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Epilogue【Ammo for Reasoning!!】

  1. 名前: 歯車の都香 2017/04/15(土) 21:22:00
    Epilogue【Ammo for Reasoning!!】

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                                        原作【AmmoRe!!のようです】

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    豪華客船オアシズ。

    全部で五つのブロックに分けて統治されるその船の、第三ブロック会議室。

    そこは、静寂に包まれていた。

    剃刀で肌を撫でるような沈黙の中、探偵であるショボン・パドローネが深い溜息を吐いたのをきっかけに、彼は静かに言葉を発した。

     

    驚きの色など、微塵もない。

    感嘆の響きだけが、そこには含まれていた。

     

    (´・ω・`)「いつから気付いた?」

     

    一連の事件を起こした犯人とされたが、彼は冷静だった。

    慌てることも、戸惑うことも、否定することもしない。

    穏やかな表情のまま、質問を一つしただけだった。

    それは肯定の言葉に等しい質問だった。

     

    だが彼は、大人しく答えを待つだけだった。

    だから、金髪碧眼の旅人であるデレシアはその期待に応えた。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「厳密な事を言えば、最初からよ。

          貴方はポートエレンの事件を、頑なに事件とは認めなかった。

          そして、遺書の第一発見者は貴方。

          この時点で、もうおかしいのよ。

     

          あるはずのない遺書を手に入れることの出来た人間は、犯人か共犯者しかしかいない。

          探偵全体を指揮して糞まみれの銃弾を探させ、別の方向に向かせたのも貴方。

          貴方に探偵たちの指揮を任せたのは、どちらの味方なのかを判断する為よ。

          意図的に被害を拡大させる配置だったかどうかを知るためには、現場の状況と情報が必要だった。

     

          だから配置の内容と結果を知るために、私がロミスにお願いして様子を見てもらったのよ」

     

    かなり大きな被害が出たが、それがなければショボンが犯人であるという確実な根拠は得られなかった。

    美化するつもりはないが、探偵たちの命が犯人を捜し出すのに貢献したのである。

    死を賭して真実の断片を手に入れるためには、オットー・リロースミスの協力が不可欠だった。

    民間人の頼みをブロック長が聞き入れたと分かれば、大きな信用問題につながる。

     

    大きなリスクを伴った提案にロミスは同意し、銃弾の飛び交う中事実を確認した。

    ショボンに犯人に仕立て上げられた時でさえ、彼はそれを言わなかった。

    彼には矜持があったからだ。

    驕りに等しい矜持の持ち主の彼なら、自分の下心のために失敗を絶対に口外しないとデレシアは確信していた。

     

    それを見越して、この話を彼に持ちかけたのだ。

    ショボンがロミスを疑っている素振りを見せていたのは、ブーンから聞いていた。

    更に、別の人物からもショボンの行動についての情報が入っていたことも、デレシアの推理を後押しした。

     

    ζ(゚、゚*ζ「貴方が“偽りの主”として探偵達を誘導し、真実から遠ざけた。

          だから、何時まで経っても事件は解決しなかった」

     

    完全犯罪を目指すのであれば、事件を別の方向に誘導するのが一番だ。

    ショボンの立場は、絶好の物だったのである。

     

    (´-ω-`)「……そうか。 私は、最初から君に……

          ふふ…… そうか……」

     

    両手をロミスの肩に乗せ、ショボンはくつくつと笑い始めた。

    その笑い声は、本当に嬉しそうなものだった。

    往年の夢が成就した男の笑いだった。

     

    ;・∀・¥「お、おい、ショボン…… お前が、犯人なのか?」

     

    市長、リッチー・マニーが恐る恐るそう尋ねると、ショボンは両手を広げ、満面の笑顔を浮かべた。

    目は病的なまでに輝き、声は演者のように大きく、部屋に響き渡る。

     

    (´・ω・`)「嗚呼、やっと、やっとだ!!

         デレシア、やはり君は優秀だ!!

         鋭い洞察力、恐れを知らぬ行動力、実に素晴らしい!!

         宿敵とはこうでなければならない!!

     

         この船にいる役立たずとは大違い、桁違いだ!!」

     

    観念、諦め、そういった負の感情の発散ではない。

    驚くほど純粋な、悦からくる感情の爆発だ。

    彼の言葉に嘘はなく、真実を暴かれたことに対して悦びを表している。

     

    (´・ω・`)「デレシア、君の推理は模範解答だ、大正解だ!!

         そう、君の推理した通り、このショボン・パドローネこそがこの事件の犯人だ。

         真実などと云う不確かな物を信じ、それを追う探偵の無能さにはがっかりさせられたが、君のおかげで報われた。

         死んでいったノレベルトも、これで報われるだろう」

     

    川;゚ 々゚)「う、嘘よ……」

     

    検死官、クルウ・ストレイトアウトは言葉を失った。

    つい先ほどまで、協力し合っていた間柄が、一瞬で崩壊したのだから、無理もない。

    驚き様から察するに、ショボンに対して恋愛感情のようなものを抱いていたのかもしれない。

    座ったまま気を失いそうな彼女の姿は、哀れとしか言えなかった。

     

    (´・ω・`)「嘘じゃないさ。

         真実を話すついでに君に言うが、僕は君の事が好きだったよ。

         君は利用価値があった。

         おかげで死体から身分証を取ることも容易だったし、海に捨てることも出来た。

     

         さて諸君、名残惜しいが私は失礼するよ。

         よく言うだろう? “握り拳と握手は出来ない”ってね」

     

    ショボンの告解によって異様な空間と化したその場において、トラギコ・マウンテンライトだけが殺しの道具、自動拳銃ベレッタM8000を構えた。

    撃鉄は起き、安全装置も解除されている。

    銃爪に指がかけられているが、彼は引けなかった。

    ショボンはトラギコよりも素早くロミスを付き飛ばし、マニーの首をマハトマで掴み、力を込めていた。

     

    部屋に入った段階でショボンの右腕が“マハトマ”を纏い、何気ない会話の中で解除コードを口にしていた事に気付いた時にはもう遅い。

    わざわざロミスをマニーの傍にまで連れてきたのは、これを予期していたからだろう。

    この男は、リスク管理が病的なまでに徹底している。

    全員がショボンの行動に注目する中、デレシアだけは彼が仕掛けた別の手に注意をしていた。

     

    ショボンはマニーを掴み起こし、彼を楯にしながら会議室の出入り口に向かう。

    トラギコは銃口を向けたまま、ショボンの動きを待つ。

     

    (´・ω・`)「さぁ始めよう、デレシア!!

