男達を見据えた。

    (・L_・)「……スティーブ・マウル、だったかな?」

    既に両手足は原形を留めておらず、名を確認されたスティーブの矜持は無残にも踏みにじられていた。
    そして、スティーブの横で先程まで啜り泣いていた男、フランク・チシットは呼吸をしていなかった。
    少々、遊びが過ぎてしまったようだ。

    (・L_・)「君は頑丈だな」

    瓜;゚ 」゚)「……ほ……ざけ……がぁっ?!」

    二人の男の背後に無表情で立っていた若い女性、メリーはスティーブの肋骨を蹴り折った。
    床が汚れない様に敷いてあったビニールシートの上に、スティーブが血を撒き散らし、それに顔を汚した。
    彼等――今では一人と一つになったが――の間違いは、余計な事をした、この一言に尽きる。
    危害を加えられそうになったメリーがスティーブを返り討ちにし、嬲って悦に入っている所に、フランクが鉢合わせてしまったのだ。

    その結果がこれだ。
    泣き叫んで理由を問うフランクを疎んだメリーは彼を半殺しにし、今後の方針を問う為にここに戻って来てた。
    そして、虫の息となっても質問を止めないフランクに業を煮やしたメリーが彼を殴殺した。
    以上が、哀れな男達がここにいる理由である。

    理想的なビジネス像とは、確かな信頼関係の上に成り立っている。
    相互利益を確約すると云う信頼だ。
    考えなしにスティーブを殺せば、マフィア達にとって無害な存在として立ち振る舞ってきた意味が無くなる。
    その結果、今ある取引先の心証を悪くすることも、十分有り得る可能性として考慮するべきだ。

    生かして連れて帰って来たのは正解だった。
    ここでなら、死体に幾らでも細工が出来る。

    瓜;゚ 」゚)「……へっ……まさか、手前が……スポンサーだったとはなぁ……!!」

    五分前にスティーブが自力でその答えを導き出した時は感心した物だが、今や、ロバートの関心は失われていた。
    当たり前の事を確認するまでもない。

    (・L_・)「まぁ、驚く事でもあるまい?」

    これまでに、ロバートは影ながらシモノフ・ファミリーに多くの出資をしてきた。
    オセアン北部はロバートにとって魅力溢れる土地であったが、昔からいる住民が邪魔だった。
    それらを手際よく排除、統率する為には北部を支配するマフィアの力の増大が急務だったのである。
    しかし、図らずもスティーブの軽率さから現在の実力が窺い知れた事によって、切り捨てて、新たな組織に北部を取り仕切らせた方が効果的である事が露呈した。

    末端の構成員がこれでは、全くもって将来に期待が出来ないからだ。
    ロバートは自分の足元を盤石にし、それから先のステップに進む事を考えていた。
    即ち、混沌を極めるこの世界の支配者として、この地から台頭すると云う事だ。
    その為には、北部の土地がどうしても必要だった。

    世間一般には知られていないが、オセアンは多くの棺桶が発掘される世界的にも希少な土地であった。
    それは、数字を口にするのも憚られる程大昔に、大量の棺桶と銃器がこの地を介して世界規模で取引されていた背景があった為で、
    それを知っているのは、ロバートの経営するオーシャン・トランスポート社に勤める重役だけだった。
    棺桶の埋まっている土地を買収し、ビルを建て、地下で内々に発掘作業に勤しむのが主な発掘方法だった。

    発掘作業は起業当初から奴隷に行わせ、復元・修復作業は外地に依頼した。
    修復を終えた棺桶は子会社を使って外地で売り捌くか、輸入を装って手元に集め、別名義で売りに出すと言うのが彼の一族が脈々と受け継いだ商法だった。
    今でも、効率よくリスクを分散するその形は基本的には変わっていない。
    伝統ある裏の商いは、代を重ねる毎に確実に理想形に近付いていた。

    ロバートに権力のバトンが渡った時、彼は取引先の拡大よりも、街の支配に精力的になった。
    しかし、目立って動く愚は犯さず、裏側で密やかに支配の手を伸ばした。
    そこで、オセアンの支配権を三分割し、権力だけを彼が掌握すると云う手段を取った。
    スポンサーと云う架空の人間を生み出し、金と大量の武器を使ってマフィアを飼い慣らし、経済の発展に理想的な状態を作り上げさせたのである。

    力を欲する人間を操る為の道具を大量に有していたロバートの考えは、見事に功を奏した。
    北部のシモノフ・ファミリー、東部のゴルドン・ファミリー。
    そして西部及び南部は、ロバートがロームベルト・ファミリーと云う組織を作り上げ、それに支配させている。
    これは分割統治と云う太古の統治法を彼なりにアレンジしたもので、これによって、事実上の支配権を彼が握っているのであった。

    この仕組みを知るのは、彼に協力する警察関係者だけだった。
    利害の一致から、彼等は決してこの事を口外しないと、ロバートは確信している。
    大して気にもしていなかった北部の重要性が分かったのは、五年前の事。
    何かの手違いでロバートに届いた、一枚のデータディスク。

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    そこに収められていた内容が明らかになった時、ロバートは運命を感じた。
    それは、これまでにロバートが見たこともない設計思想の棺桶に関する、詳細な情報だった。
    そしてその棺桶は全部で二機あり、このオセアンに残されている事が書かれていたのだ。
    これが運命でなければ、天命としか言えなかった。

    発掘されたデータにあった二機の内、一機はオセアンの西部、市街地に埋まっており、その土地を買収、発掘する事に成功した。
    その土地に今建っているのが、このログーラン・ビルと云う訳だ。
    あまりにも素晴らしい棺桶であった為、ロバートはそれを我が物とした。
    世界の指導者を目指すに相応しい棺桶であったのだ。

    そして、最後の一機。
    それは、オセアン北部に埋まっている事が分かった。
    だが、その地には既に民家が密に建っている為、取り壊さない限り発掘する事は出来なかった。
    棺桶発掘の為には立ち退かせなければならず、だがしかし、反感を買う事は避けたかった。

    同時に、北部の重要性を嗅ぎつけられるのは、何としても防ぎたかった。
    何者かが北部に価値を見出していると悟られ、噂が流れると、土地を買い上げる事が困難になる。
    あくまでも、興味が無い風を装い、なお且つ、無価値な土地であると思わせる事が大切だった。
    だからこそ、北部の重要性が悟られる前に、マフィアが地元住民を追い出せるのに十分な力を付ける為に様々な事を取り計らい、便宜を図っていたのだ。

    しかしシモノフ・ファミリーの能力のなさに、企ては失敗した。
    咲かない花に水と肥料をやるのを諦め、ロバートは新たな種を蒔く準備を整える必要があった。
    その前にはまず、役に立たない種を掘り起こして処分する必要がある。
    二機の特異な棺桶を手中に収めることが叶えば、オセアン周囲の街を片端から支配し、権力を一手に担い、ゆくゆくは世界を牛耳ることも夢ではない。

    彼は自分に統治と支配の才能があると自負し、それを世界中に認めさせたいと云う自己顕示欲に取り憑かれていた。

    (・L_・)「スティーブ、君はこれまでに誰かの役に立った事はあるかな?」

    瓜;゚ 」゚) ゚*’「PEッ!!」

    (・L_・)「……」

    飛んで来た唾を避け、ロバートは涼しげな顔を崩さない。

    (・L_・)「おめでとう、今日が初めてという訳だな」

    (*゚-゚)

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    メリーが無言でスティーブに近付き、その頭にコルト・オートマチックの銃口を向け、毒づく間を与えず頭を吹き飛ばした。
    害虫駆除に自らの手を汚す必要はない。
    害虫は害虫同士、勝手に潰し合って消えてもらうのが一番だ。
    ディーダンが以前から商っていた児童売買を拡張し、ロバートとシモノフ・ファミリーの間に立って利益を得ていた事は、事の始まりから分かっていた。

    ただ、直ぐにそれを止めさせなかったのは、ディーダンの取り扱う商品が大きな利益を生むからであり、
    同時に、マフィアに武器を密かに提供するのに絶好の存在だったのだ。
    図らずもディーダンのおかげで禁忌とされて着手が難しかった児童売買が軌道に乗った今、
    マフィアが持っている児童購入のパイプをロームベルト・ファミリーに引き継がせれば、ディーダンもシモノフ・ファミリーも必要なくなる。

    つまり、機を同じくしてディーダンもシモノフ・ファミリーも不要になったのだ。
    伸びすぎた枝葉を剪定するように、この機に乗じてオセアンの暗部を整える事を考えていた。
    偶然転がりこんで来たスティーブの死を利用して、シモノフ・ファミリーとディーダンを激しくぶつけさせれば、労せず対消滅させる事が望めた。
    ロバートと児童売買の関係を知る二者を処分する手間が省けるのも、大きな魅力だ。

    一見して、協力関係にあるこの二者を激突させるのは難しく思われるが、今回に限り、それは可能となる。
    内通者から、シモノフ・ファミリーがディーダンを少数で襲う予定であることが分かっていた。
    その考えが変わらぬように、炎を成長させる目的で、スティーブの死を使うのだ。
    点火をするのに最も適した人物、それはメリーだ。

    ディーダンが自らの便利で優秀な手駒として思っているメリーは、その実、ロバートの腹心だったのだから。

    (・L_・)「メリー。
        後は任せたぞ」

    (*゚-゚)「はい」

    二つの死体をビニール袋で包み、メリーはそれを室外に運び出した。

    * * *
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    マホガニー製の机の上には、磨き上げられたカラシニコフが置かれていた。
    その部屋には篠突く雨音と時計の秒針が刻む、何とも言えない音と、人間の呼吸の音だけがあった。
    長い沈黙の後、最初に口を開いたのは、この部屋の所有者ニコライ・シモノフであった。

    (゚ム゚" )「……この辺りは、俺の縄張りだ」

    挑発的な視線となじる様な声で応じたのは、皮張りのソファに腰掛けるヒート・オロラ・レッドウィングだった。

    ノパ⊿゚)「で? 正当防衛、って便利な言葉がこの世にあるのを知らないのなら、法律の本よりも先に辞書を引いて調べな」

    (゚ム゚" )「図に乗るなよ。
        俺がその気になれば、まとめて殺せる事を忘れるんじゃない」

    ノパ⊿゚)「あたしがその気になれば、この建物ごとあんたを潰せる事、知らないのか?」

    売り言葉に買い言葉。
    互いに一歩も譲る気配はなく、妥協点と呼べる物は既に模索した後である為、いつ何時爆発するか分からない。
    余計な手間と仕事を増やしたくないと云う一点でのみ、両者の利害と意見は一致していた。
    罵りこそすれ、殺し合いに発展する気配はない。

    今はまだ、だが。
    それまで沈黙を守り、胸に耳付きの少年ブーンを抱えていたデレシアは、愚論に辟易した風な溜息を吐いた。

    ζ(゚、゚*ζ「手っ取り早く訊くけれど、貴方の要求は何?」

    デレシアの気迫に気圧されたのか、ニコライは観念して溜息を吐く。
    この部屋の空気の八割は溜息で満ちていそうなほど、皆が溜息を吐いていた。

    (゚ム゚" )「……手を貸してもらいたい」

    ζ(゚、゚*ζ「詳しく話して」

    ニコライは頷きもせずに、手短に説明を始めた。
    武器と児童売買の取引相手であるディーダン・ブランケットが、策謀を巡らせてこの地域で好き勝手に動こうとしている事を、最初に説明した。
    そして、ディーダンがヒート達を殺す目的で地元住民を雇った事が判明している事を、続けて補足した。
    オセアン北部の下町を暗部から支配するシモノフ・ファミリーとしては、それらの蛮行を看過出来ない。

    50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/03/05(月) 21:30:05.04 ID:PAgs4bRu0
    そこで、確たる証拠を取り揃えた後、ディーダンを潰す予定となっていた。
    一応、表向きにディーダンは善人と云う事になっており、ディーダンを殺した後で警察に事情を説明する為には、筋の通る証拠が必要だった。
    しかし、生きた証拠――正確には言質でも構わない――がなければ意味が無い為、生き証人となる筈だった男達が全滅した今、ディーダンを密かに殺す必要があった。
    警察に知られて、面倒になる前に。

    デレシアが耳にしていた通り、ニコライは賢い男だった。
    リスク管理が不十分とはいえ、リスクを見つけ次第取引相手であろうが切り捨てるその潔さは、間違いなく、彼の長所だ。
    問題点としては児童売買に一枚噛んでいた点であり、それは即ち、ブーンの売買にも携わった可能性があると云うことだ。
    とは言え、それを咎めるのは間違いと云う物。

    その辺りを、デレシアは心得ている。

    (゚ム゚" )「言っての通り、ディーダンは棺桶も銃器も取り扱っている。
         腕の立つ人間がいた方が、俺は何かと安心できるんだ。
         窮鼠猫を噛むと言うだろ」

    ζ(゚、゚*ζ「それで手を貸せ、と? 自分の部下がいるじゃない。
          それとも忠誠心ゼロ?」

    (゚ム゚" )「……大勢引き連れて行くわけにはいかない。
         東部のゴルドン・ファミリーが潰れた今、どこだって腹の探り合いをしているんだ。
         変に刺激して、敵に回したくはない。
         だから、出来るだけスマートに、静かに終わらせる為にも少数精鋭で行く必要がある。