         ここから先は、楽しい答え合わせの時間だ!!」

     

    声高らかにそう言い放ったショボンは、部屋を飛び出した。

    これが“オアシズの厄日”、その最終幕の始まりであった。

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

                     脚本・監督・総指揮【ID:KrI9Lnn70

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    ショボンの言う答え合わせが、思考の読み合いの話だとデレシアにはすぐに分かった。

    彼は馬鹿ではない。

    この場が設けられた時点で、その先を見越して手を打っているはずだ。

    逃走経路の確保も済んで、万が一の際の指示もしていると考えて挑むべきだ。

     

    道中に彼が仕掛けた数々の罠、細工。

    デレシアがそれをどこまで見抜き、対抗できるか。

    互いの手の内を打ち消し合う追跡劇。

    そのことを、答え合わせと言っているのだ。

     

    デレシアも準備をしていない状態でここにいるわけではない。

    しっかりと先読をして、手を打った状態でここにいるのだ。

    後は、双方の思考の読み合いが結果となって現れるのを見届けるだけだ。

    銃を向け合った状態で撃ち合い、互いの弾丸を撃ち落とすようなものだ。

     

    (=゚д゚)「……で、“言われた通りに”撃たないでやったけど、どういうことラギ?」

     

    トラギコには、犯人がマニーを人質にして逃亡する可能性の高さを話してある。

    彼がすぐに撃ち殺さないように言っておいて、大正解だった。

    これで読み合いの先制点は、デレシアの物となった。

    一連の事件によって信頼を大きく失ったオアシズを復興する際に、マニーの存在は絶対だ。

     

    彼の死はオアシズの崩壊に繋がり、船はどこかの街の支配下に置かれるに違いない。

    恐らくはそれがショボンの保険だ。

    仮に船がジュスティアなどに買収された場合でも、ショボンは目的を果たせるのだろう。

    最悪の事態は避けられた。

     

    しかしマニーの命が握られている以上、状況はショボンに傾いている。

    デレシアが彼の思惑を潰すにはマニーを生きた状態で奪い返し、目的を阻止するしかない。

     

    ζ(゚、゚*ζ「説明は後。 各ブロック長はノリハの指示に従って。

          それと、武装させた警備員をショボンの部屋に。

          探偵長の死体があるはずよ。

          トラギコ、ブリッツを装着して彼を追うわよ」

     

    (=゚д゚)「けっ、やりゃあいいんだろ。

        ――“これが俺の天職なんだよ”!!」

     

    トラギコの声に応じて、足元のアタッシュケースが展開した。

    彼はそこから籠手を取り出して両手に装着し、右手に高周波刀、左手にM8000を持った。

    デレシアとトラギコは部屋を飛び出し、ショボンの姿を探した。

    黒い絨毯の敷かれた廊下には誰もいない。

     

    だが重要なのはショボンがどこを目指しているかだ。

     

    (=゚д゚)「上か、それとも下か?」

     

    ζ(゚、゚*ζ「下よ」

     

    二人は左に進み、突き当りを右に曲がった。

    そこにある扉が開いており、誰かが通ったことが分かる。

    デレシアは歩調を緩め、トラギコを先に行かせた。

    扉を蹴り開けると、そこには広い道路が広がっていた。

     

    次にショボンが使うと予想できる経路は、エレベーターだ。

    自分が追われることは分かっているはずだし、急ぎたいはずだ。

    何も言わずに、トラギコはエレベーターを目指した。

    その後ろに続いて、デレシアも駆ける。

     

    高速エレベーターの前に着くが、既に呼び出しのスイッチがマハトマで殴り壊されていた。

     

    (#=゚д゚)「くっそ、あの禿!!」

     

    最寄りの物ではなく反対側のエレベーターを利用するしかない。

    だが、道路の向こうにあるエレベーターの近くに二体のハムナプトラが待機しているのが見えた。

    待ち伏せしていたハムナプトラも、二人に気付いた。

     

    <=ΘwΘ=>『来たぞ、殺せ!!』

     

    ハムナプトラが構えるアサルトライフルが火を噴いた。

    銃弾は二人のすぐ傍を通り抜け、壁や地面を抉っていく。

    距離による弾道のずれを棺桶が自動で整えるには、五秒ほどの時間が必要だ。

    デレシアはローブを広げて咄嗟に応戦しようとするが、トラギコが叫んだために両手をデザートイーグルから離した。

     

    (=゚д゚)「伏せてな!!」

     

    僅か四発で、トラギコは二体の棺桶を屠った。

    疾いだけではない。

    かなり正確な腕をしている。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「ナイスショット」

     

    (=゚д゚)「うるせぇ」

     

    この銃撃戦によって、短時間ではあるが追跡の時間を稼がれた。

     

    ζ(゚、゚*ζ「急ぎましょう、この調子だと逃げられるわ」

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

                撮影・演出・音響・衣装・演技指導・編集【ID:KrI9Lnn70

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    船倉の最深部に向かって降下するエレベーターの中で、ショボン・パドローネは楽しさのあまり、笑い出した。

    やはり思った通りだ。

    彼女こそが事件を解き明かす人間だったのだ。

    探偵たちの無能さには落胆したが、デレシアと云う人間の有能さには驚愕した。

     

    真の目的から目を逸らさせるためだけに引き起こした事件だったが、それなりに手の込んだ仕掛けだったつもりだ。

    探偵たちがこの事件を解いていく内に袋小路に入り、迷走することが当初の予定だった。

    一つの事件として、中々に完成度の高い物だったと自負できる。

    だがそれは、事件を可決できるだけの能力のある人間がその場所にいれば、の話だった。

     

    それ以前の問題だったのだ。

    結局、探偵たちの誰一人として、ショボンの思惑通りには動かなかったのだ。

    多少の手助けはしたものの、正しい推理も出来なかった。

    先ほどの場に現れることも期待したがそうはならず、ショボンの偽りの推理に流されるがままだった。

     

    探偵長はもう少しの所まで来たが、ショボンに相談に来たのが運の尽きだった。

    話すのも面倒だったため、殺してしまった。

    用意された真実に到達できたのは、デレシアただ一人。

    彼女なら、ショボンを楽しませてくれる。

     

    この答え合わせの時間も、彼女無しでは虚しいだけだ。

     

    (´^ω^`)「うふふふ、あああああああああっははははは!!」

     

    #・∀・¥「……キチガイが」

     

    両手足をワイヤーで固定され、肩の上に担がれたリッチー・マニーはショボンの耳元で可能な限りの増悪を込めてそう呟いた。

    こんな男の発言一つ気にも留めない。

    ショボンにとっては、ただの生きた鍵だからだ。

    ショボンは笑みを失わないまま、答えた。

     

    (´^ω^`)「……貴方には分からないでしょうね。

         好敵手の出現程嬉しいことはない。

         こんな事をしていて、唯一の楽しみはそれぐらいなんですからね」

     

    #・∀・¥「こんな事?」

     

    (´・ω・`)「人殺しですよ、市長。

         私はね、極力人を殺したくないんですよ。

         何かしらの罪があれば別ですが、無実の人間を殺す時には胸が痛みます」

     

    この言葉をマニーが信じるとは思っていない。

    人を殺す時には、常に罪悪感が彼を襲った。

    全てはより大きな目的のためと言い聞かせ、人を殺した。

    一を殺して千を救う。

     

    それこそが正義。

    それこそが、ショボンの見出した新たな生き方だった。

     

    (´・ω・`)「信じてもらえるとは思っていませんけどね」

     

    ;・∀・¥「海のように広い理解力があれば、信じられるんだろうけどね」

     

    ショボンを乗せたエレベーターは、存在しないはずの地下二階に到着した。

    扉が開くと、目の前には銀色の巨大な壁があった。

    そこには鍵もなく、パネルもない。

    凹凸のない滑らかな銀色の壁と床、そして天井しかない。

     

    人一人分の最小のスペース。

    これが、オアシズの大金庫だ。

    音声入力と網膜スキャン、そして分厚い特殊合金によって守られた金庫内部は六つの部屋に区切られ、要求に応じて金庫内部の部屋が回転する。

    音声によって指示された金庫を開く、回転式金庫だ。

     

    マニーを地面に降ろし、ショボンは要求を伝えた。

     

    (´・ω・`)「さて、市長。

         貴方の所有する“キング・シリーズ”の棺桶を渡してもらいましょう」

     

    その名を聞いた途端、マニーは驚きに目を大きく見開き、ショボンを睨み上げた。

    呆れ、そして激怒の色が窺える。

     

    ;・∀・¥「あれが、狙いだったのか……

          あんな、棺桶一機のために!?