         マフィアが一度に大勢動くとなると、警察だって黙っちゃいない。
         するとどうだ、正比例してスポンサーに払う金が増える。
         それなら、腕の立つ部外者を雇って少数で動いた方が利口だ。
         あぁ、それと、あの殺しの件は起こらなかった事にしてやる。

         勿論、ディーダンが抵抗してきた場合に関しても、それで生じた問題は俺が背負う」

    筋の通っている話だ。
    しかし、正直デレシアは面倒だった。
    警察に追われる事になってもこの先、デレシアが旅を続けることに何ら支障はないし、人身売買を商う小物を潰した所で、何一つとして面白味が無い。
    気乗りのしない事は、しない主義だった。


    ――いや、違う。
    これは、大物が食いついて来る可能性が非常に高い内容の話だと、直ぐに考えを改めた。


    ζ(゚、゚*ζ「それで、ディーダンの後ろには誰がいるの?」

    (゚ム゚" )「……気付いたか。
         ロバート・サンジェルマン、海運業の大物だ。
         ディーダンは、ロバートと俺との間に立って、武器を捌いてた」

    これで、この街を裏で動かしていた人物――スポンサー――が誰であるかが分かった。
    なるほど確かに、この地は大戦中に多くの棺桶が出荷前に、或いは、輸入して間もなく激しい砲火に見舞われて土と瓦礫の下に埋まっている。
    それを発掘して売り捌き、富を築き、支配力を強めていたのだろう。
    大勢のマフィアが貴重品である棺桶を持っている事に、これで説明が付く。

    彼が裏でマフィアに武器を流し、資金を提供して支援する事で妙な秩序をオセアンに定着させていたのだ。
    しかし、何故ニコライに対して直接的に武器の提供をしないのかが疑問だった。
    ロバートほどの人物ともなれば、この程度の思惑は直ぐに気付く事が出来るだろう。
    ディーダンを介入させる事に何らかの利益を見込んだか、もしくは、そこに深い理由があるとしか思えない。

    きっと、ニコライの髪の毛と一緒で人望が薄いのだろう。
    となれば、ロバートが思い描いている思惑を想像するのは容易だ。
    権力者の考える事は、いつの時代何処の場所でも同じ。
    この地から世界に向けて支配の手を伸ばし、頂点に君臨する事を夢見ているのだろう。

    強力な棺桶は、それを可能にするだけの力を秘めている。
    しかし所詮は英雄譚を読み、英雄を目指したドン・キホーテと同じ、愚者の見る夢だった。
    生半可な権力でどうにかなる程、この世界は甘くは出来ていない。
    そう云った不相応な淡い夢を踏み躙ることが、デレシアは好きだった。

    (゚ム゚" )「ディーダンを殺した後は、俺が奴と直接取引をする」

    ζ(゚、゚*ζ「好きにしたら? 私も、好きにさせてもらうわよ」

    取引相手が生きていればの話だが、とデレシアは喉まで出かかった言葉を飲み込む。
    今は利害が一致しており、であるからして、今のところはニコライの邪魔をするつもりはない。
    障害の排除が終われば、もう、ニコライは用済みとなる。
    その時までは精々悟られない様、大人しくしておいてもいいだろう。

    ノハ;゚⊿゚)「おいおい、手を貸すのかよ?」

    ζ(゚、゚*ζ「手を貸す訳じゃないわよ。
         ただ、利害が一致しているから、途中までは一緒に行動をするだけよ。
         ヒートはどうする?」

    ノパ⊿゚)「……まぁ、あたしはこの街の出身だから害虫駆除はやぶさかでもないし、十字教は個人的に嫌いだからね。
        それに、ブーンを護る人間が多い方が何かといいだろ」

    ζ(゚、゚*ζ「と云う訳。
         さっさと行って、さっさと潰しましょう」

    (゚ム゚" )「そう焦るな。
         女はせっかちでいけない」

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    ニコライの言葉を後押しするように、備えつけの電話が鳴る。
    ニコライは慌てることなく受話器をとって、耳に当てる。
    その向こうから慌てた様な男の声が聞こえると、ニコライの顔が怒りで蒼白になった。
    ゆっくりと受話器を置き、ニコライは震える声で言った。

    (゚ム゚"#)「……死体が二つ、埋められているのが見つかった」

    深呼吸してから、ニコライは更に続ける。

    (゚ム゚"#)「スティーブと……フランク・チシットの死体だ。
         スティーブは……ディーダンの十字架を飲み込んでたと……!!」

    ヒートは不自然なほどに無表情だった。
    怒りを炎に比喩するのなら、今のヒートの怒りは白熱化している状態だ。

    ノパ⊿゚)「……ふぅん」

    それだけ言って、ヒートは押し黙りニコライを一瞥し、無言の催促をした。
    速く、ディーダンを狩り立て、殺しに行こうと。
    滲み出るその無色透明無味無臭の殺意は、それだけで人の感情を恐怖一色に塗り替える事が出来そうな代物だった。
    だが、デレシアはその空気を察しても尚、次の言葉を口にする事を躊躇わなかった。

    ζ(゚、゚*ζ「ヒートと話があるから、外に出ていて」

    (゚ム゚" )「……さっさと済ませろよ」

    ニコライは他にも何か物言いたげだったが、デレシアの一睨みで肩を竦めて諦め、部屋を出た。
    気配が遠ざかってから、デレシアはヒートに問う。

    ζ(゚、゚*ζ「どう思う?」

    ノパ⊿゚)「……何が?」

    声だけは冷静だが、その声が孕んだ激しい殺意が仄見える。
    ヒートの事を気に入り始めているデレシアは、一応、助言をする事にした。
    復讐は構わないが、相手を間違えた復讐程不毛な事はない。
    どうせなら、デレシアの図り事に参加してもらった方が、まだ双方にとって有益だ。


    ζ(゚ー゚*ζ「貴女の幼馴染を殺したのは、誰か、ってこと」


    ノパ⊿゚)「……?」

    ζ(゚、゚*ζ「よく考えれば、本当の相手が誰なのか分かる事よ」

    激情に駆られている中、人は分かりやすい証拠に容易く食い付き、思考を停止する。
    幼馴染が殺されたとあっては、さしものヒートでも、冷静さを欠いてしまうだろう。
    フランクとスティーブの死は、ディーダンの差し金ではない。
    まず、冷静に考えればこの嵐の中誰がどのようにして、埋められている死体を発見したのかと云う疑問にぶつかる。

    余程の馬鹿でもない限り、海辺の人間は嵐の中、外出しない。
    ここが漁業の盛んな場所と云う事を鑑みれば、不自然極まりない。
    つまり、発見者――恐らくシモノフ・ファミリーの人間――は、真犯人の息がかかった内通者と云う事になる。
    裏で糸引く人間の仲間と共に殺しの場にブーンを連れて向かうなど、デレシアは御免だった。

    ダイナマイトを抱えて火事の現場に向かう様な物。
    ガソリンを被ってキャンプファイヤーをする様な物だ。
    加えて、商売が軌道に乗っている中で、ディーダンが取引相手の部下を殺す様な愚は犯さないと考えるのが自然。
    それは、ディーダンがそれなりに頭の働く人間であることをニコライが証言している為で、この展開はあまりにも理に敵わない。

    自棄になっているのなら、話は別だが。
    真犯人である何者かがディーダンに怒りの矛先を向けさせたのは、シモノフ・ファミリーと共に屠る為だろう。
    理由は知らないが、手を汚すことなく潰し合いをさせるのが狙いだとすれば、相手の思惑通りに動く事は愚行。
    となれば、傍観を決め込もうとしている人間を引きずり降ろし、同じ舞台に立たせれば、面白い事になる。

    デレシアとヒートの目的を同時に果たせるのであれば、それが最上の展開だ。
    そして、両者が潰れて一番旨味があるのは一人だけ。
    なかなかに狡い人間だが、まだ思慮が浅い。
    二人が殺されなければ、デレシア達はディーダンだけを殺していただろう。

    デレシアの推論を反芻し、ヒートは訝しげな声で確認するように訊き返した。

    ノパ⊿゚)「……ロバートが黒幕ってことか?」

    ニコライがそう考えた様に、ロバートもまた、権力拡大を図る為に切り捨てを行う腹積もりなのだろう。
    ニコライとディーダンから人身売買に関するパイプを奪い取れば、独自に商売を展開する事が出来る。
    まっとうな考え方だった。

    ζ(゚ー゚*ζ「そう考えるのが普通でしょうね。
          それに、思い出してみて。 スティーブは最後、誰と一緒にいた? その人間も、無関係と考えられないわよね」

    ノパ⊿゚)「メリーか……!!」

    酒場をメリーと共に出てから、スティーブが死に、フランクが死んだ。
    つまり、この二人の死は関係していると考えていい。
    だが、そうなると一つの前提が浮かび上がる。

    ノパ⊿゚)「……じゃあ、メリーはロバートと繋がってるのか?」

    ζ(゚ー゚*ζ「そうね。
          だけど、それだとまだ不正解。
          牧師の十字架を入手できるのは、内部関係者だけでしょう? メリーはディーダンとも繋がっていると考えるのが普通でしょうね。
          まぁ、後はマリアって女の正体も、恐らくはメリーよ。

          文字に書き起こせば同じ綴りだし、十字教の信者なら、その綴りでマリアって読むから。
          ディーダンはメリーを経由して、信者を動かして私達を襲わせたって事が予想できるでしょう?
          襲わせた理由は知らないけれども、信者なら連絡を取るのは簡単でしょうし。
          強いて言えば、メリーが十字教に関係しているって証拠が欲しい所ね」

    落ち着きを取り戻したのか、ヒートは拳を顎に当てて、何かを思い返している様だった。
    そして、眉を顰めて自責する様に天井を仰いだ。

    ノパ⊿゚)「そうだ……そうだよ、何で気付かなかったんだ……!! あの女、フランクの名前を知ってた!!」

    ζ(゚、゚*ζ「名前?」

    ノパ⊿゚)「あいつらは初対面だったんだ。
         誰もあいつの名前を口にしてないのに、あの女、フランクの名前を口にしてたんだ。
         フランクの名前を知る機会があって、なお且つ共通してる点は……」

    ζ(゚ー゚*ζ「……教会、つまり、ディーダンに続くってことね」

    これで、裏が取れた。
    黒幕は間違いなく、ロバートとメリーの二人だ。
    メリーの役割は、スパイとしてディーダンの下に潜伏して様子を窺う事。
    そして、メリーがスティーブを殺した事によって、ニコライの怒りを煽ったのだ。

    そうすれば、容赦なく潰し合うからだ。
    情報が次々と繋がり、オセアンの地下深くに張り巡っていた根が、一気に正体を表す。
    根源はロバート。
    ロバートの命を受けてメリーが操る傀儡は、ディーダンと地元マフィア。

    ノパ⊿゚)「……随分と、根の深い話だな」

    デレシアの見立て通り、ヒートは非常に優秀な頭脳を持っていた。
    相手の正体が分かった途端、先程までの殺意はその純度を保ったまま、矛先だけを正確無比に変えたのである。
    それは経験の賜物。
    優秀な殺し屋の証だった。

    ただ、やはり惜しむらくは経験値の少なさだが、それは時間と心持次第で幾らでも改善できる。

    ζ(゚ー゚*ζ「それで、どうする?」

    答えは大凡予想できたが、それでも改めて、デレシアは尋ねた。

    ノパ⊿゚)「ディーダンも殺す。
        ロバートも、メリーも殺す」

    実に模範的な回答だった。
    少しばかり試す意味を込め、デレシアは今一度確認する。

    ζ(゚、゚*ζ「でも、ここは貴女の街でしょう? きっと、大混乱になるわよ、優秀な支配者がすっぽり土台からいなくなるんですもの」

    ノパ⊿゚)「あたしには関係ないね」

    少しだけ、その眼が陰ったのをデレシアは見咎めたが、追求する事はしなかった。
    その答えで十分だった。

    ζ(゚ー゚*ζ「なら、戦場を西部の市街地に移した方がいいわね。
          逃げられない為にもね。 それなら、色々と面倒が省けるから」

    警察が買収されているとしても、流石に、街中で銃撃戦が起これば出動せざるを得なくなる。
    ディーダンの役割は警察の眼を惹きつける餌、そして種火だ。
    警察の関心がディーダンの方に向き、命の危険を感じたロバートが行動を起こす前に襲う。
    例えロバートであっても、まさか、この様な事態に即日発展するとは想定していまい。

    その慢心を利用し、デレシアは容赦なく、この街の完成された秩序を衆人環視の中で蹂躙する。
    この街の終わりを、大々的に告知することを想像しただけで、血が滾る。
    ヒートの実力は未知数だが、単独の戦闘力はガーディナを遣ってきた男よりも遥かに高い。
    手放しの信用はしない主義だが、ヒートになら、ある程度任せても構わないだろう。

    ノパ⊿゚)「でも、どうやって移す?」

    ζ(゚、゚*ζ「あの牧師をロバートの近くに追い立てればいいのよ。
          方法はいくらでもあるわ」

    市街地に逃げるように仕向ければ、後は簡単だ。
    道具は一通り揃っている。
    オセアンの夜を賑やかにして、長らく続いて来たロバートの思惑を文字通り木っ端微塵にするには事足りる。
    オセアンは今一度、ゼロに還るのだ。