          そのためにどれだけの人間を殺した!!」

     

    (´・ω・`)「人間は七十億以上。 対して、この世界に現存するキング・シリーズは十機もいない。

         価値の高さは、比べるまでもない。

         他と一線を画するその内の一機、是非とも欲しい」

     

    ¥・∀・¥「断る、と言ったら?」

     

    (´・ω・`)「この船を沈めます。

         現在、この船の操舵室は私の同胞が占拠しています。

         いつでもどうにでも出来るんですよ?」

     

    ¥・∀・¥「地獄に落ちろ」

     

    マニーは扉を睨みつけ、下唇を噛んだ。

    唇は次第に白くなり、そして、血が滲みだした。

    最初の血の一滴が地面に花を咲かせた時、マニーは怒りに声を震わせながら言った。

     

    ¥・∀・¥「……アイデンティファイ、リッチー・マニー。

          コード、アルファ・レガシー・トロント。

          オーダー、SK-00

     

    金属の扉の向こうから、低い唸りの様な音が聞こえ、ゆっくりと壁が床に沈んだ。

    そして、回転式金庫の中からそれが現れた。

     

    (´・ω・`)「――素晴らしい!!

         これが……これが……!!」

     

    縁が金色に塗装されただけの長方形の黒柩が、そこにあった。

    光沢のないコンテナの表面には、擦り傷さえついていない。

    ざっとした目測ではBクラスに分類されるが、性能はCクラス並みの高性能な機器を搭載している。

    まだ見ぬその中身は、これまでに出会ったどの棺桶よりもショボンを興奮させた。

     

    (´・ω・`)「……“ドリームキャッチャー”!!」

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

                 制作協力【全てのブーン系読者・作者の皆さん】

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    ショボンを追うデレシアとトラギコは、非常階段を使って地下を目指していた。

    エレベーターに伏兵を配置していた用意周到さを見ると、エレベーターに爆発物を仕掛けている可能性が高かったからだ。

    市長を人質にしたショボンは、オアシズの地下二階に位置する金庫室に向かっているとデレシアは推理した。

     

    地下二階に行くための道はエレベーター以外にもある。

    デレシアはその道を知っていた。

    やられっぱなしも性に合わないので、デレシアは別の手を使ってショボンの逃走経路を妨害することにした。

    トラギコの棺桶を利用して、第三ブロックのエレベーターの昇降を行うワイヤーを切断させたのだ。

     

    これで上に向かう道を制限し、時間を稼げる。

    階段を駆け下りる途中、先頭を行くトラギコは後ろを見ずに質問した。

     

    (=゚д゚)「……なぁおい、どうしてショボンが金庫室だと?

        普通なら、救命ボートを目指していると考えるはずラギ」

     

    ζ(゚、゚*ζ「ボートで逃げるつもりなら、マニーは必要ないわ。

          海賊の襲撃の段階で船に乗ればよかったもの。

          狙いは、金庫内の棺桶よ」

     

    地下一階に到着し、まっすぐに続く薄暗い廊下を走る。

    じめじめとした空間はくぐもったがして不快だった。

    硬い靴底が金属の床を踏みつける音が木霊する。

     

    (=゚д゚)「これだけのことをした目的が、棺桶?

        あの禿とは少しの間仕事をしたことがあるラギが、そんな大げさなことが好きな奴じゃなかったラギよ」

     

    ζ(゚、゚*ζ「“キング・シリーズ”って棺桶の事は?」

     

    (=゚д゚)「知らないラギね」

     

    突き当りを右に曲がり、三段だけある階段を飛び降りる。

    左右には天井に接続された巨大な円筒が立ち並び、生ぬるく湿気の多い空間だった。

    機関室の一部だ。

     

    ζ(゚、゚*ζ「S・キングと云う兵器設計の名匠が手掛けた棺桶の事よ。

          復元されているのは僅かに六機だけ。

          マニーが所有しているのは、その中でも二番目に新しい“ドリームキャッチャー”。

          ショボンはそれを狙っているはずよ」

     

    (=゚д゚)「わざわざ棺桶一機のために、随分と大げさな……」

     

    ζ(゚、゚*ζ「それだけの価値を見出しているのだから、仕方ないわ」

     

    デレシアは先を行くトラギコの肩を掴んで、動きを止めさせた。

    周囲を見渡し、溜息の代わりに強い口調でトラギコに訊く。

     

    ζ(゚、゚*ζ「……爆弾解体の経験は?」

     

    (=゚д゚)「そりゃ、何回かはあるけどよ。

        なんで急に?」

     

    ζ(゚、゚*ζ「ここ、爆弾だらけよ」

     

    目を凝らせば分かる。

    天井、パイプの下に四角い物体が取り付けられている。

    形状から推測するに、プラスチック爆弾だ。

    変幻自在の爆弾が相手となると、捜索だけでも大量の時間が必要になる。

     

    見事な足止めによって、デレシアはショボンに追いつくことが不可能になった。

    ここの爆弾を解体しなければ、船は最後に沈められる。

    それを阻止するためには、今ここで爆弾を全て解体しなければならない。

    ショボンを追っている時間も、追いつく時間もない。

     

    (;=゚д゚)「どうするラギ?」

     

    ζ(゚、゚*ζ「他の階に、まだ残党がいるはず。

          私がそっちを片付けるから、貴方はここをお願い」

     

    (=゚д゚)「人使いの荒い奴ラギね。

        ……やってみる。

        手前、死ぬなよ」

     

    ζ(゚、゚*ζ「当たり前よ。 貴方もね、刑事さん」

     

    デレシアはショボンの追跡を諦め、船内の大掃除にその行動を切り替えた。

    この時点で、デレシアがショボンに追いつける確率はゼロになった。

     

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    Low Tech Boon】→ttp://lowtechboon.web.fc2.com/ammore/ammore.html

     

    Boon Bunmaru】→ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/ammore/ammore.htm

     

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    棺桶を背負い、ショボンは悔しさで振るえるマニーを見下ろした。

    空になった金庫に転がる彼の姿は、この船における彼の立場を比喩しているようだった。

    両手足を縛られ、使えるのは口だけ。

    正に、無力の象徴だ。

     

    (´・ω・`)「……市長、こんなことを言うのは残念ですが、貴方は優秀だった」

     