    デレシアの計画をヒートに伝えると、彼女は妖艶な笑みを口元に湛え、無言でデレシアに握手を求めた。
    固い握手を交わし、二人は改めて、自分達が似ている事を確認した。

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    細かな段取りを打ち合わせた後、ヒートは肝心な事を訊いた。

    ノパ⊿゚)「……だけどよ、そんなことしたら、マフィアが黙っちゃいないだろ?」

    ζ(゚ー゚*ζ「口が無ければ黙るでしょ」

    満面の笑みと共にそう答え、デレシアはブーンをヒートに預けてソファから立ち上がった。
    寝心地が変わったのだろうか、ブーンはヒートの腕の中で身動ぎをして、ヒートの膝の上で丸くなった。


    (∪´ω`)「……んぅ」


    無垢な寝顔を見たヒートの顔から、みるみる毒気が抜けて行く。

    ノパー゚)「……」

    (∪´ω`)「……ぉー」

    それから、ブーンは規則正しく安らかな寝息を立て始めたのであった。

    * * *
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    生前。
    あれほどに疎ましく思っていた幼馴染の声が二度と聞こえなくなると思うと、ヒートは空しさと後悔に苛まれた。
    振り返ってみれば、フランクは目障りではあったし、救い難い馬鹿でもあったが、それでも、恨んだり憎悪の対象になったり、殺意が芽生えた事はなかった。
    彼が死んで初めて、ヒートはフランクが俗に言う愛しい馬鹿である事に気付いた。


    ノパ⊿゚)

    (#'_フ';;#)


    デレシアの計らいでディーダンの下に向かう前に死体安置所に寄り、フランクと二人きりになったヒートは、様々な事を思い出していた。
    学生時代、フランクは周囲から呆れられていたが、本当に嫌われてはいなかった。
    本当に嫌われていれば、誰も彼に話しかけなかったし、彼の武勇伝を面白おかしく伝え聞かせたりはしない。
    周りが快く思わなくても、彼なりの生き方を貫いていた為だと、今なら分かる。

    優柔不断ではあった。
    底知れぬヘタレではあった。
    呆れ果てる程の駄目男ではあった。
    ヒートが嫌悪して止まない神に仕えていたが、それでも、フランクはヒートの幼馴染だったのだ。

    彼を幼少から知っているヒートは、例えフランクがどれだけ駄目な人間でも、完全に憎む事は出来なかった。
    憎み切れるはずがない。
    フランクとの間に悪い思い出は確かに大量に有った、それこそ、思い出の九割と言い換えてもいい。
    それでも、残った一割には良い思い出が有った。

    彼に救われた人間は、少なからずいたかもしれない。
    今となっては、真相は分からない。
    フランクは何も語れないのだから。
    青ざめた顔は痣と深い傷だらけで、ここに運ばれる前は血と泥だらけだったと云う。

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                        ,';;;;;;;,' ´ ̄`   ィ彳-ッ、   jiiii!
                        ,';;;;;;;;{  く;;,,,,..、  `゙゙ヽ  イkjjj!
                       ノ;;;;;;;'′ ,,;;;'´ j゙゙`    ‘ .:jィイ
                       {;;;;;;;′ ,イ,==、、     ; .ji! jツ′
                      ;:;;;:;;;;;;:;:;:;:{,、、、,, .:;j     ノノ )
                      ゞ;:;:;;;:;: '´゙゙  ̄`ヽ' ;;'  ,ヘ_ソ
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    綺麗とは言い難い死に顔だった。
    一目惚れした人間に殺される気持ちは分からないが、さぞや悔しかったことだろう。
    フランクの事だ、どうせ、最期まで理由を問い質そうとしていたに違いない。
    フランクは、そう云う人間だったのだ。

    殴りもした。
    蹴りもした。
    だが、ヒートはフランクを殺せない。
    フランクがどれだけ醜態を晒し、ヒートを不愉快にさせても、殺す事だけはどうしても出来ない。

    ヒートにとって、フランクはそう云った存在だったのだ。
    それを奪った罪は、必ず償わせる。

    ノパ⊿゚)「……あの世って云うのがあるのなら、きっと、お前にとっては楽園なんだろうな。
         ……じゃあな、フランク」

    遺体袋のファスナーを閉め、ヒートは遺体安置所を足早に出て行った。

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       ヾ」':::::::/    \`ー':::::::::::/ ヽ;;;;;;;ノ          ヽ、;;;;;;;;;;::/
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    鼠色のSUVが五台連なって、視界不良の嵐の中、アスファルトの上を猛スピードで走っていた。
    三列あるシートの内、最後尾のシートを倒して、そこにはBクラスの棺桶が整然と並んでいた。
    運転手と搭乗者は、無駄口を一切利かず、前方を走る車のテールランプを頼りにハンドルを切り、アクセルを踏んでいた。
    ライトを点けているのは、先頭を走る車両だけで、それ以外は皆、ライトを切って車間を狭めて走っていた。

    それは葬列の様に陰気くさく、戦列の様に危険な香りを漂わせていた。
    電池で走るSUVはただでさえ静かだったが、嵐の為に、タイヤが水を跳ねる音は目と鼻の先にいる味方の車両にまで届かない。
    正に、沈黙の行進だった。
    先頭の車両には、運転手を含め、五人の搭乗者がいた。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    / ̄ ̄ ̄ヽ     ゛============''   /^ヽ ̄ ̄ヽ  \
    |      |                  |  |    |   ヽ
    |____|                 |__|___|.   |
    _||_||__              __||___||_.  |
    ___    ヽ_________/ ̄ヽ  ____ ヽ |
             |__   ____  |  |           |
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    (゚ム゚" )「この先の崖の上に、奴がいる。
         メリーと云う女に関しての資料は、残念ながら見つからなかった。
         せめて本名が分かれば調べようもあったんだが、まぁいいだろう」

    助手席に座っていたニコライが、手元の資料をペンライトで照らし、後ろに座るヒートに確認を取る。

    ノパ⊿゚)「あぁ、分かった。
        これからディーダンを殺すんなら、それでいいさ」

    (゚ム゚" )「その調子だ」

    ペンライトを消し、ニコライは視線を前に向ける。
    懐に手を入れ、そこから煙草の箱を取りだそうとした時、背に視線を感じた。

    ζ(゚、゚*ζ「喉元カッ捌かれてから煙草の煙を吸うとどうなるのか、見てみたい?」

    (゚ム゚" )「……糞」

    忌々しげに呟いて、ニコライは煙草を懐に戻した。

    ζ(゚、゚*ζ「御協力どうも」

    ニコライは何も言い返せなかった。
    実は出発する五分前に、ニコライは部下からとある話を聞いていたのだ。
    オセアンの完成された秩序を嘲笑するが如く東のゴルドン・ファミリーを壊滅させ、逃げ果せた人間の風体と、その特徴を。
    そしてそれが、後部座席に座っているデレシアである事は疑いようがない。

    下手に刺激しない様、だが、オセアンの秩序を守る為にも、ニコライはデレシアを殺す機会を窺っていた。
    ディーダンを殺したら、次は、この女の番だとニコライは決心した。
    ヒートが自前のAクラスの棺桶を持って来ている事が気掛かりだったが、数の暴力でどうとでもなると、さして気に留めなかった。

    (゚ム゚" )「……ここで降りるぞ」

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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    教会の手前、一六〇ヤード程の位置でSUVが静かに止まり、エンジンを切る。

    ζ(゚、゚*ζ「どうぞお先に」

    (゚ム゚" )「……おい、どう言うつもりだ?」

    責める様なニコライの言葉に、デレシアは深い、深い溜息と共に辟易した風に答えた。

    ζ(゚、゚*ζ「はぁ……いちいち頭を使えって言わないと、考えられないの?
          最初に斥候を出して、ディーダンがいるかどうかを確認するのが先でしょ?
          勇み足踏んで爆弾でも仕掛けられてたら、皆まとめて吹っ飛ぶのよ?
          それとも、空を飛ぶのが夢なの? それなら、手伝いましょうか?」

    罵られた事は業腹だったが、流石はニコライ、ここはマフィアの首領らしく歯ぎしりして堪えた。
    全くもって腹立たしい事ではあるが、デレシアの言葉は一理あるどころではなく、一部の隙もない正論だった。
    ディーダン程の警戒心が強い人間が、何の対策もしていないとは思えない。
    ニコライは携帯電話を取り出し、部下に電話を掛けた。

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     ┃┌─┐┃
     ┃└─┘┃
     ┠───┨
     ┃□  □┃
     ┃①②③┃
     ┃④⑤⑥┃
     ┃⑦⑧⑨┃
     ┃*◎#┃
     ┗━━━┛
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    (゚ム゚" )「俺だ。
         二号車、奴がいるか見て来い。
         正面から行く奴は拳銃だけ持っておけ、警戒されると厄介だ」

    二台目の車から、黒いレインコートを被った屈強な男達が飛びだし、教会に向かって走って行く。
    人影は直ぐに雨の中に消え、見えなくなった。

    (∪´ω`)「……ふゅ?」

    ゆっくりとブーンが瞼を上げた事に気付いたのは、デレシアとヒートの二人だけ。
    その理由が分かったのも、デレシアとヒートの二人だけだった。

    * * *
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    六人の男達はまず、表口と裏口に別れた。
    裏口に棺桶持ちが三人、表口に二人と、物陰に棺桶持ちが一人隠れ潜む。
    表口の男が教会の扉を叩くが返答はなく、呼び鈴を押すも無反応だ。
    顔の水を手で拭いとり、男は電話を掛けた。

    (-゚ぺ-)】「ボス、駄目です。
          出ません」

    (゚ム゚" )『電話してみろ』

    (-゚ぺ-)】「了解です、ボス」

    電話帳の中にあるディーダンの番号に掛けるが、電源が切れているらしく、繋がらない。
    もう一度、ニコライに電話を掛ける。

    (-゚ぺ-)】「駄目です、野郎、電源を切っているみたいで」

    (゚ム゚" )『……行け』

    (-゚ぺ-)】「了解です、ボス」

    電話をしまって、男は懐からコルト・ガバメントを抜いた。
    裏口にいる味方とタイミングを合わせる為に、電話をハンズフリー・モードに切り替え、呼び出しボタンを長押しした。
    これで、短距離間の通話が出来る。
    一種の無線機の代用になる機能だ。

    (-゚ぺ-)「テン・カウント」

    十秒後、静かに教会の扉を押し開いた。

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    コルトを両手で構えながら、男達は長椅子の間や柱の影に目を光らせ、ディーダンの姿を探した。
    しかし、人の気配が無い。
    不気味に佇むオブジェに、ガタガタと揺れるステンドグラス、極めつけは趣味の悪い装飾の施された、巨大で不気味な十字架を掲げた祭壇だ。
    一分ほど経ち、裏口から入って来た男達と合流し、建物の中にディーダンがいない事を確認し合った。

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    (-゚ぺ-)「いねぇな」

    【+  】゚べ゚+)「逃げたのか?」

    棺桶持ちの男が、心なしか、残念そうな口調で尋ねる。

    (-゚ぺ-)「勘の良い野郎だ」

    【+  】゚べ゚+)「ゴキブリと一緒だな」

    ニコライに連絡しようとした、正にその時。
    教会内に、ディーダンの勝ち誇った声が反響した。


    (::・,Θ・:)『死は新たな生の始まり。
          故に、名も無き我等は死を恐れず、神の愛を永久に探求する!』

    そして、その声が教会にいた男達の聞いた最後の声となった。
    視界一杯に広がった紅蓮の炎によって、男達は瞬時に焼き殺されたのである。

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                            ,,ノ;ノヾ从.         ;' ('
                        ,;;'人,,ノ;ノヾ;,.,.            ,;ノ'
                      ,,.,,;;'人,,ノ;ノヾ;,.,.:..               (;,
             ,,.,.,...:.:;:;';':'゙':..::..:...                     :.;'ノ'゙
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                            十
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                 (ヽ、 ,ノ )´( 、 ゝ、iヽ
                  ) Y  人 ヽ)ゝ'丿i__ヽ,
                 !)ノ'  ノ ,(  `  |iiiiiii|iiiii|
               / ((  ´!. 、   t ヽ、 `t  ,
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    教会から文字通り火の手が上がる少し前、ブーンは完全に目を覚ました。

    (∪´ω`)「……ぁっ」

    そして、その言葉に続いて、教会の壁を突き破って巨大な影が躍り出た。
    それは、銀色に輝く、十四フィートの身長を誇るCクラスの棺桶。
    あれが、ディーダンの所有している棺桶。
    それは、非常に珍しい種類の棺桶で、デレシアでさえ、大戦で全て失われ、現存する物は無いと思っていた程だ。

    ζ(゚ー゚*ζ「……あら」

    物珍しさから思わず身を乗り出して、その姿を確認する。
    各宗教が様々な目的を持って開発させた棺桶、それが〝レリジョン・シリーズ〟である。
    レリジョン・シリーズの殆ど――〝マハトマ〟などの例外は存在するが――は第三次世界大戦と共に世界中で勃発した宗教戦争の煽りを受け、
    製造は短期で中止、出回っていた棺桶も戦闘や爆撃で失われた。