    殺してもいいが、極力無駄な殺しは避けたかった。

    人が死ぬと、誰かが悲しむ。

    それが事件であれ、事故であれ、戦争であっても、だ。

    エレベーターに乗り込み、屋上行のボタンを押す。

     

    しかし、一向に昇降機が上昇する気配がない。

    原因に思い至り、ショボンは嬉しくなった。

     

    (´・ω・`)「ふふ、楽しませてくれるね」

     

    デレシアはこちらが地下に向かったことを予想し、エレベーターの機能を奪ったのだ。

    つくづく、面白い女だ。

    女にしておくには惜しい人材だ。

     

    (´・ω・`)「いい女だ、全く」

     

    あの二人がここに来るまでには、かなりの時間が掛かるはずだ。

    彼女の洞察力の高さを考えると、道中に用意した爆弾で長い間足止が出来る。

    時間的には、まだ余裕がある。

    背中のドリームキャッチャー、両腕のマハトマが今のショボンの主装備だ。

     

    ドリームキャッチャーはギリギリまで使いたくない。

    左手の小指から順に拳を作り、地面に向けて叩きつけた。

    跳躍するよりも高く上空に体を浮かせたショボンは、すぐさま右手のアッパーカットで天井に大穴を空け、その縁を掴んだ。

    工夫の仕方では、脱出経路は確保できる。

     

    昇降機の上に乗り、ショボンはワイヤーが蜷局を巻いて屋根に落ちているのを見つけた。

    鋭利な断面。

    トラギコの仕業だ。

    彼の持つブリッツなら、この程度のワイヤーはタコ糸以下の存在でしかない。

     

    この事態は予測していた。

    最悪の中でも最上の部類として。

    だからこそ、鋭い推理力を持つ人間を足止めするための機関室の爆弾があるのだ。

    あれは足止めであると同時に、船を沈めるための物でもあった。

     

    ここまでの相手と分かっていればと後悔するが、やはり嬉しく思う。

    世界はこれから大きく変わる。

    変わりゆく世界を動かすのは、強い意志と力を持つ人間だ。

    彼女なら、これから訪れる新世界を象徴する人物になれるのは違いない。

     

    それが分かっただけでも、ショボンにとっては十分な成果だ。

    知恵比べなど、何十年ぶりだろうか。

    警察に入ってからは片手に数えるほどしかなかったこの高揚感。

    その全てを足しても、これほどの物は得られなかった。

     

    用意したほぼ全てを見抜かれ、準備された。

    双方の技量の優劣を知るには、結果を見るしかない。

    新たな穴を拳で開け、ワイヤーの切れ端を先ほど開けた穴に通して結ぶ。

    幸いだったのは、滑車伝いにワイヤーが両端とも残っていたことだ。

     

    これで、エレベーター機構の再現が出来る。

    天秤と同じく、より重い方が下に行く。

    その機構が再現できれば、ショボンは屋上に辿り着くための道を手にすることが可能となる。

    地下一階まで上がれば、後は階段を使えばいい。

     

    デレシアの事だ、第三ブロックにある二つのエレベーターを無効化しているだろう。

    ワイヤーを引っ張り、安全を確認する。

    両手でそれを掴んで、ショボンは静かに上を目指した。

    時間としては、五分もあれば地下一階に戻れるはずだ。

     

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    その人物は逃走経路の掃除を行っていた。

    使う道具はナイフか拳銃だけで、背中のトゥエンティー・フォーは一度も使わなかった。

    対象となるのは、どうしてか道中で待ち構えている警備員達だ。

    こちら側の人間ではなく、オアシズ側が配置した人間と云うのが気になる。

     

    計画が表沙汰になったと考えるしかない。

    それも、あのショボン・パドローネを上回る形で。

    オアシズ付の人間ではないはずだ。

    外部の人間の仕業だ。

     

    跫音を消すことをせずに廊下を突き進むその人物は、ショボンの共犯だった。

    真犯人の影を演じ、大胆な犯行を担当した。

    姿や存在が捜査線上に現れることなく犯行を手掛け、ショボンにアリバイを与えた。

    それが彼の役割だった。

     

    そして今、彼の部下が船の各ポイントに立ちショボンの逃走を手助けすることになっている。

    仲間のためとはいえ、部下を捨て駒のように使われるのはいい気分がしなかった。

    部下全員の顔と名前を憶えている訳ではないが、それでも人間だ。

    既に報告で上がっているのが、海賊襲撃時にブロック長達の警備兼監視役の部下が、全員殺されたことだ。

     

    それ以外にも死者が確認されている。

    この船に乗り込んだ猛者がおり、トラギコとか云う人間がその内の一人なのは間違いない。

    第三ブロック七階にある操舵室の前に来た時、嫌な感覚に襲われた。

     

    「……?」

     

    まず、いるはずの歩哨がいなかった。

    命令ではその場から動くなと言ってあったはずだ。

    決められた回数、そして間隔で操舵室の扉をノックしたが、応答がない。

    扉を押すと、何の抵抗もなく開いた。

     

    一瞬で状況を理解することは出来なかった。

    地面に落ちた大量の血痕はまだ乾いていないが、人がいない。

    誰一人、そこにはいない。

    海を見渡すことの出来る強化ガラスに近づき、他にめぼしいものが無いかを確認した。

     

    窓の傍に一つだけ落ちていた薬莢を爪先でつついた時だった。

     

    「――へぇ、あんたか。

    なんだか少し残念だよ」

     

    その声は後ろからかけられた。

    刃の様な女性の声だった。

    気配は全くしていなかった。

    今こうして声を掛けられても、気配を感じるのがやっとだ。

     

    すぐに襲ってこないことを考え、その人物は顔だけを声の方向に向けた。

    若い女だった。

    細身だが、黒いスラックスの下にある実用的な筋肉の存在は、立ち振る舞いから分かる。

    目尻がやや吊り上がった、鋭い眼光を放つ瑠璃色の瞳。

     

    見たことのある女性だった。

    餃子を売っていた時に現れた女性だ。

    只者では無い事は察していたが、まさかここまでとは。

     

    ノパ⊿゚)「さて、お相手願おうか」

     

    この女性が単身で操舵室にいた部下を皆殺しにしたのは、確認するまでもなかった。

    そして、この女性がショボンの言う障害の一人であることはより明白だ。

     

    ( `ハ´)「……」

     

    必要なのは先制攻撃だ。

    シナー・クラークスは溜息を殺し、覚悟を決めた。

     

    ( `ハ´)「私の部下はどうしたアルか?」

     

    ノパ⊿゚)「あんたの部下だったのか、あいつらは。

        悪いが、殺して捨てたよ」

     

    シナーは理解した。

    この女性は、強い。

    勝てると思って戦わない方がいいだろう。

    出来ることは時間を稼ぐこと。

     

    こちらの勝利条件は、ショボンが“迎え”に間に合って荷物を渡すことだ。

    矜持や意地は捨て、時間稼ぎに徹する他ない。

     

    ( `ハ´)「……名前は?」

     

    ノパ⊿゚)「名乗るつもりはないね。

        ――“あたしが欲しいのは愛か死か、それだけだ”!!」

     

    コンセプト・シリーズの起動コードに、シナーは覚悟を決めた。

    別に動いているショボンが逃げ切るまで、この場で戦い続け、生き延びる。

    最悪、殺せなくともいい。

    殺されさえしなければ。

     