    (+《|l|l|》)

    そしてディーダンが駆使しているのは、十字教の製造したレリジョン・シリーズを代表する棺桶、〝デヴォティー〟だ。
    全体的に突起は少なく、節々は丸く滑らかな形状をしている。
    機能よりも造形美を優先して設計された銀色の外装は炎に照らされ、怪しげに輝いていた。
    外装に継ぎ目は見当たらない。

    それもその筈だ。
    何せ、外装に使用されている金属は全て削り出しの一品。
    神が従える騎士をイメージして設計されただけあって、長身痩躯の外観は純銀製の燭台と見紛うばかりの輝きを放っている。
    一体辺りの製造費はジョン・ドゥの二倍近く掛かる、高級な棺桶である。

    デヴォティーは棺桶型コンテナを巨大な十字架に偽装し、何食わぬ顔で堂々と祭壇に飾る為の棺桶だ。
    その為、非武装を装って相手を油断させた所で一気に敵を殲滅する事に使われ、悪名の高い棺桶でもあった。
    兵士の士気低下に繋がるとの事から、十字教の建物は無差別爆撃と破壊の対象となり、その勢いで殆どのデヴォティーが失われた。
    そして、発見されてもそれが対立宗教の人間に見つかった場合、即座に解体されて部品を売り捌かれたのであった。

    棺桶としてよりも、そう云った点の方が優れていたのは間違いない。
    デヴォティーの性能は悪くはないが、ジョン・ドゥの方が実戦向きの強みがあるのだ。
    だが、デヴォティーは隠匿性に優れているだけではなく、それ一つで大人数を相手取る事が出来ると云う利点を持っていた。
    それを実現させたのが、今し方、教会に入った男達にジューシーな一時を提供した火炎放射機だった。

    (゚ム゚";)「な、なんだ、あれは?!」

    ζ(゚、゚*ζ「ディーダンじゃないの?」

    慌てふためくニコライを余所に、デレシアは涼しい顔をしていた。
    デヴォティーを初見で倒すのは難しいだろう。
    あの外観と得物は、流石は宗教関係の人間が設計しただけあって、人の心理を揺さぶるのに優れていた。
    しかし、欠点もある。

    ゲル状の燃料を使う火炎放射機は、黄金を燃料にしている様な物。
    燃料が尽きた時、デヴォティーは攻撃の手段を失う。
    尤も、燃料と云う概念は一般人の間には殆ど浸透していない為、価値を知らないとしても、無理もない話だった。


    ::(;∪´ω`)::「……ぁ……ぁぅゎ」


    ブーンが怯え、震え始めてしまった。


    ノパ⊿゚)「ブーン、大丈夫か?」


    ;(;∪´ω`);「…………」


    心配してヒートが声を掛けるが、返事も出来ない程にブーンは怯えていた。
    幼い子供が嵐の夜に見るには、些か、衝撃的な光景だった。

    ζ(゚、゚*ζ「ほら、貴方首領なんでしょ? さっさと行きなさいよ」

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    / ̄ ̄ ̄ヽ     ゛============''   /^ヽ ̄ ̄ヽ  \
    |      |                  |  |    |   ヽ
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    急かす様にそう言ってシートを足蹴にすると、堪忍袋の緒が切れたニコライが憤怒の表情を浮かべ、デレシアに掴みかかる。

    (゚ム゚"#)「っ……!!」

    ζ(゚、゚*ζ「……」

    デレシアが呆れ顔でその手首を掴んで力を込め、骨が軋むと、ニコライは途端に大人しさを取り戻した。
    ヒートとブーンの見守る中、デレシアは悠然と言い放つ。

    ζ(゚、゚*ζ「こうやって私に喧嘩を売って、言い訳を作って逃げるつもりなのかしら? だらしないのね。
          首領たる者、部下の見本になるのが筋ってものでしょう」

    (゚ム゚"#)「は……なせっ!!」

    運転手が首領の危機を感じ取り、懐に手を伸ばす。
    それより速く、ヒートはベレッタを懐から抜き放ち、運転手の首筋に刃を押し当てていた。

    (●ム●;)「ヒッ……!!」

    軽く触れただけで皮膚が切れ、そこから、薄らと血が滲んだ。

    ノパ⊿゚)「……おいおい、仕事が違うだろう。
        手前の仕事はそいつの煙草にライターで火を点けて、車を可愛がることだ、違うか?」

    (゚ム゚";)「くっ!!」

    ζ(゚、゚*ζ「棺桶は飾り? それとも、自分が収まる用の本物の棺桶?」

    (゚ム゚";)「舐めるな、このっ……!!」

    ζ(゚、゚*ζ「言葉よりも行動。
          それが首領よ」

    血が止まって白く変色した手をデレシアが離すと、ニコライは助手席から飛び出す様にして降り、後ろに積んであった棺桶を背負った。
    それに感化され、彼の部下が次々と下車し、棺桶を背負ってディーダンと向い合う。
    ヒートは運転手の首からベレッタをどかし、肩を軽く叩いた。

    ノパ⊿゚)「お前も行くんだよ」

    (●ム●;)「ちっ!!」

    クリンコフを手に、運転手も逃げるようにして嵐の中へ出て行った。
    どうやら、彼だけは棺桶持ちではない様だった。

    ノパー゚)「さぁ、ブーン。 もう大丈夫だ」

    (;∪´ω`)「……」

    ヒートがブーンの頭をくしゃくしゃと撫でる。

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                  `ヾ '"         :..,! _,,. --ュヽ
     \   、                   ‐-=-''"   〈.. ノ ゙:、
       \  ` 、      ,,                  /丶、 ゙'ヽ
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           ゙:、::::::  .,,_           _,.-''゛   、    \
           /> --''"``丶、、zz==''"         ゙、      ヽ
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    少しだけ、ブーンの怯えが収まったように見えた。
    辛抱堪らず、ヒートはブーンをその胸に抱き寄せた。

    ノパ⊿゚)「しっかし、上手く行くもんだな」

    ディーダンに電話をした所で、用心深い彼がそう簡単に信じる筈がない。
    それどころか、余計な警戒心を植え付けてしまい、教会から外に出てこない可能性もあった。
    だから、打って出させる為に、突入の状況を教えてやったのだ。
    方法は簡単だった。

    車内で作戦に関する話を始めた辺りでディーダンに電話を掛け、こちらの会話を全て聞かせてやるだけだった。
    後は彼が勝手に考え、動くと云う寸法だ。

    ノパー゚)「さぁて、デレシア。
        あんたの腕、見せてもらおうか」

    (;∪´ω`)「……ぉ」

    ブーンはヒートを強く抱き返し、その胸に顔をうずめて震えていたのであった。

    * * *

    棺桶持ちに囲まれたディーダンは、火炎放射機を腰だめに構えた。

    (+《|l|l|》)

    何者かは知らないが、この強襲の情報を教えてくれた事には感謝している。
    おかげで、デヴォティーを身に纏う事が間に合い、成す術なく殺される事は避けられた。
    しかし、半信半疑だったため、逃げる準備に手が行き届いていなかった。
    酒もまた、彼の思考力を鈍らせるのに一役買い、結果、こうして囲まれてしまったのだ。

    後悔しても遅い。
    だが、ジョン・ドゥがどれだけ束になって掛かってこようとも、この火炎放射機があれば、鬼に金棒だ。
    今夜は盛大な火葬パーティーを開ける。

    (゚ム゚"【+  】「よぉディーダン、バーベキューをするなら、俺を呼んでくれればよかったのによぉ」

    ニコライの声に、ディーダンは反応しなかった。

    (゚ム゚"【+  】「ここは幸い教会だ。 火葬にしようが土葬にしようが、神のお膝元に行けるってやつだ。
           さぁ、足りないのは祈りだけだ。
           精々、家畜の神様に祈るんだな!」

    それに続いて、部下達が最終音声コードを入力し、棺桶を展開する。

    ΩΩΩ『そして願わくは、朽ち果て潰えたこの名も無き躰が、国家の礎とならん事を!!』

    〔Ⅲ゚[::|::]゚〕:]゚〕:]゚〕:]゚〕:]゚〕

    二十体以上のジョン・ドゥがその姿を表す。
    ディーダンは覚悟を決め、火炎放射機を使用した。
    貪欲な炎が、彼を取り囲んでいたジョン・ドゥを焼く。

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                     、   ,    `Y   |   ∵”
                   ,ノ)        |   人
            ,      `Y´(    '     ,/    く、
             ヽ、    |  ) 、    /       }      丿)               、
    .        __,ノ ) ' / (_,ノ)  (::::::::::::::::::::::  \ノ!   / (     ノ!        ,ノ)
    .      (.  (_,/     (__)    ::::::::::::::::::::::ゝ/  ,)    | \     `Y´(
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    〔Ⅲ゚[::|::]゚〕「が、あっがががががぁぁぁ!!」

    纏わりつく炎はジョン・ドゥを纏う人間を、内部から蒸し焼きにした。
    手が持つ武器は炎に焼かれ暴発し、散発的な銃声が響き渡る。

    (+《|l|l|》)「うおぉぉぉ!!」

    ディーダンは叫ぶ。
    まだ、まだここで死ぬわけにはいかない。
    彼の思いが通じたのか、雨風に晒されても炎は萎える事を知らず、貪欲に人を焼き殺す。
    焼かれたジョン・ドゥが次々と倒れ、彼に危害を加えようとする輩が一人ずつ減って行く。

    (゚ム゚"【+  】「この……豚がぁっ!!」

    部下の後ろで腕を組んで成り行きを見守ろうとしていたニコライは、部下が焼き殺されるのを目の当たりにして、怒号の様に最終コードを叫んだ。


    (゚ム゚"【+  】『名も無き私は知っている! 人類最後の日まで、銃が世界から消えない事を!』


    雨に濡れ怒りに燃えるニコライの体が棺桶に取りこまれ、そして――

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     '、′' . '、′' ・. ' 、,,  ',`  :   ::  :   :  ::  : /;′。.・"; '、.・" ` '、.
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    (+《|l|l|》)「なにっ!?」


    ――内部から、派手に爆発した。


    肉片が飛び散り、デヴォティーの装甲を汚す。
    棺桶は勢いよく空高くまで飛び上がり、アスファルトの上に落下して大破した。
    ディーダンは、何が起こったか理解できなかった。
    黒焦げになったニコライの腕が足元に転がっているのを見て、喉の奥で悲鳴を上げ、ディーダンは思わず飛び退いた。

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    (+《|l|l|》)「ひっ……!!」

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          `       ,J`:、,ィl! l! {′  ;
                ,j`  Yl!|:  | |'i,
                | 、 ゙リN: ; !lij! |
              .  }'′    i  ;}|! |
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    車内で事の成り行きを見守っていたヒートは、落下してきた棺桶から焼け焦げたニコライの体の一部が飛び出たのを見て、
    視線をデレシアに移して感心した風に言った。

    ノハ;゚⊿゚)「……えげつねぇな」

    ζ(゚ー゚*ζ「葬式の手間を省いただけよ」

    それに、とデレシアは内心で呟いた。
    ニコライが使おうとしていた〝ソルダット〟と、デヴォティーの相性は良くなかった。
    ディーダンにはまだ死なれては困る。
    市街地でロバートの動きを指定する材料として使ってから、殺す予定なのだから。

    ちなみに、ニコライの棺桶が爆発したのは、デレシアが運搬用コンテナに簡単な細工を施していた為だった。
    ニコライに席を外させたあの時、デレシアは棺桶の内部に高性能爆薬を仕掛け、遠隔操作で爆破出来るようにしていたのだ。
    棺桶内部にニコライが取り込まれたタイミングでスイッチを押せば、どの様な棺桶を使用している人間でも、一発だ。
    ニコライが棺桶の点検を怠ったのが幸いし、ソルダットは文字通り彼の棺桶となったのである。

    ζ(゚ー゚*ζ「さて、豚を追い立ててくるわ。
          ヒート、ブーンちゃんをよろしく」

    フードを深く被り、デレシアはSUVから降りた。

    (<::、゚:::>三)「ディーダン・ブランケット?」

    近付き過ぎないように距離を置いて、デレシアは声を掛けた。

    (+《|l|l|》)「……そうだが……そうか、お前が教えてくれたのか」

    (<::、゚:::>三)「そうよ。 メリーはどこ?」

    (+《|l|l|》)「私は知らん。
          それで、何が目的なんだ?」

    (<::、゚:::>三)「それは後で言うから、今はこっちの言う通りに動きなさい。
           ロバート・サンジェルマンに会いに、西部市街地に行って。
           そうすれば、後は万事うまく行くわ」

    訝しげな声で、ディーダンが問う。

    (+《|l|l|》)「……何が、何が目的なんだ」

    (<::、゚:::>三)「無駄話に時間を割くほど余裕はないの。
           安全な場所に逝きたいのなら、言う通りにするのが利口だと思うけど。
           それと、メリーを呼んでおきなさい。
           車ならそこにあるのを使えばいいから」