    ( `ハ´)「ふん……

         “今日は今までで一番長い一日になる”!!」

     

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            ‥…━━ August 6th 19:40 on the penthouse ━━…‥

     

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    屋上に到着したショボンは、月と星明りの美しさに思わず感動して涙ぐんでしまった。

    何と美しい景色だろうか。

    この汚い世界の中でもなお失われない美しさを保ち、ショボンを祝福してくれることの嬉しさ。

    今、自分とその行いは世界に受け入れられているのだと自信を持って言える。

     

    濃い群青色をした水平線の向こう、歪な形をした紫色の雲の下に赤と緑の位置灯が見えた。

    ローターの羽音を響かせて飛んでくるヘリコプターの姿を幻視し、ショボンは理解した。

    迎えが来た。

    あと数分で、答え合わせはショボンの勝利で終わる。

     

    少し残念だったが、楽しませてもらえた。

    目的は果たした。

    後は、帰るだけだ。

    ポケットの中の発信機のスイッチを入れ、目的の達成を伝える。

     

    肌寒い空気を運んでくる風は、走り続けた体を良く冷やしてくれる。

    風の音が大きい。

     

    (´・ω・`)「ふぅ……」

     

    溜息を吐き、任務達成の解放感に浸る。

    ヘリの黒い姿が大きくなるにつれ、ショボンは肩から力が抜けるのが分かった。

    多目的ヘリコプター、UH-60ブラックホーク・ヘリコプターだ。

    自然エネルギーで飛行を可能にするために、二十年近く改修し続けた機体だ。

     

    昼間の間に充電し、夜中でも飛べるように改良された大容量バッテリーはまだ量産されていない。

    迎えとしてそれ一機を飛ばすだけでも、この作戦の重要度がよく分かる。

     

    (´・ω・`)「さよなら、オアシズ」

     

    爆音を響かせ、ブラックホークがショボンの頭上に現れた。

    オアシズの屋上は、ヘリの離着陸をするのに十分すぎる広さがある。

    海で逃げるのが困難なら、空から逃げるのに限る。

    着陸したブラックホークの後部席のスライドドアが開き、室内灯が照らす懐かしい顔があった。

     

    ローターの生み出す風に長めの黒髪を靡かせる碧眼の男性、ドクオ・バンズだ。

    空気を震わせ、轟音となったローターの音に消されないように、ドクオは大きな声で話しかけてきた。

     

    ('A`)「お疲れ様です、同志!! 船旅はいかがでしたか?!」

     

    両耳を押さえながら、ショボンは口の動きから言葉を読み取り、返答した。

     

    (´・ω・`)「悪くはなかった!!

         無事、ドリームキャッチャーは手に入れた!!

         だが追手が来ている、急いで出よう!!」

     

    背中の棺桶を降ろしてドクオに引き渡すだけで、長い任務は終わる。

    これでショボンはオアシズから去り、デレシアとの答え合わせは――

     

    (∪´ω`)「お」

     

    ――最後の局面に現れた一人の少年に、その勝敗が託された。

     

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                 AmmoRe!!のようです Ammo for Reasoning!!

     

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    ブーンは驚かなかった。

    そして、恐れもしなかった。

    ショボン・パドローネが犯人であることも聞いていたし、ここに来る事も予期出来た。

    戦い方は聞いている。

     

    恐ろしい相手を前にするのは、これが初めてではない。

    今、自分が成長するための一枚の壁の前にいる。

    故に臆するわけにはいかなかった。

    例え、自分を海に投げ捨て、大量殺人を犯した人間が目の前にいたとしても、だ。

     

    (´・ω・`)「……ブーン君?

         生きていたのか?」

     

    (∪´ω`)「はいですお」

     

    この質問は、予想していた。

    驚くことはない。

     

    (´・ω・`)「それは良かった。

         どうしてここに?」

     

    (∪´ω`)「つよくなるためですお」

     

    この質問も、予期していた。

    恥じることはない。

     

    (´・ω・`)「何が起きたのかは知っているのかい?」

     

    (∪´ω`)「しっていますお」

     

    この質問も、想定していた。

    迷うことはない。

     

    (´・ω・`)「なら、どうするつもりだい?」

     

    (∪´ω`)「あなたのゆめを、つぶしますお」

     

    この質問も、想像していた。

    躊躇うことはない。

    ショボンは一連のやり取りと終えると、眉ひとつ動かさずに、手を懐に入れた。

    そこから拳銃を取出し、銃口をブーンの胴体に向けた。

     

    まだ動いてはならない。

    ブーンが師匠と敬う人物から教わった事。

    相手が銃爪を引くまでは、その銃口と相手の視線から目を逸らしてはならない。

    限界まで見極め、最小限の動きで応じる。

     

    然る後に、反撃に転じる。

     

    (´・ω・`)「海に捨てておいてなんだが、君を殺したくはないんだ。

         君はまだ子供――」

     

    ローターが生み出した風と、強い潮風がブーンの被るニット帽を飛ばした。

    ニット帽はフェンスに引っかかり、海には落ちなかった。

    黒髪の下にある垂れ下がった犬の耳が露わになったことに気付くと、目の前で別の変化が起きた。

     

    (´・ω・`)「――耳付きは死んでいい」

     

    態度を一変させ、ショボンが動いた。

    暗闇の中でも、ブーンは彼の動きが良く見えた。

    発砲する直前に途切れる殺意。

    それを感じ取るのと同時に、銃口の先をよく見る。

     

    自分から見て左側に向かって弧を描くように走り、銃弾を避ける。

    ヘリの影に隠れられれば、銃弾は当たらない。

     

    (´・ω・`)「くそっ、耳付きのクソガキと話したのか、僕は。

         最悪だ、悪夢だ。 女にレイプされるよりも辛いな、これは」

     

    淡々と言葉を並べながら、ショボンは発砲を続ける。

    銃弾はブーンの後ろを通り過ぎていたが、次第にブーンの目の前を通過するようになり、迂闊に走れなくなった。

    走れなくなると、ショボンの射撃の腕の正確さに気付かされた。

    ショボンから約三ヤードの位置で最小限のサイドステップで動いているが、銃弾はローブの端を掠め、このままでは胴体に当たるのは確実だった。

     

    武器が。

    武器が、欲しかった。

    ショボンに反撃し、自分を守ることの出来る武器が。

    銃でもナイフでも、なんでもいい。

     

    (´・ω・`)「デレシア程の人間が糞耳付きを最後に残すとは、確かに予想外だったよ。

         だけど死ね。 この世界のためにも死ね!!

         忌々しい耳付きが!!」

     

    これまでに、耳付きと呼ばれる人種を嫌う人間は多く見てきた。

    誰もが気味悪がり、嫌悪していたのは分かっていた。

    害虫を殺すのと同じく、気分の問題で殺されかけたことがほとんどだ。

    だが、ショボンの声には怒りがあった。

     

    この男は怒りの感情でブーンを殺そうとしている。

    彼の背後、ヘリコプターに乗る男も異変を察したのか、大声で静止を試みた。

     

    ('A`)「同志ショボン、早く乗ってください!!

       そんな子供は放っておいて、急いで!!」

     

    (´・ω・`)「いいかドクオ、こいつらは害虫と同じだ!!

         一匹残せば増えていくんだ。 見つけたら殺さなければならない!!

         もう少し待っていてくれ!!

         私と口をきいた駄犬の肋骨をへし折って、喉に突き刺してやるんだ!!」

     

    ショボンが拳銃の弾倉を排出した時、涼しげな女性の声が響いた。

     

    「――駄犬? 私の可愛い弟子を駄犬扱いとは、気に入らないな」

     

    時間だ。

    ブーンの役割はここまで。

    後は、ブーンにはない物を持つ人物が、彼の役割を引き継ぐ。

     

    i、゚ー ゚イ`!「どれ、一つ試してみるか?」

     

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                AmmoRe!!のようです Ammo for Reasoning!!

     

                              Epilogue

     

                         【Ammo for Reasoning!!

     

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    黒い鍔広帽子に黒いロングコート。

    限りなく黒に近い灰色の髪。

    宝石のように輝き、深淵の如く底の無い深紅の瞳。

    影のようにブーンの後ろから現れたロウガ・ウォルフスキンは、ショボンをまっすぐに睨みつけた。

     

    ブーンが屋上で担った役割は、時間稼ぎと銃の弾を尽きさせること。

    これが上手く行かなければ、答え合わせはショボンの勝利で終わっていた。

    何故なら、ブーンには武器がない。

    誰かを殺すだけの力もない。

     

    だから、ロウガがそれを代わりにやる。

    その為に必要な道具を取りに行く時間を稼ぐのが、ブーンの真の目的だった。

    ロウガの放つただならぬ雰囲気に、ショボンは怒りの感情を抑えた。

     

    (´・ω・`)「……ドクオ、ヘリを上空で待機させることは可能か?!」

     

    ('A`)「五分だけなら!!」

     

    (´・ω・`)「いいだろう。 この女、今ここで犬と一緒に殺す!!」

     

    ショボンは棺桶をヘリコプターの男に渡し、両の拳を眼前で打ち鳴らした。

    機械仕掛けの籠手の正体は、マハトマだ。

    Aクラスの棺桶で、重い荷物の運搬に使われるようなもので、戦闘には向いていない。

    しかし、生身の人間との肉弾戦の場なら殺傷能力は十分だ。

     

    (´・ω・`)「相手をしてやる。 こい、女」

     

    ショボンの注意がロウガに移行したのを見逃さなかった。

    指示を待つよりも先に、ブーンが動いた。

    狙いは、彼の脚だ。

    足払いでバランスを崩せば、ロウガに有利な状況を作り出せる。

     

    上昇を始めたヘリコプターの風圧で近づくのは困難だったが、距離が縮まっていたのが幸いした。

    人工芝の摩擦の少なさを利用して、片膝を突きながら素早くショボンの背後に滑り込む。

    視線も注意も、ブーンには向けられない。

    眼中にないのだ。

     

    片手を軸にして、ロウガに習った足払いを繰り出した。

     

    ('A`)「悪いな、小僧」

     

    いつの間にかヘリから飛び降りた男が、足払いが形となる直前のブーンの足を掴んだ。

    ショボンの脚までもう僅かの地点で、それは阻まれた。

     

    ;∪´ω`)「お!?」

     

    ('A`)「あの女を殺したら、すぐに楽にしてやる」

     

    男は懐から拳銃――コルト・ガバメント――を抜いて、ロウガに向けて発砲した。

    だがロウガはそれを避けた。

    一発ずつ、銃口を確認しても回避行動だ。

    それだけではなく、彼女はブーンとは比較にならないほどの速度でショボンに接近している。

     

    彼女の目の輝きが、まるで残光のように見えた。

     

    (´・ω・`)「疾いっ?!」

     

    ロウガの接近に半歩後退したショボンは、リーチのある回し蹴りで応じた。

    その蹴りは、虚しく空を切った。

    彼女は上半身の動きだけで紙一重でそれを避けたのだ。

     

    i、゚ー ゚イ`!「遅いぞ、探偵」

     

    たじろぐショボンに、ロウガは後ろ蹴りを下方から一発放った。

    それで、二人の勝負は終わった。

    両腕を交差させて攻撃を受け止めたショボンだったが、その体は嘘のように宙を舞い、ブーン達の頭上を越えて地面に叩きつけられた。

    圧倒的な戦力の開きに、男は立ち向かうのを諦めた。

     

    (;'A`)「ちっ!! 人質ってのは好きじゃねぇが!!」

     

    もう二度と、人質になって足手纏いになりたくない。

    その想いが、ブーンを動かした。

    体を一回転させ、男の手から足を解放させる。

    そして、蹴り上げによって男が持つコルトを蹴り飛ばした。

     

    (;'A`)「お!?」

     

    i、゚ー ゚イ`!「墳っ!!」

     

    呆然とする男の腹に、ロウガの掌底が命中した。

    男もまた、宙を舞ってショボンの隣に落下した。

    男の手を離れたコルトも、ほぼ同時に地面に落ちた。

     

    i、゚ー ゚イ`!「他愛ない連中だ」

     

    ロングコートの裾を風に棚引かせるロウガは、帽子が飛ばされないように鍔を摘まみながら短く落胆の言葉を吐いた。

     

    (;´・ω・`)「……なんだ、この女。

          本当に人間か?」

     

    ゆっくりと立ち上がりながら、ショボンはロウガを見た。

    距離は十ヤード近く。

    その気になれば、ロウガは二人を殺しに行ける距離だ。

    耳付きと呼ばれる人間にとって、この程度の距離は問題にならない。

     

    i、゚ー ゚イ`!「勿論、人間さ」

     

    (;´・ω・`)「お前も、耳付きだな」

     

    忌々しげな口調でそう言ったショボンに、ロウガは冷ややかな目と言葉を与えた。

     

    i、゚ー ゚イ`!「貴様の嫌悪する耳付きに、手も足も出ないのか。

          情けないな」

     

    (#´・ω・`)「ケダモノがっ」

     

    (;'A`)「ごっ……げぇぇぇっ」

     

    ロウガに発砲した男は、体をくの字に曲げて吐瀉し、悶絶している。

    文字通り、決着は一瞬でついた。

     

    i、゚ー ゚イ`!「貴様らの負けだ」

     

    その言葉を聞いたショボンは、肩を震わせて笑い声をあげた。

     

    (´^ω^`)「……はははははっ!! それはないね!!

         確かに、私は君に負けたが、答え合わせでは私の勝ちだ。

         分かるかい? すでに棺桶は我々が手に入れた。

         この時点で、私達の勝ちなんだよ!!