    伝える事だけを伝え、デレシアはSUVに戻った。

    ノハ;゚⊿゚)「おいおい、あれだけかよ?」

    ζ(゚ー゚*ζ「臆病な人間はね、頭がよく回るのよ。
          回り過ぎて勝手に千切れちゃう時もあるけれど」

    冗談っぽくそう言って、デレシアは肩を竦めた。
    ディーダンは棺桶をその場で脱ぎ捨て、二台目のSUVに走って乗り込んだ。
    潔い決断だった。
    Cクラスの棺桶を運ぶには体力がいる上に、大きさ故に持っているだけで目立つ。

    それに、デレシア達に命を救われたことから、自分に害を及ぼさないと考えたに違いない。
    緊急事態の時に思考力が欠如するのは、いたしかたない。
    是非ともヒートにはこれを参考に、如何なる時でも冷静な判断を下せるようになってほしい物だった。

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    ディーダンを乗せたSUVが走り去ったのを見届け、デレシアが呟く。

    ζ(゚、゚*ζ「……行ったわね」

    ノパ⊿゚)「運転は誰がするんだ?」

    ζ(゚ー゚*ζ「私がするわ。 シートベルトを締めておいて」

    運転席に移動し、デレシアはエンジンを掛け、ハイビームでライトを点ける。
    電池の残量は全体の八割と言った所。
    十分な量だ。

    ζ(゚ー゚*ζ「それじゃ……」

    シフトレバーを操作し、ギアをセカンドに入れ、エンジンを吹かす。
    十分だと判断した時、クラッチを外し、SUVを急発進させた。

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          \;;/               {_...,,,-‐/ ≡≡≡≡≡≡‐人_ラ‐l  ο  /::::::::::::::::::
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    ノハ;゚⊿゚)「うわっ……!!」

    (;∪´ω`)「ひぅっ……!!」

    ヒートとブーンが小さく悲鳴を上げる。
    すぐさまギアをサードに。
    ワイパーとハイビームがありながら、視線の先は闇のまま。
    光を反射する中央線が無ければ、道がそこにあるのかどうかでさえ危うい。

    が、ギアをトップに入れ、デレシアは更に速度を上げた。

    ζ(゚ー゚*ζ「電気自動車は静かでいいわね」

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              「 |  / |i //  |  l、ト 、    \\i
              L||/  y´/ヾ]  |i_i/,,へニo、_/ /
              /,;;;#,//   ,///く_>ノノ| レ`ヾ
         ⌒:,,:),;:.r' ̄`´,; ヾ'  /// ̄ ̄\ f___,,ノii|
      (::: ;;'   .:ノ |i,;"fィ,ヽノ  / <_,>´   ヾ//`ー-‐'
       ::.:.:⌒  |_/\`'7/´ヽ//    //      ,;
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    遥か前方に、小さな光点が見えた。

    ζ(゚、゚*ζ「豚を見つけたわよ」

    しかし、ブーンもヒートも返答を寄越さない。
    ルームミラーで様子を窺うと、ブーンはヒートの足にしがみ付いて、時折窓の外に目を向けていた。
    一方のヒートは、そんなブーンを見て、嬉しそうな、困ったような笑顔を浮かべていた。

    ζ(゚、゚*ζ「……ヒート」

    ノハ;゚⊿゚)「お、おう?」

    ζ(゚ー゚*ζ「話をしましょうか、とても大切な」

    デレシアが満面の笑みと共に上機嫌な声でそう言うと、ヒートは気持ちを切り替えた様で、凛とした顔つきに変わった。

    ζ(゚ー゚*ζ「この後の事、ちゃんと任せてもいい?」

    ノパ⊿゚)「勿論だ。 その為の〝アレ〟だからな」

    ζ(゚ー゚*ζ「ブーンちゃん、ちょっと起きて聞いてちょうだい」

    どうにか、ヒートの足から手を離して、ブーンが起き上がって姿勢を正す。
    しかし、その背は丸まり、恐怖に耐えている事が分かる。

    (∪´ω`)「……はい」

    ζ(゚ー゚*ζ「この後、二手に分かれる事になっているの。
          そこで、ブーンちゃんはヒートと一緒に行動してほしいんだけれど、良いかしら?」

    (∪´ω`)「わかれる?」

    ζ(゚ー゚*ζ「別々に、って事。 大丈夫、後で合流するから。
          暫くの間、ヒートの言う事を聞いてほしいの」

    暫く、ブーンは俯いて押し黙った。
    何かを考えているようだ。
    その邪魔をしない様、デレシアは急かしたり邪魔したりしない様、じっと待った。

    (∪´ω`)「……ぁ、ぁの」

    蚊が鳴くような小さな声で、だがしかし、意を決した様な声だった。
    そして、その視線と声はヒートに向けられていた。

    ノパ⊿゚)「ん?」

    (∪´ω`)「ヒートさんは……その……いやじゃ……ないん……ですか? ぼくなんかと……いっしょで……」

    車内が静寂に包まれた。
    次の瞬間、ヒートが大笑いした。

    ノハ*^ー^)「ははははっ!! 何を今さら、嫌じゃないに決まってるだろ!」

    ノパー゚)「こんなに可愛いブーンを嫌う奴がいるのなら、あたしがぶっ殺してやるよ!
        あぁ、もう、愛い奴、本当に愛い奴だなぁ、ブーンはもう!
        心配しなくてもいい、あたしが、ブーンをしっかりと守るからさ」

    笑顔で殺伐とした事を平然と言ってのけるヒートの胸の中で、ブーンは息苦しそうに身動ぎし、胸の谷間から顔を出した。
    しかし、その尻尾は勢いよく左右に振れていた。

    ζ(゚、゚*ζ「私はロバートを、ヒートはその他の連中の面倒をお願いね」

    ノパー゚)「あぁ、任せておけ。 ブーン、デレシアが戦ってる所は恰好よかったか?」

    小さく、ブーンがヒートの胸の間で頷く。

    ノパー゚)「次はあたしが恰好つけさせてもらうよ」

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    市街地の眩い明かりが近付いて来る。
    高層ビルの影が不気味に聳え立つ、不夜の街並み。
    オセアン西部、ロバートの本拠地。
    そして、ディーダンとロバート、そしてメリーの墓場となる予定の場所。

    ζ(゚ー゚*ζ「折角だから、点火は派手にしましょう」

    * * *

    ロバート・サンジェルマンは、展開の遅さに苛立ちを隠せなかった。
    何時になったら、ニコライはディーダンと殺し合いを始めるのだろうか。
    ニコライ率いる少数精鋭の部隊がディーダンの下に向かったと、現場に同行した内通者が報告を寄越してきたのが、今から三十分前。
    それから、交戦の報告も無い。

    内通者は棺桶持ちではない為に車内で待機する予定なのだから、連絡の一つがあっても良い筈だ。
    だが、音沙汰はない。
    それだけ激しい戦闘になったのか、それとも、流れ弾に当たって死んだのか。
    情報が無い事には、ロバートは安心できなかった。

    不安の種は、一つだけではなかった。

    (・L_・)「メリー、デレシアとヒートに関する詳細な情報はまだか?」

    ディーダンが殺そうとした女達は、その魔手を返り討ちにし、更にはニコライと共にディーダンを殺しに向かったと聞いている。
    その二人が気掛かりだった。
    何せ、正体不明、目的不明と来ている上に、デレシアの方は危険人物なのだ。
    東部のゴルドン・ファミリーを単独で壊滅させ、今、オセアンで働く殺し屋達の注目の的となっていた。

    無論ロバートはその事を知っていたが、正直、軽視していた。
    直ぐに終息し、終わるだろうと。
    所が事態は予想外の展開を見せていた。
    シモノフ・ファミリーにデレシアとヒートが協力し、このままでは、ディーダンが一方的に潰れるだけで、潰し合いにはならない。

    それでは困るのだ。
    特に、デレシアなる人物は、確実に災厄を運んでくる類の人間だ。
    嫌な予感が止まらない。
    影響が自分に及ばない事を、ロバートは願うばかりだ。

    (*゚-゚)「いいえ。
        しかし、有益な情報を持つ人間がいます」

    (・L_・)「誰だ?」

    (*゚-゚)「〝葬儀屋〟と呼ばれる殺し屋です。
        壊滅したゴルドン・ファミリーにデレシア殺害を依頼されていましたが、失敗し、撤退しました」

    (・L_・)「負け犬じゃないか」

    (*゚-゚)「しかし、生きていると云う点が重要かと」

    (・L_・)「……まぁいい。
        デレシアに関する話をそいつに聞いておけ」

    おざなりにそう答え、ロバートは窓の外に目を向けた。
    メリーは携帯電話を操作し、何処かへ電話を掛ける。
    嵐は一向に弱まる気配を見せず、勢いは強くなる一方だ。
    暫くして、メリーが携帯電話の通話口を指で塞ぎながら、言った。

    (*゚-゚)】「ここへ来て話をしたいと言っています」

    (・L_・)「……いいだろう。
        来るように言え」

    メリーは手短にロバートの言葉を伝え、電話を切った。
    その直後、メリーの手の上で携帯電話が着信を告げた。
    ディスプレイに表示された名を、メリーが告げる。

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    .              /__/、/
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    .       // ///
    .       ∠ニニ∠/
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    (*゚-゚)』「……ディーダンからです」

    (・L_・)「何だと?」

    (*゚-゚)』「如何しますか?」

    予想していない人物からの電話の意図を知る為にも、会話をする必要がある。
    自分の腹心だと思い込んでいるメリーになら、何か有益な情報を喋るかもしれない。

    (・L_・)「出て構わない」

    糖蜜の様に甘ったるい声を、感情を押し殺した声色へと変え、メリーが応じる。

    (*゚-゚)】「はい……えぇ……少し待って下さい」

    通話口を押さえ、メリーがロバートを見る。

    (*゚-゚)】「今すぐに、このビルの下に来るように言っています」

    (・L_・)「……よし、行け。
        ただし、裏口から出て行け。 そうでないと不自然だ」

    返事の代わりに、メリーはディーダンの申し出に応じる事を電話越しに伝え、通話を終えた。
    そうして、向こうの様子を手短に語る。

    (*゚-゚)「何か焦っているようでした」

    (・L_・)「その辺りの事も含めて、情報を収集して来い。
        それが済み次第、殺せ。 私とは一切関係ないのだからな」

    (*゚-゚)「……分かりました」

    メリーは早足でオフィスを出て行く。
    ロバートは、一人逡巡した。
    この街で何が起こり、起ころうとしているのか。
    デレシアの目的。

    ディーダンの生存。
    シモノフ・ファミリーの音信が途絶えた事。
    何もかもが予想の出来ない方向に向かって、勝手に進んでいた。
    ロバートの思惑も思慮も、全く意に介することなく進むこの混沌の渦は、誰が元凶で誰が指揮を執っているのか。

    相手の目的を想定するとしたら、それは、ロバートの手からこのオセアンの支配権を奪う事。
    それも、強奪ではなく、ただ奪い取って捨て去ると云う理不尽なまでの独り善がりだ。
    オセアンが潤っているのは、ロバートの貢献があってこそ。
    輸出入の拠点として確固たる地位を手に入れる為に武器、人身売買と手広く扱い、
    その過程で障壁となる様々な違法行為に眼を瞑らせる為、警察を買収、商売に協力させる事によって理想的な治安と秩序の確立にも成功した。

    マフィアを使ってオセアン全体を支配すると云う統治法を維持するには、ロバートの存在が欠かせない。
    全てが完璧な調和の下に成り立っているのにも拘らず、それを崩すと云うのであれば、それは、純粋な暴力でしかない。
    そして、それを実行する人間は狂人としか言いようがない。
    背筋に寒気が走り、ロバートは身を震わせた。

    (・L_・;)

    彼は勘が良い方だと自負しているだけあり、身の回り、主に自分に襲いかかる不測の事態をそれとなく気取る事が出来た。
    今回、ロバートが覚えた戦慄は妙な現実味を帯びており、見過ごせない物だった。
    警備担当に通じる内線電話の番号を押し、ロバートは電話に応じた警備主任に告げた。

    【(・L_・)「今すぐ、レベル5の警戒態勢に入れ」

    『了解しました』

    レベル5。
    凶悪な人物が完全装備の状態で大勢襲いかかって来た場合を想定した、警備の最高レベル。
    警備員全員が棺桶と銃器で武装し、全階層を完全に封鎖する異常事態。
    それは、大局的に見れば大げさだったかもしれないが、ロバートは己の勘を信じていた。

    これぐらいしなければ、間に合わなくなってしまうと。
    苛立ちを少しでも和らげるため、ロバートはオフィス内を忙しなく歩き回った。
    確証が無いのに。
    断片的な情報を繋げて、勘で接着しただけの不確かな不穏の気配。

    影に怯える子供の様に滑稽な姿だと云う事を分かっていながらも、ロバートは笑い飛ばすことが出来なかった。
    飲みかけのシャンパンをボトルから直に飲み、アルコールに身を委ね、不安を消そうと試みるも、まるで水の様に何も感じられない。
    備えつけの電話が鳴る。
    内線だった。

    スピーカーフォンに切り替え、ロバートはシャンパンをボトルから直接飲みながら、電話に出た。

    (・L_・)「何だ?」

    『〝葬儀屋〟が到着しました。 如何しますか?』

    (・L_・)「よし、こっちまで連れて来い」

    デレシアとヒート。
    この二人を殺すまで、ロバートは眠れそうにない。
    優先すべきはこの二人の殺害と排除であると、もっと早くに気付けばよかった。
    秩序を乱す存在を先に消さなければ、この街はそこから綻び、崩れ、崩壊する。

    相手が狂人であるのなら、次に狙ってくるのは自分である様な気がしてならない。
    ロバートは自分が滑稽だとは思わなかった。
    最早、生きるか死ぬかの問題の様に感じていた。

    * * *
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    ロバートが厳重な警戒を命じた時、ログーラン・ビルから四ブロック離れた路肩に停めた車の中で、
    ヒート・オロラ・レッドウィングとデレシアは、この街の裏側を根こそぎ吹き飛ばす為の最終的な打ち合わせを済ませた所だった。
    車内からディーダン・ブランケットの動きを観察していたヒートが、嵐の中、
    黒いレインコートを身に纏っている何者かがディーダンのSUVに乗り込んだのを見て、舌打ちをした。

    ノパ⊿゚)「……メリーだ」

    ζ(゚、゚*ζ「一石二鳥ってやつね」

    ノパ⊿゚)「よし、さっさと――」

    だが、ディーダンは思いもがけない行動に出た。
    ビルの地下駐車場に向かって、さっさと入って行ってしまったのだ。
    これは、デレシアにとって予想外の展開だった。
    ロバートがディーダンを保護した?