     

         最後の一問で君達の負けだ、犬が!!」

     

    i、゚ー ゚イ`!「……“最後の一問”、か。

          ならそれは、貴様の採点ミスだ。

          主の盟友は、こうなることを予期していた。

          最後の最後で、詰めを誤ったな」

     

    直後、上空に浮かんでいたブラックホークで爆発が起こった。

    ブーンには見えていた。

    爆発が、内側からの物であることが。

    小さめの爆発だったが、黒煙がヘリから立ち上り、棺桶の運搬用コンテナがそこから海に落下した。

     

    (´^ω^`)「え」

     

    i、゚ー ゚イ`!「マニーに頼んで、コンテナの中にプラスチック爆弾を詰めておいた。

          内側からの爆発なら、例え棺桶といえども耐えきれない。

          コンテナの頑丈さに感謝するんだな。

          おかげで、ヘリはまだ墜ちていないぞ」

     

    (´^ω^`)「……」

     

    誰が仕掛けて、誰が起爆したのかは分からない。

    それは、ブーンも知らないことだった。

    しかし分かる気がする。

    ここまでの戦術を組み立てた人物の仕業だ。

     

    つまり、デレシアの仕業だ。

    それ以外の人間に出来るとは、とても想像できなかった。

     

    i、゚ー ゚イ`!「詰みだ。 どうする、探偵?」

     

    (´・ω・`)「……ふ」

     

    足元で悶える仲間を尻目に、ショボンは再び笑った。

    今度の笑いは心の底からの笑い声だと、直ぐに分かった。

     

    (´^ω^`)「ファアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

         アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッキンヘル!!

         やるねぇ、やるねぇ!!

         想像以上だよ、この展開は!!」

     

    黒煙を撒き散らしながら高度を落とすヘリコプター。

    響き渡るショボンの笑い声。

     

    (´^ω^`)「全部、デレシアの指示かい?」

     

    i、゚ー ゚イ`!「あぁ。 あの方はここまで予想していた。

          答え合わせは、あの方の勝ちだよ」

     

    (´^ω^`)「仕方がないさ。 これはあくまでも私の戯れだ。

         この程度で私に勝ったと思われたくないが、負けは負けだ」

     

    ヘリから一本の太いロープが落とされる。

    蹲る男にロープを握らせ、ショボン自身もロープを掴んだ。

    ロープが巻き上げられ、ショボンの姿はみるみる遠ざかっていく。

    ロウガは追撃をする素振りを見せない。

     

    (´・ω・`)「次は、こうはいかないよ。

         ……さよなら、犬ども」

     

    ヘリが十分な高度に達した時、ショボンはそう言い残した。

    空いた手でショボンが何かのスイッチを押すと、大きな爆発音が響いた。

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    爆発はオアシズから離れた沖合で起こったものだった。

    船に仕掛けられた全てのプラスチック爆弾を積んだ脱出艇は木っ端みじんになり、海の藻屑と化した。

    その様子を見ていたトラギコ・マウンテンライトは、安堵の溜息を吐いた。

    結局、爆弾の解体は不可能だった。

     

    どのコードを切断しても起爆するように設定されていて、手出しができなかった。

    出来たのは、設置されている爆弾を取り外す位だ。

    それでも、自力で全てを見つけ出すのは不可能だった。

     

    (=゚д゚)「……どうして、協力したラギ?」

     

    トラギコの声は横に立つ女性にかけられたものだ。

    彼のいる船尾のプールサイドには、彼と女性の二人しかいない。

    その女性は笑みを浮かべて、答えようとはしなかった。

     

    (=゚д゚)「答えろよ」

     

    デレシアが賊の討伐に動き出してから数分後、トラギコの前にその女性が現れた。

    初めは妨害に来たのかと思ったが、女性は武器を持たず、代わりに情報を与えた。

    爆弾の隠された位置、そして構造。

    全ての情報は正しかった。

     

    彼女がいなければ、船の機関部が吹き飛ばされてオアシズは漂流、もしくは沈没していた。

    当然とも言えるトラギコの質問に対して、返答はない。

     

    (=゚д゚)「あいつらの仲間なんだろ?

        どうして裏切ったラギ?」

     

    首を横に振るだけの否定。

    裏切っていない、ということなのだろうが意味が分からない。

     

    (=゚д゚)「裏切ってないなら、どうして爆弾の位置を全て教えたラギ?」

     

    笑顔を崩さぬまま、無言。

    気味が悪い。

    何を考えているのか分からない。

     

    (=゚д゚)「おい、答えろよ、ワタナベ・ビルケンシュトック」

     

    ''从「……」

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    ノパ⊿゚)「ちっ……」

     

    ヒート・オロラ・レッドウィングは割れた窓ガラスの向こうを睨みつけた。

    相対した餃子屋の男は、時期を見計らったかのようにヒートとの戦闘を中断して逃走した。

    良い引き際だ。

    緊急時に最適なタイミングで撤退を決断できる人間は、総じて優秀だ。

     

    細目の男、シナー・クラークスは迷うことなく逃げた。

    対峙したトゥエンティー・フォーの装甲には穴を空けたし、何度も殴り飛ばした。

    だが倒せなかった。

    使い手のシナーは巧みな動きで全ての攻撃を人体に到達させず、自分の身だけを守った。

     

    久しぶりに骨のある男だった。

    初めて会った時、あの男はとても敵には思えなかった。

    ブーンによくしてくれたし、料理も美味かった。

    しかし改めて殺し合って分かったのは、ヒート達と同じ世界に足を踏み入れた人間と云うことだ。

     

    ブーンには才能がある。

    人を魅了して味方にするか、嗜虐心を擽って暴力を振るわれるか、だ。

    旅を始めて分かったのは、後者の方が世界には溢れているということだった。

    前者の場合、夥しい量の人間を殺し続け、心の平穏を求めている人間に限られる。

     

    殺し屋として長い間生きてきたヒートには、ブーンは心の救いだった。

    彼が生きているとデレシアから聞いた時、彼女の用意周到さに驚いた。

    驚いたのと同時に、胸が苦しくなった。

    何時かまた彼を失ってしまうことがあるのではないかと、そう思ったからだ。

     

    もう失うのは嫌だった。

    ブーンを失わないためには、彼に四六時中貼りつかなければならない。

    それでは、彼のためにはならない。

    戦い方を教えなければならないのと同時に、武器を渡した方がいいと考えた。

     

    彼の腕力は歳以上ではあるが、非力の部類だ。

    ならば、筋力の関係ない銃を持たせてやるべきだ。

    棺桶を背負いなおし、ヒートは操舵室を後にした。

     

    ノパ⊿゚)「後味わりぃな……」

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                     ‥…━━ August 6th 21:20 ━━…‥

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    本当の意味でオアシズの厄日が終わったのは、午後九時を過ぎた時だった。

    各階に散らばっていた賊の死体と、亡骸となった船長の供養など、やることは本当に多かった。

    オアシズの厄日は結果として、偶然乗り合わせた人間の活躍によって大参事を免れた。

    犯人側の目的は全て打破できたが、爪痕は残ってしまった。

     

    ζ(゚、゚*ζ「……」

     

    航行を再開したオアシズの屋上で、デレシアは月を見上げていた。

    大きな月だった。

    美しい星空だった。

    昔から考えれば、有り得ないほどの輝きだ。

     

    デレシアは考えに耽っていた。

    これから先、旅は続いていく。

    ブーンの成長速度には驚かされるし、彼の魅力に気付く人間が増えるのは嬉しかった。

    しかし、それでは足りない。

     

    探偵としてオアシズに長い期間潜りこんでいた、ショボン・パドローネ。

    彼はまず間違いなく、ティンバーランドの人間だ。

    使われた棺桶に残されていた、金色の樹のエンブレムがその証拠だ。

    今、ティンバーランドは世界中にその根を下ろし始めている。

     

    かつてデレシアが潰した組織が、再び芽生え始めている。

    潰さなければならない。

    彼らの最終目的を考えると、それは絶対だ。

    その為には速さが必要だ。

     

    ブーンの成長を促し、少しでも早く立ち向かえるようになってもらう必要があった。

    いつまでもブーンを守れるわけではないのだ。

    今回がそのいい証明となった。

     

    ζ(゚、゚*ζ「……ロウガ、ブーンちゃんの事、礼を言っておくわ」

     

    眩い月が生んだ濃い影。

    その影に潜むように傍に立っていたロウガ・ウォルフスキンは無表情のまま、答えた。

     

    i、゚ー ゚イ`!「礼には及びません。 私も彼に個人的な興味がわきました」

     

    ノパ⊿゚)「あたしからも礼を言うよ、ありがとう」

     

    その隣にいたヒート・オロラ・レッドウィングもロウガに礼を述べた。

    彼女がいなければ、ブーンは海に沈んで溺死していた事だろう。

     

    i、゚ー ゚イ`!「私は主の友を救ったまで。

          ですがそのお言葉は、ありがたく受け止めさせていただきましょう。

          それで提案なのですが、どうですか、月を肴に一杯」

     

    ロウガは耳付きだ。

    空気の動き、人の動きを察することに関しては人間以上に発達している。

    胸糞悪い気分になった二人をリラックスさせようと、彼女なりに気を遣ったのだ。

     

    ζ(゚ー゚*ζ「そうね、折角私達だけの貸切状態だしね。

          ヒートちゃんも一緒に飲みましょう?」

     

    ノパ⊿゚)「あぁ、だけど酒はどこに?」

     

    i、゚ー ゚イ`!「こちらに。 ハイランドパークの十二年ですが、お嫌いかな?」

     

    ノパー゚)「あたしの好きな酒さ」

     

    i、゚ー ゚イ`!「それはなにより」

     

    三人は丸椅子を三つ並べ、それを海側に向けた。

    ロウガがどこからか取り出したボトルは、スコッチ・ウィスキーのハイランドパークだった。

    甘い香りが特徴の酒で、長く続くフィニッシュ(※注釈:飲み終えた後に残る香り)は食後酒として非常に優秀な物だ。

    美しく繊細なカットの施された三つのグラスに琥珀色の液体を注いで、ロウガは全員に手渡した。

     

    デレシアを中心に三人は席につき、グラスを掲げた。

    誰も何も言わなかった。

    三人は無言の尊さを知っていた。

    三人は無言の儚さを知っていた。

     

    何も言わずとも、分かることがある。

    それを助けるのが、酒なのだ。

     

    ノハ*^^)「ふぅ」

     

    美味い酒は溜息を誘発する。

    特に、疲れ切った体にはよく染みる。

    少量であっても心地よい陶酔感を味あわせてくれる。

    デレシアは空を仰ぎ見た。

     

    月明かりに照らし出される群青色の雲。

    水平線の彼方に漂う雲の群れ。

    どれもこれもが、美しい。

    世界の美しさは、何年見続けても飽きることはない。

     

    ――一瞬だけデレシアの瞳に浮かんだ愁いの色に気付いた人間は、誰もいなかった。

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                     ‥…━━ August 6th 21:30 ━━…‥

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    ブーンはお祭り状態の第二ブロック一階にいた。

    オアシズの全ての封鎖状態は解除され、全ブロックの一階は繋がっている。

    その道路に沿って、屋台が軒を連ねている。

    全階層の客が来ているのではないかと疑うほどの、大盛況だった。

     

    道は混み合い、店に寄るのも一苦労だ。

     

    *∪´ω`)「おー」

     

    人混みを見下ろしながら歩くのは、初めての経験だった。

    いつもは人混みの中を泳ぐように歩くのだが、今だけはそうする必要がない。

    ブーンは今、肩車をしてもらっていた。

     

    *∪´ω`)「たかいですおー」

     

    漂う空気は様々な匂いが混ざり、何とも言えないが、食欲をそそる匂いがほとんどだ。

    雰囲気は良く、皆、陽気に過ごそうとしているのが分かる。

    市長、リッチー・マニーの配慮で目的地に到着するまでの飲食代は全て無料と云う措置がされたため、人々は気兼ねなく飲み食いを楽しんでいる。

     

    *∪´ω`)「お、リンゴパイ!!

           餃子!!」

     

    様々な看板がブーンを魅了する。

    きっと、どの食べ物も美味しいのだろう。

    とは言え、ヒートやデレシア、ロウガの料理には適わないだろうが。

     

    「何を食いたいんだ?」

     

    ブーンの脚の下から、厳めしい声が聞こえた。

    ゆっくりとした歩調、がっしりとした体格、ずっしりとした存在感。

    旅を始めて出来た、二人目の友人の声だった。

    その友人こそがロウガに指示をし、ブーンを荒れ狂う海から助けさせた人物だった。

     

    ロウガが“主”と慕う人物は、夜色の髪をオールバックにした、黄金瞳の持ち主だった。

    年老いても失われぬ鋭い気配は、獣のそれ。

    両瞼の上からついた深い傷は彼の誇り。

     

    *∪´ω`)「おいしいもの!!」

     

    (´ФωФ)「これ、それでは分からんだろうが」

     

    前イルトリア市長“ビーストマスター”、ロマネスク・O・スモークジャンパーは呆れ顔でそう言ったのであった。

     

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                     ‥…━━ August 6th ??? ━━…‥

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     

    考え得る限り最悪の報告だった。

    彼らの組織で最も優れた計画力と推理力を持つショボン・パドローネが、失敗した。

    船を沈めることも、棺桶を奪うことも。

    歩みが止まってしまった。

     

    内藤財団副社長、西川・ツンディエレ・ホライゾンは、持っていたワイングラスを床に叩きつけた。

     

    ξ#゚⊿゚)ξ「どこの誰が、こんな真似をっ!!」

     

    憎たらしかった。

    崇高な目的のために多くの犠牲を生み出し、心を痛めてきた。

    それが邪魔された。

    それは、犠牲の意味を踏みにじるものだった。

     

    許しがたい行為だ。

     

    ξ゚⊿゚)ξ「同志ビロード・コンバース、同志マドラス・モララー。

          ただちに件の邪魔者を排除してください。

          我らの大義を嘲笑う逆賊です。

          全ての権限を解放します、生死は問わず、必ず消してください」

     

    ( ><)「御意」

     

    ビロードと呼ばれた皺のないスーツを着込んだ若い男は、断言するように返事をした。

     

    ( ・∀・)「かしこまりました、同志」

     

    キャソックを纏う茶髪の男、モララーは右手を心臓の上に乗せて返事をした。

    自らの横に立つ女に、ツンディエレは声をかけた。

     

    ξ゚⊿゚)ξ「……貴女も、同行してください。

          同志、クール・オロラ・レッドウィング」

     

    川 ゚ -)「了解です、同志」

     

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                  Ammo for Reasoning!! 編 The End

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