    ノパ⊿゚)「――どうなってるんだよ」

    ζ(゚、゚*ζ「……おかしいわね」

    ディーダンを保護しても、ロバートには何の旨味もない。
    突如として訪問してきたディーダンを切り捨てるのは当然の流れだと予想していたのだが、
    実はデレシアが気付いていないだけで、ロバートには別の思惑があるのかも知れない。

    ζ(゚、゚*ζ「……まぁ、予定と少し変わったけれども、やる事に変わりはないわ」

    難易度が少しだけ上がっただけで、それは、デレシアにとっては歓迎すべき展開だった。
    何事も、予定通りと云うのは面白味に欠ける。

    ζ(゚ー゚*ζ「ヒート、ブーンちゃんと一緒にディーダンとメリーを追って。
          私は正面から行くわ」

    ノハ;゚⊿゚)「おいおい、大丈夫なのか?」

    当初の予定では、ヒートはビルの正面で――運が良ければ適当な建物内で――ディーダンとメリーを出来るだけ派手に屠る事になっており、
    その隙にデレシアは地下駐車場からビルに侵入する事になっていた。
    隠密行動をする事になっていたデレシアが正面から行くとなると、予定とは真逆の展開になる。
    ディーダンを狙うヒート達は、気取られて逃げられない様、密かに追う必要があった。

    ζ(゚ー゚*ζ「えぇ。 けれど、ヒート。 貴女も気を付けるのよ。
          この街の棺桶の流通元は、ロバートなのよ。
          まぁ、BかAクラスの棺桶しか配備されていないでしょうけど、用心しておいて」

    その言葉に、ヒートが得意げな笑みを浮かべた。

    ノパー゚)「棺桶相手はあたしの得意分野だよ。
        その為の棺桶だ」

    SUVに積まれたヒートの棺桶は、最も小型に分類されるAクラス。
    小柄なヒートの身の丈――約5.5フィート――と殆ど同じ大きさなのは、少しばかり異質だった。
    Aクラスの中でも、かなりの大型に分類される棺桶だ。
    希有な棺桶の可能性があった。

    (||<::゚⊿::>)「……デレシアも気をつけろよ」

    マウンテンパーカーのフードを被り、ヒートが棺桶と共に降りる。

    (∪´ω`)「ぁの……デレシア……さん」

    ζ(゚ー゚*ζ「どうしたの、ブーンちゃん?」

    (∪´ω`)「けが……とか、しないで……ください……」

    ζ(゚ー゚*ζ「んふふ、大丈夫。
          ブーンちゃんが心配する様な事は、何もしないわよ。
          それよりも、ブーンちゃん、ちょっとこっちに来て」

    ブーンを手招き、その耳元で、そっと囁いた。

    ζ(゚ー゚*ζ「ブーンちゃん、今から、生きるって事の意味、考えてみてくれるかしら?」

    危険を承知でブーンをヒートに同行させたのには、こう云う理由があった。
    デレシアがブーンをスリー・スター・トラットリオの店主から奪った時、ブーンは生きる意味を知らなかった。
    これまで、ブーンは誰かに命じられるままに生きて来た為、生きていると云う自覚が無かったのだ。
    それを短期間で自覚させるには、手荒だが、こうして、人の力で世界が変えられると云う事を間近で見せてやる必要があった。

    しかし、つい先ほどブーンは自発的にヒートを案じる言葉を口にし、たった今、デレシアを気遣った。
    デレシアの見込み通り、ブーンはこの暴力の坩堝の中で確実に成長している。
    この時代を生きるのに必要な要素は、確かにブーンに浸透していた。

    (∪´ω`)「……はい」

    ζ(゚ー゚*ζ「良い子ね、ブーンちゃん」

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    :ヽ.!::::.l::|::::::/:::.!:.!.!llllll′             l、           l:|:::l::.!:::::::l  l:::.!
    ::/'!|i、.l!:::::/::::l:::|::}~′                  l>          l::l:::.!:.!::::::!  |::.!
    /::::::`|l||,、|:::::/:::.!::l                   !′       !::.!::|::.!:::::|  l::.!
    :::::::./ :::l'|'l!''''l!:::::|:::.!                       ,i|:::::l::}:|::::.|^' イ:i′
    :::./ :::::::l|:il|::::l:::::::|::::l             ―ー''`      ,/||:::::.!:|::|:::/ i./ \   
    ヾ:::::::::::|:/l!:::}::::::.!::::ト、                      i/::::||::::::|.!:.!:il. 〃   .`i、
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    額に掛かるブーンの髪を指で退け、そこに軽く口付けた。
    それから、ウィンドブレイカーのフードを被せ、チャックを首元まで上げる。

    ζ(゚ー゚*ζ「さぁ、行ってらっしゃい。
          気をつけてね」

    (<::*´ω::>)

    頬をほんのりと赤らめて、ブーンはヒートを追って下車した。
    二人の影は、雨と闇の中に消えて行った。
    デレシアは二人の姿を見送ると、スライドドアを自動で閉めた。
    これからは、デレシアの時間が始まる。

    ただ奪う。
    ただただ、奪い尽くす。
    理不尽に、不条理に。

    * * *
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
            │   │:   │┃          │          ┃          │          ┃
            │   │:   │┃          │          ┃          │          ┃
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    その日、その時間。
    正面入り口の警備を担当していたアイ・ウェーオは、人生には危険と不思議に満ちている事を、
    猛スピードで迫ってくる一台のSUVの影を見て、最後に与えられた貴重な時間を使って理解する事となる。

    Ie゚U゚eI「あん?」


    それは、嵐の中、やってきた。

    普通なら。
    そう。
    普通なら、SUVは止まるか曲がるか、いずれにしても、入口の前でライフルを構えているウェーオはその車が自分に突っ込んでくるなど、想像もしていなかった。
    有り得ないのだから。


    普通なら。



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    Ie゚U゚eI「ひちょぶっ!!」


    そして、貴重な時間が尽きた時、SUVに撥ね飛ばされたウェーオの体は肉の砲弾と化し、
    ガラスの自動ドアを突き破り、ビルのエントランスまで突き抜け、最終的には、受付カウンターにぶつかって動きを止めた。
    ガラスに突っ込んだ際、首と腕が切れ、離れた場所に落下した。
    素人目に見ても、即死だった。

    そして、SUVはエントランスに入った所で、何事も無かったかのように停車した。
    それを見た人間が彼の尊い教訓を生かす機会は、結局、一生訪れる事はなかった。

    * * *
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    御影石の床に散らばったガラス片を踏み砕き、デレシアはログーラン・ビルに足を踏み入れた。
    ロビーに呆然と待機していた屈強な棺桶持ち達の視線は、デレシアに釘づけになっている。
    目深に被ったローブの下、デレシアはその人数を把握した。
    ざっと、このフロアだけで十五人。

    読書をしつつ茶を楽しんでいても、十分対処できる人数だった。


    ミ;^つ^ル「な、何をしに……!」


    デレシアの前で、驚愕に身を強張らせる男が口を開く。
    正面から車で訪問するとは考えていなかったようで、一応、常識はある様だった。



    (<::、゚:::>三)「あら? ノックはしたわよ。
           かなりアウト気味だけど」

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    , ノ) ヽ l  ヽ  l      ,.r''´   `>、=,、  r‐ヲ、‐'、i;;;;;;;;;;;;;;ヽ      f f'"´~`ヽ, ゞ`ー:、 
     ノヽ V     't、   r'′    f´ rf" )ヽ,f'':~` ` レ:、;;;;;;;;;;;;;;゙i     / ,i ,.;:―-+、し  
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        l    ヽ   l  /    l.ニii,,.」:+"ヽf^´ `ヽ,,f~;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l  f´    t  ,r''" ノ  
      l  l     \ l f ノ-'''''ー'''゙i-'" ,.:-‐''l  `ヽ,.(;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ  t,     `'"/ ,,.ノ  __
      l         レt''"     l,,..=''`i,,.. ノヽ、 ゙t ゞ、;_,.ィ''" ``ヽ、`ー-,...,.,.,..、 /_,,.ィ'''''ヽ 
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    そう言って、デレシアは撥ね殺した男を一瞥する。
    首は離れた場所に転がっていて、左手は何処かに消え、足の裏が胸についていた。
    かなりどころではなく、確実にアウトである。

    ミ;^つ^ル「……侵入者だ!!」

    (<::、゚:::>三)「訪問者よ、失礼ね」

    デレシアの言葉を聞く間もなく、警備員達は棺桶の音声コードを入力した。

    ΩΩΩ『そして願わくは、朽ち果て潰えたこの名も無き躰が、国家の礎とならん事を!!』

    ジョン・ドゥの解除コードに紛れて、異なるコードの羅列を、デレシアの耳は捉えた。

    ΘΘΘ『そして望むは、傷つき倒れたこの名も無き躰が、国家に繁栄をもたらさん事を!!』

    それは、ジョン・ドゥの兄妹機、〝ジェーン・ドゥ〟の物だった。
    基本性能と外観は変わらないが、装甲が薄くなっている分、機動性が増しているのが特徴だ。

    (<::、゚:::>三)「……礼儀がなってないわね」



    そんな呟きは、フロア全体からデレシアに向けて浴びせかけられた銃声に掻き消される。
    飛んでくる銃弾の雨を避けつつ、デレシアは足元に落ちていたMP5K短機関銃を拾い上げ、SUVの車内に避難した。


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      [|__|[|__:|ー―、|====┘ |ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ◎|.| ,=、
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    流石はマフィアの所有物だけあり、SUV全体が防弾使用だった。
    離れた場所から飛んでくる銃弾なら、どうにか防げる。
    ただ、長時間のお籠城は出来ないだろうが。
    アクセルを踏み込み、デレシアはエレベーターに向けて車を急発進させる。

    〔Ⅲ゚[::|::]゚〕「あまぁぁぁぁい!!」

    一機のジョン・ドゥが、猛然とSUVの前に立ちはだかる。
    流石は傑作と呼ばれるジョン・ドゥだけあり、時速三十一マイルに達するSUVの体当たりを受けても倒れず、吹き飛ばされなかった。
    真っ向から押さえに掛かった棺桶持ちの勇敢さと無謀さに、デレシアは賛辞と共に、投げやりな弔辞の言葉を送った。


    (<::、゚:::>三)「自覚しているのなら、変えるべきだったわね」



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    右ストレートで防弾ガラスを殴り壊し、デレシアはそこから体をするりと車外に出した。
    呆気にとられる男の眼に銃口を合わせ、デレシアは銃爪を引く。
    一機目のジョン・ドゥが、デレシアの前に跪き、絶命した。
    その光景を目にしたその場の棺桶持ち全員が、我が目を疑った。

    生身で棺桶と渡り合い、挙句、手玉にとってみせたのだ。
    その衝撃は、直ぐに恐怖に置き変わった。
    この女が相手なら、ロバートが警戒態勢を引き上げたのも納得がいく。
    そんな思いが、フロア全体に伝染し、広がった。


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            ::/  ,;;"  ';  #;;;" /|!;;;;;,rへ /" ===-从  ⊿ ,;;) (  _,i!_  ::   ,; i! ¥
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    感情が拡大する様子を肌で感じ、デレシアは満足そうに溜息を吐いて、殺したばかりの男の手からMP5Kを奪い取る。
    デレシアは雨で濡れた体を温める為に、面倒だが、このフロアの全員を血祭りに上げてウォームアップとする事にした。
    些か、役不足の感はあるが。
    エレベーターに乗せまいと、棺桶が弾幕を張りながらデレシア目掛けて殺到する。

    雑兵が束になっても、文字通り必死になってデレシアに襲いかからなければ、体を温める運動にすらならない。
    デレシアは彼等の闘志と生存本能に火を点ける為に、派手に行く事にした。
    二つの銃口を上に向け、電灯を一つ残らず撃ち壊す。
    フロアが闇に包まれた。

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    〔Ⅲ゚[::|::]゚〕「な、糞っ!」

    〔Ⅱ゚[::|::]゚〕「慌てるな!!」

    ジョン・ドゥ、ジェーン・ドゥの動きが一瞬だけ止まる。
    彼等の持つ機械仕掛けの三眼が、状況に合わせて暗視モードに切り替わる、その一瞬。
    デレシアは音もなく、風の様に動いた。
    最寄りのジェーン・ドゥの肩に飛び乗り、眼を撃つ。

    〔Ⅱ゚[::|::]^。゚ ・ ゚「ぶふっ……!?」

    期せずして、足元のジェーン・ドゥを除いて四機の棺桶がその近くに固まって隊列を組んでいた事がデレシアにとっては行幸であり、
    彼等にとっては人生最大の不幸だった。
    正確無比な銃撃を弱点である眼に受け、銃声の分だけ死体が増える。

    〔Ⅲ゚[::|::]゚〕「ぶっ殺せぇぇぇ!!」

    銃声に混じって、フロアに響く怒鳴り声。
    それは、哀願にも聞こえた。
    デレシアはそれを滑稽に感じ、喉の奥で嗤う。
    所詮は三下、使い捨ての駒だ。

    もっと必死にならないと、デレシアに触れる事さえ敵わないだろう。
    嘆かわしい限りだった。
    デレシアは柱を背にして、二挺のMP5Kを捨てた。
    9mm弾では、眼を撃つ以外に棺桶を黙らせる術がない。

    ローブの下、ウェストバッグから、焼夷手榴弾を一つ取り出す。
    これを雑魚相手に使うのは勿体ない気もしたが、後でこの建物にある武器庫から拝借すれば良いと思い至り、笑顔と共に放り投げた。
    棺桶の頭上で、焼夷手榴弾が爆発した。
    眩いテルミットの炎が棺桶に降り注ぎ、外装に使用されている繊維が燃え、網膜を一瞬で漂白し、体を高温の炎で焼かれる人間の悲鳴が木霊した。

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                           jし' : : : j -ミ: : : : :.、:.:}: : : : : ノ
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             jしイ      '⌒`) /: : : : : : : : :Y´: : : /{        jしイ
             ノ: :.:廴.ィ     /{_//': : : :ノ : : : : :ノし{: :.:{/        ノ: :.:廴.ィ    /{
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    炎を纏って踊る影は、全部で五つ。
    怯えきった小動物と同じように、移動せずに身を寄せ合って固まっていたことが災いしたのだ。
    棺桶持ちはその装甲に信頼を寄せ、防御を疎かにする傾向にある。
    今の場合、互いの死角さえカバーできれば、殺される事はまずないと思い上がっていたことが、死因の一つに含まれる。

    自惚れにも程があった。

    〔Ⅱ゚[::|::]゚〕「づぁああああ!! あづい、あづぃいい!!」

    その悲鳴が、彼等の闘争本能に火を点けた。

    〔Ⅲ゚[::|::]゚〕「うわぉおおおあああああ!!」

    一機の棺桶が肉薄する。
    それに続いて、生き残った三機の棺桶が続く。

    (<::、゚:::>三)「そうそう。
           そうでなきゃ――」

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                  r‐ 、 /                 ,
                 /  /                  l
         , - 、____{_/                 ,
          {                              /
         l `ーr-、,,..::''                /___/
         |   | ノ                  /l  l
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    脇下のホルスターから、デザートイーグルを抜き放つ。

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          `Y ∧〇ノj/ノ/ / / / / ト------- `'------------------┐     |
          / / /  ̄`/´/ / / / /  `''ー―――――――――――‐ ┤―  /
      _,.、-‐' └┴┼‐┼┴┴┴┴―‐ァ‐ ┬。ァ- 、__________,L==='
      'ー――、  /::;;::└‐ ―┐_,,゚--┴‐、oV /´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´
            ヽ !::;;::;;::;;::;;::;;::;;!/ l | /   `TT
            !」::;;::;;::;;::;;::;;:<=o !_ヾ、,_   !{
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    (<::、゚:::>三)「――面白くないのよ」

    正面から、デレシアは彼等を迎え撃つ。
    驟雨の様な銃弾の隙間をデレシアは最小限の足捌きですり抜け、幽鬼の様に一機目の棺桶の眼前に現れた。

    〔Ⅲ゚[::|::]゚〕「だおふぉおおおい!!」

    咄嗟に繰り出された回し蹴りを至近距離で避け、続けて繰り出したスローモーションの様なとろくさい左フックを払い除け、
    棺桶の腹部を足台に駆け上がり、飛び後ろ蹴りを頭部に放った。
    首が真後ろを向き、力なく背中から倒れる前にデレシアは肩を足場にして、迫って来ていた三機の内の一機、ジェーン・ドゥに飛びかかった。

    〔Ⅱ゚[::|::]゚〕「あ、ああぁぁぁ!! うわぃいい!?」

    狼狽えながらばら撒く弾など、デレシアには当たらない。
    上空からの攻撃を初体験した棺桶持ちの男は、デレシアの足が両肩に乗った感触を最後に、頭頂部への一発で命を絶たれた。
    仲間の死を無駄にはしまいと、残った二機のジョン・ドゥが銃爪を引く。
    だが、デレシア相手にその動きはあまりにも遅く、意味がなかった。

    デレシアは撃ち殺したばかりのジェーン・ドゥを楯にして、銃撃を凌ぐ。

    (<::、゚:::>三)「あらあら、情けない」

    楯にしていたジェーン・ドゥを、デレシアは二機に向けて蹴り飛ばした。
    それに抱きつかれた一機は、何か次の行動を起こしたり考えたりする前に、
    目線と同じ高さにあるヘルメットに挟まった手榴弾を目撃し、視界いっぱいに広がった鮮やかな爆炎を最後にその頭は機能を停止した。
    防爆仕様が施されていない頭部に対しては、手榴弾は有効なのだ。

    〔Ⅲ゚[::|::]゚〕「ひっ、ひい!! ああああ!!」

    最後の一機が、悲鳴を上げながら銃爪を引く。
    だが、弾は出ない。

    (<::、゚:::>三)「残念賞が欲しい?」

    陽炎のように男の前に現れ、デレシアはぞっとする程優しい声で尋ねた。
    ジョン・ドゥの棺桶持ちは、恐怖のあまり立ち向かう事を忘れ、後ずさりする。
    逃げようとするその男に向けて、デレシアは感情を一切感じさせない声で、こう言った。

    (<::、゚:::>三)「五〇口径の飴をあげるから、静かにしなさい」

    一発。
    一階ロビーを制圧した証の銃声が、空しく響き渡った。

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    硝煙と焦げた匂いが満ちるフロアを去る為に、全部で五つあるエレベーターの内、右端の一機を、ボタンを押して呼んだ。
    上に停まっていた昇降機が高速で降りてくる。
    降り始めるまでに、僅かだが時間がかかったのをデレシアは見ていた。
    誰かが、乗って来る。

    今の様子を相手が監視カメラで覗き見ていたと考えると、増援が乗っている可能性が高かった。
    今の所、一階に向かって降りて来ているのは一機だけ。
    昇降機一機の積載最大重量は五〇〇キロ。
    Bクラスの、例えば軽量のジェーン・ドゥでさえ一六〇ポンド近くあり、それを運べる人間の体重は必然的に一三二ポンド以上。

    単純な合計で一三〇キロ以上の計算になる。
    最大でも三人。
    仮に、限界ギリギリの重量で三人が棺桶を背負って乗ってくるとしても、すし詰め状態の為に身動きが取れない。
    そんな状態でデレシアの前に現れるのは、自殺行為だ。

    となれば、予測される増援の形は、重装備の生身の人間が数人か、もしくはAクラスの棺桶持ちが少数だろう。
    エレベーターが降りてくるまでに、デレシアは物陰に隠れた。

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    間の抜けた音と共に、鉄の扉が開く。
    降りて来たのは、コートを羽織った女性だった。
    周囲を気にしながら、怯えた子羊の足取りでフロアをフラフラと歩く。
    それが見え透いた演技である事と、重量を感じさせる歩き方から、羽織ったコートの下に既にAクラスの棺桶を装備しているのだろうと推測できる。

    |゚レ_゚*州「だ……誰か……誰か……」

    血溜を避けながら歩く女性の背後から音もなく迫り、デレシアはその肩を軽く叩いた。

    (<::、゚:::>三)

    |゚レ_゚*州「ひっ……?!」

    振り返るが、そこにデレシアはいない。
    改めて女性が視線を前に戻した時、デレシアの掌がその顔を掴んで持ち上げ、手近な位置にあった柱に背中を叩きつけた。
    衝撃で背骨が折れ、女性が苦悶の声を漏らす。

    |゚レ_゚;州「きゃっ……!?」

    (<::、゚:::>三)「質問。 ロバートは今、このビルにいるの?」

    |゚レ_゚;州「わ、わた……」

    余計な事を喋って時間を無駄にする前に、デレシアは女性の背中を、今一度鉄筋の入った頑丈な柱に叩きつけた。
    柱が揺れた。

    |゚レ_゚;州「ひぎっ……!!」

    (<::、゚:::>三)「ロバートはいるの?」

    |゚レ_゚;州「い、います……あの……あのっ、私は関係な……」

    無関係――恐らくは逃げて来たと云う設定――を装い、デレシアを襲おうとしていたのだろうが、生憎と、デレシアの手は棺桶の重みを感じ取っている。

    (<::、゚:::>三)「何階?」

    |゚レ_゚;州「さ、最上階に……だから、あの私は――」

    (<::、゚:::>三)「大丈夫。
           もう貴女に用はないから」

    にこやかにそう言って、デレシアは女性の後頭部を柱にぶつけた。
    後頭部が陥没し、柱も陥没した。
    だが、手中の女性は呻き、泣いていた。
    まだ生きている。

    ゴキブリと同じで、やはり、害虫の類はしぶといのだろう。

    |゚~レ_~;州「あぼっ……き……あっあい……いた……っ……」

    力加減が甘かったのだろうか? 少し手加減しすぎた事を反省し、もう一度、今度は更に強めに叩きつける。
    頭部が半分に押し潰れていた。
    小刻みに痙攣する女性の股の間から、アンモニア臭のする液体が垂れ流れた。

    |^~レ_゚^;:.。'゚「ぴ……あっ……あっ……あへっ……」

    脳が壊れたのを確認して、最後に、柱に頭部を一際強く叩き込んだ。
    後頭部が爆ぜ、柱に脳味噌が飛び散り、頭部が柱に埋まった。
    次に同じ様な状況があった場合の加減を覚え、デレシアは死体から手を放してさっさとエレベーターに乗り、すぐさま天井に向けて一発撃った。
    天井に空いた穴から、血が滴り落ちた。

    最上階のボタンを押し、それからすぐにエレベーターから降り、離れた場所にある柱に背を預けた。
    浅はかな待ち伏せを図っていた男の死体を乗せた昇降機が上に向かっていく様子を、上部に表示されるランプで窺う。
    そして、昇降機が最上階に達した時、異変が起きた。
    急速に昇降機が降りて来たのだ。

    やはり、とデレシアは納得する。
    エレベーターは最上階に到達できない様に仕組まれ、ロバートの下に向かうには階段しかない。
    昇降機が最上階から一階まで落下した衝撃で鉄の扉が吹き飛ぶのを待ってから、デレシアは壁から背を離す。

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    ある程度予想していたが、敵は一筋縄ではいかないようだ。
    気を取り直し、派手な花火を上げるのに適した武器を探す事にした。
    そこで、当直室に向かう事にした。
    当直室になら建物の地図があるだろうし、鍵もあるだろう。

    運が良ければ生存者がいるかもしれない。

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    化粧室の更に奥、自動販売機の横に掲げられた当直室のルームプレートを見つけ、その扉を蹴破った。

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     /: .: .: 三 二 ニ ― : : <:::::/ ̄, 
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    : .: .: .: . : .: //_,,.-‐''":  Z:::::}ヽ、::::{、 
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    ホ;゚д゚リ「ひぃっ?!」

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        il  ゝ  . |l         |      |  | lli'tl:|     ̄ ̄「|  ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ ̄「| ̄  ̄
        l!v´  l ,、--、      |      l  | l,lLl.|       |.|================|.|  .: .:.:.:
       く>   |_l  ̄ l_ ___.|_ __ _\|   ̄         .|;|            ... ..|;| :. :._:._.
       / .!   ,l ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ ̄  ̄  ̄. ̄  ̄|.| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|.| ̄: .: : .:. : ..゙
        <>  /    ̄      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙̄、      ◎     :.:
    .  〈>   /          /  〈〉  く<<> __ | 「 ̄」 ロ /  .、,`;  ゙             
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    乱雑に書類が積み上がった机の下、警備員が一人そこで蹲っていた。
    デレシアはデザートイーグルの銃口を向け、単刀直入に訊いた。

    (<::、゚:::>三)「武器の保管庫は何階のどこ?」

    銃口とデレシアに睨まれて、警備員は部屋の奥にある扉を指さした。

    (<::、゚:::>三)「開けなさい。
           でないと、貴方の頭に穴を開けるわよ」

    転びながら、警備員は震える手で鍵を握り、扉を開けた。
    途端に漂う、火薬と鉄臭。

    (<::、゚:::>三)「上出来。
           その場に伏せて、両手を頭の後ろで組みなさい」

    言われた通り、警備員は伏せ、両手を後頭部に乗せる。
    机の上にあった粘着テープを手に取り、それで眼、口を塞ぎ、両手首を向かい合わせに重ねて固定し、
    足首も同様にテープで巻き、背中で手足を一つに束ねて拘束した。
    部屋の壁に、詳細な建物の見取り図が貼られており、デレシアはそれを一目見て全て記憶した。

    武器庫の電気を点けると、そこに並ぶ銃器の数々に眼が移る。
    カラシニコフ、コルト、ステアー、H&K、ベレッタ等。
    焼夷手榴弾を幾つか拝借し、鞄にしまった。
    そして、目当ての品を見つけ、デレシアは冷ややかな笑みを浮かべる。

    これで、派手な花火が打ち上げられる。
    布で作られたナップサックに対戦車ロケット砲RPG-7の弾頭を詰め、装填済みの発射機を肩から提げる。
    成人男性の腕程の太さがある鉈を片手に持ち、そして、もう一つ。
    忘れてはならない物を手に取り、フロアに戻った。

    明かりの消えたフロアの正面入り口に、デレシアは早速仕掛けを施した。
    持って来たのは、高性能プラスチック爆弾だった。
    細長く形を整え、それを地面に置く。
    リモコン操作式の雷管を突き刺し、その場を後にする。


    階段を使って二階に上がり、そして、スイッチを押した。


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      .),     ((    、           /i  ,                  ¨ヾ>、  ....:}  __,ヘ.   /
    /(       ヾ\   〉\     /:,:し/                   \Y⌒〈  /   〉  ./し′
    ____三二ニニ=-‐へ .メ、   ./  /                     / \;;;;;;〉 {   ,:}  / /  
               /:: . ヽ  /  イ //                 /|       ヾ_彡′/ {__,/ 
               /::::: : : ____〉 /. ... ..し′廴 .\、.         / .|          ./  /  
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    建物全体を揺らす大規模な爆発は、通りに面したビルの側面を四階までごっそりと抉り取り、十四階に至るまで全ての窓ガラスを砕いた。

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    爆発の真上にあった空間は黒い焦げを残して消失し、そこでデレシアを待ち受けていた人間は、影も形もなくなっていた。
    崩落した瓦礫に埋もれ、出入り口は完全に封鎖された。

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                          ::::::::::: .(’’,,,/(~~ノ(’''''ソ /:,.;‐''~ ,.ィ‐'~   |~`―-
                         y(、,,'''ノ(、/ \~~~``ー--ゥ'~ ,.;;-‐''~~ |, :-|   |
                            ミ彡 /::::::::`>  ,.-''~.‐'~~-‐''~~.| .|  |    |
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    これで、誰も逃げられない。
    狼煙は上がった。
    これよりこの場は、殺し合いが義務付けられた空間となる。
    即ち、力が道を切り開き、明日を築く時間の幕開け。

    それは文献に残され、語り継がれてきた如何なる地獄の在り方よりも凄惨で、合理的で倫理的だった。
    夥しい量の屍から抽出した新鮮な血と臓物で作られた、一種の芸術品めいた完成度の秩序の下、デレシアは、ただ、力を行使する。

    (<::ー゚:::>三)「んふふ。
            精々、暇潰しぐらいはさせてもらいましょうか」

    歌う様に紡がれたデレシアの言葉は、誰かの耳に届く事はなかった。

    * * *

    デレシアと別れてから、ブーンとヒートの二人は直ぐに合流し、ログーラン・ビルに侵入する為の出入り口を探していた。
    流石は街一番の金持ちが住むビルだけあって、どの扉も窓も施錠され、監視カメラが見張っていた。
    どの様に侵入するか、まずはそこから考えなければならなかった。
    ヒートは思案し、答えを導き出した。

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    .:i|.:i|.:i|.:i|  |_| l l l |.....:::;;| ;;
    .:i|.:i|.:i|.:i|;../ :l #i; ;l;;;;l;;;| ̄ ̄\_____
    ,.i|,.i|,.i|,.i|,/  ~"'''''''"~
    _,,..,.,,,._ >┿、
    ヽ  /_  /'ヽi|
     ゝー( ヽ| ;;|i|
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    換気扇の下にゴミ箱を持って来て、それを踏み台に、換気扇の蓋を外した。
    そして、落ちていた適当な棒を回転する羽の間に押し込み、回転を止める。
    後は力で換気扇を破壊して、通り口を確保した。
    人一人が腰を屈めれば通れるだけの、小さな穴が出現する。

    (||<::゚⊿::>)「よし」

    換気口は建物には無くてはならない設備だ。
    それだけに、ヒートは現役の殺し屋時代によくそれを利用して、屋内への侵入を成功させたものだった。
    ヒートは棺桶を下ろし、体をそこに潜り込ませ、自分が通れる事を確認した。
    ヒートが通れるのなら、彼女の棺桶は勿論の事、ブーンも入れる。

    一先ずそこから降りて、ヒートは棺桶の肩紐を一本の長い紐に変え、腰に巻き付けた。

    (||<::゚⊿::>)「ブーン、あたしの後ろについて来るんだよ」

    (<:: ´ω::>)「はい」

    (||<::゚⊿::>)「うん、良い返事だ」

    再び換気口によじ登り、後を追ってきたブーンに手を差し伸べ、引き上げた。
    紐に繋がった棺桶を最後に引き上げ、ヒート、ブーン、棺桶の順で換気口に入った。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
         |  |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|  |
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         |  |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.|  |
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         |  |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|  |
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    【+ 】(<:: ´ω::>)(||<::゚⊿::>)

    雨風が凌げるが、正面から吹きつける生温かい空気が不快だった。
    入口から八ヤード程は緩やかな上り坂が続き、その奥は曲がり角になっていた。
    雨で濡れた靴底が滑らないか心配だったが、それは杞憂に終わる。
    明かりがない中、ヒートとブーンは音を立てない様に坂を上り、角を右手に曲がり、更に四十歩程真っ直ぐに歩くと枝分かれした場所に出た。

    上、前、右の三方向に別れた換気口が何処に向かっているのか、ヒートには分からない。
    ただ、どちらに向かうべきであるかは分かっていた。
    地下駐車場に向かったディーダンは、確実に下層に向かう筈だ。
    早くも聞こえて来た銃声は、デレシアが戦端を開いた何よりの証拠。

    ヒートは素直に、デレシアの胆力を称賛した。
    単身で敵陣に正面から突っ込む度量は、豪傑だけが持ち得る物で、常人にはとてもではないが真似できない。
    ヒートでさえ、デレシアの役を変わりたいとは思えなかった。
    酒場でデレシアが堅気ではない事を見抜き、握手で確信した。

    しかし、その素性は全く分からない。
    ヒートの同業者ではないし、殺しを生き甲斐にする手の人間でもない。
    もっと別の、自分よりも遥か上の存在。
    初見でこの様な事を思うのは愚かしいとは分かっていても、ヒートは、デレシアを羨望と尊敬の混ざった畏敬の眼で見ざるを得ない。

    敵に回さなくて本当に良かったと、ヒートは安堵さえしていた。
    真っ直ぐに進み、すると、鉄格子で塞がれた床が現れた。
    これが、地下に通じる換気口への道だ。
    鉄格子を外し、ヒートはその深さを見る。

    二十フィート、と言ったところだろうか。

    (||<::゚⊿::>)「ブーン、ちょっとあたしの棺桶を先に通してくれ」

    小声で、それこそ、優れた耳を持つブーン以外には聞こえない声量でヒートが指示をする。
    ブーンは何も言わずに、ヒートの棺桶の為に道を開けた。
    引き摺り手元に手繰り寄せ、ヒートは先に棺桶を下に降ろした。
    腹筋に力を込めてそれを支えながら、ヒートはブーンに手を伸ばす。

    (||<::゚⊿::>)「ブーン、あたしにしっかりと抱きつくんだ」

    (<:: ´ω::>)「……はい」

    (||<;゚⊿::>)「おっ……!!」

    言われた通りに、ブーンはヒートに正面からしがみ付いた。
    まさか対面して抱きついて来るとは思ってもみなかったヒートは一瞬面食らったが、しかし、潤んだブーンの眼を見るとどうでもよく思えた。
    今は、ブーンを護りつつディーダン、そしてメリーを殺す事だけを考えればいい。
    依存されていると考えただけで、ヒートの胸にこれまでに感じた事のない大きな責任感が去来した。

    将来的に大物になると見込まれたブーンに依存された身分として、ヒートは断じて醜態を晒すわけにはいかない。
    ようやく手に入れた自由と人生の意味を知らないブーンは、産まれたばかりの赤ん坊の様に無垢で汚れのない存在。
    誰かに依存しなければ生きて行けず、何かを知ることも、前に進む事も出来ない。
    依存とは緩やかな成長であり、断じて、停滞などではない。

    つい先日まで人間扱いされたこともなく、味方と云う概念を知らなかったブーンの成長を見れば、それは明らかだ。
    ブーンを護りたいと切に思った時、ヒートの子宮が締め付けられたように、切なくなった。
    両足を広げて垂直に続く通気口に体を固定し、両手で落下速度を調整しながら慎重に降りる。
    先に棺桶が到着し、体に掛かる負担が減った。

    遅れてヒート達が棺桶の上に着地する。
    一本道に見える換気口には、必ず枝分かれした出口がある。
    闇に眼を凝らせば、下り坂の通気口が奥にまで続いている。
    ヒートからブーンが離れ、再び、二人はその先へと進んだ。

    下り坂を一五〇ヤード、只管に降りて行く。
    ようやく、景色に変化が訪れた。
    左手の壁から、僅かだが光が漏れて来ている。
    ゴムの匂いと冷たい空気から、地下駐車場に繋がる換気口だと見当を付けた。

    鉄製の網を外し、換気扇に繋がるコードを引き千切る。
    電気の供給が止まり、換気扇の機能は停止した。
    音を立てない様にそれを外し、外の様子を窺いながら蓋を内側に取りこむ。
    広大な駐車スペースには、ニコライの所有物であったSUVと数台のセダンが停まっているだけだ。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ,,,,,,,.......,,_
     ,k-―'''ヾ;:、
    |     i:;_ヽ_ ,.!二)
    |,,....-‐''"   `ー''`ヽ
           '" ;;;  ,ィ:、!
            ;;;  |:|i;i!
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    人の気配はしない。
    再び、ヒートは棺桶を先に降ろして、ブーンを手招いて自分に抱きつかせ、地下駐車場に降り立った。
    二人は、無事に内部への侵入を成功させた。
    次の瞬間、爆音と巨大な振動が駐車場を揺らした。

    ブーンは怯え、ヒートから離れようとせず、胸に顔を埋めて眼を強く閉じて悲鳴を我慢していた。
    ようやく振動が収まり、ブーンが薄らと眼を開ける。

    (||<::゚⊿::>)「よし、よく泣かなかったな。
           偉いぞ、ブーン」

    (<:* ´ω::>)「ぉ……」

    頬ずりをして、ヒートはブーンを地面に下ろす。
    一本にしていた棺桶の紐を解き、背負えるように直す。
    布の擦れる音が鳴りやすい雨具を脱ぎ捨て、ブーンのそれも脱がしてやる。
    ヒートは懐からベレッタを抜き、遊底を引いた。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
               ,. -― 、‐―;ニヘj/     \,.イ
            / | l   マくjィ__Zニ;:‐- 、     ヾ、
           f | | | |- j/./    \  `''-,、__, ', ヘ
             L廴! ! ム-' /     /7ト, /
             し1ノ- r/ /} ,. ,ィ /,/'' ̄
             _/j  L///f-'-'‐''"
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


    ノパー゚)「さぁ、ヒートお姉さんと一緒に探検をしようか」


    空いた手でブーンの小さな手を掴み、ヒートは不気味なほどに静まり返った駐車場を歩き、そのすぐ横をブーンが歩く。
    二人の歩調は合っていなかった。
    だが、ブーンがヒートに合わせようと小走りになる為、どうしても、ブーンは遊んでもらいたがっている仔犬の様にヒートの眼には映ってしまう。
    今の爆発で、ディーダンはより奥深くの階層に逃げただろう。

    更に下に続く駐車場の入口を見つけ、ヒートはそちらに足を進めた。
    いつの日か、この仔犬が獅子をも凌ぐ猟犬になる事を、ヒートは夢想して止まない。




    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                       ;     .ノ  ;
                   i     /   .ノ
                   |    ,' `!  /
                   |ヽ  , / /
                   | | /ヽ{  {
                      /lノ| i  `i l
                    /    | |   ,}ー'
                   _l_   | l   〕
                  /    `ヽ. ヽ_}   )
               /        ヽ    ∧
             /⌒`ヽ      ゙  ノ`´
            /     \     |´
          /                 |
         /´ ̄ ̄`ヽ     i   |        To be continued...
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    第三章 【igniter-点火者-】 了

     NEXT→第四章&終章
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