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序章【fragrance-香り-】

  1. 名前: 歯車の都香 2017/04/15(土) 21:14:00
    序章【fragrance-香り-】



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    Remember, kid.
    覚えておけ、若造。

    The truth is not always single.
    真実はいつも一つではない。

    The truth which you have been believing is just one side of the truth.
    お前が信じている真実は、真実の一面でしかないのだ。

    The solving the mystery of a crime is just puzzle.
    事件解決など、ただのパズルに過ぎない。

    Therefor, you do not forget that thing.
    だから、このことを忘れるな。

    There is no mystery which cannot be solved in this world.
    解けない謎など、この世界には存在しないのだと。


                          Mr. Sherlock Gray - [Letter to the fake]
                          シャーロック・グレイ著【-偽りへの手紙-より抜粋】


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                                配給
    【Low Tech Boon】→ttp://lowtechboon.web.fc2.com/ammore/ammore.html

    【Boon Bunmaru】→ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/ammore/ammore.htm
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                         序章【fragrance-香り-】
                  ‥…━━ August 4th AM03:25 ━━…‥
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    アルマニャックとジャズミュージックを愛するその人物は、二時間前に殺された。

    銅色の光沢を放つ物体を指先でつまみ、弄ぶ。
    真鍮製の薬莢に包まれたそれは、銃弾だった。
    ただの銃弾ではない。
    殺傷力を高めるために先端に十字の切れ込みを入れた銃弾だ。

    着弾の衝撃で弾頭が広がり、周囲の肉を吹き飛ばす。
    頭に撃ち込めば頭蓋骨を貫通し、脳漿を四方に撒き散らす事だろう。
    ガンオイルに輝くそれを、一発ずつ、じっくりとダブルカラムの弾倉に押し込む。
    一発毎に、想いを込めて。

    秒針が時を刻むような音が、ただ、一人分の息遣いと絡まって部屋に漂う。
    オイルと鉄の匂いに混じって、シャンプーと石鹸の濃い香り、そして情事の残り香が時折鼻につく。
    悪い匂いではない。
    まだ漂う仄かな汗の匂いもたまらなく好きだ。

    準備を始めてから、静かな時間が過ぎていた。
    時計の秒針はまだ四周半しかしていない。
    弾込めを終えた弾倉を、拳銃に装填する。
    遊底はまだ引かず、それをそのまま枕の下に忍ばせる。

    腰掛けているベッドの上には、眼を見開き、口を大きく開けた死体があった。
    太い手足は血の気を失い、顔は青白く変色している。
    これが先ほどまで獣のように体を求めてきた人間の末路だ。
    まぁ、最後にいい思いが出来たし、二回も派手に絶頂できたのだから、本望だろう。

    白い指先に触れてみると、冷たくなっていた。
    絡めていた指先の感触が一瞬でこうも変わると、生命とは機械に近い物だと感じる。
    顔の傍に手をついて、動かなくなった顔を見つめる。
    口の中に躊躇うことなく腕を突っ込み、その奥に詰まっていたハンカチを取り出した。

    そのハンカチをビニール袋に入れて、床に置く。
    腕に付着した独特の匂いを放つ唾液を見つめ、舌を出して舐める。
    汗と唾液、様々な液体の混ざった味。
    悪くない味だ。

    二時間前に味わったものと比べて新鮮さに欠けるが、美味だ。
    だが物足りない。
    一度味わってしまうと、次から次へと別の味を求めるのが人間の性。
    さて、まずは指から味わってみよう。

    硬くなった腕を持ち上げ、口に含む。
    舌で舐めまわし、皮膚の下にある味を吸い出す様に堪能する。
    石鹸の風味と汗の風味が混じった、何とも言えぬ味だ。
    舌先に若干感じる毛の感触も味わい深い。

    堪能しながら、ふと、これまでの道のりを振り返る。

    計画には長い時間が必要だった。
    材料の調達、計画の調節。
    雌伏の時は終わりだ。
    今夜、周囲の全てが変わる。

    全てはこの日のためにあったのだ。
    自分の人生も、何もかもが大義成就のためのパーツに過ぎなかったのだ。
    傍の机に置いてあったバーボンの瓶を手に取り、一口飲む。
    肢体を肴に飲む酒は、格別だ。

    ましてや、死体の肢体となると、多少手をかけなければ味わえない珍味。
    最後にしゃぶっていた爪先から口を離し、そのまま舌先を腿の裏に滑らせる。
    やはり生きていた時と味が違う。
    死んでからだと風味も落ちるし、反応が無いので面白みに欠けるが、その分味に深みが増す。

    堪能しきった死体には、もう、自分の唾液が付いてない部分はなかった。
    耳の中からうなじ、背中、とにかくあらゆる部位を舐めて味わった。
    もういいだろう。
    この死体が発見されても、オーバードーズで意識が朦朧とした人間が偶然海に転落したとして処理される。

    これは、そういうシナリオなのだ。
    時間も、場所も、タイミングに至るまで、計画に関わる全てが計算されているのだ。
    海沿いに位置する物置のようなこの部屋を手に入れたのも、全ては計画のため。
    この計画に、一切の不備も隙も無い。

    完全にして完璧な計画。
    即ち、完全犯罪である。

    海に面する窓を押し開くと、潮の香りと力強い打楽器の音が入り込んでくる。
    死体に服を着せて窓から海に投げ捨てる。
    海面に落下するその音は、誰の耳にも届かない。
    聞こえるのは潮騒と戯れるように奏でられるヴァイオリンの旋律だけ。

    黒い海面に揺られる死体を見届けてから、シャワーを浴びるために部屋の中に戻った。
    水平線が朱に染まる頃には、死体はどこかへと流されて消えていたのであった。

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    ‥…━━ August 4th AM06:25 ━━…‥
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    ゆらり、ゆらりと規則正しく体が揺れる。
    遠くから届く、磯の香り。
    耳に届くのは潮騒と、力強く脈打つ鼓動の音。
    心が芯から解され、体全体が液体のようにリラックスしている。

    甘く、心地いい香り。
    とても、気持ちのいい微睡の中。
    夢見心地の中、何かを考えることは、出来なかった。
    思考が蕩けきった中、出来るのは身を任せることだけ。

    大きなそれに身を委ね、いつまでも、そうしていたかった。
    安定した動きの中に安心を見出し、そこに安寧を求めた。
    節々が痛む体のことなど、今は気にならない。
    体を支える誰かの大きな背中と一つになる感覚が、痛覚と思考を麻痺させる。

    そう、これは誰かの背中だった。
    とても親しく、そして素敵な人の背中。
    誰の背中か、考える前に感じ取れるほどにその背中には覚えがあった。
    出会ったその日から、自分の事を大切にしてくれている、一人の女性。

    ヒート・オロラ・レッドウィングの背中だ。
    力強い鼓動と、華やかな香り。
    それは、自分の体が一番よく覚えている。
    この背中は多くの事を語り、そして教えてくれた。

    何かを守るために全てを懸け、強大な物に立ち向かうことの難しさと大切さ。
    そうしたいと自分が思ったから動くということは、彼女に教わった。
    彼女の背中が、そう教えてくれたのだ。
    その教えを守り、自分は実際にそれを行動に移せた。

    言葉だけなら、行動には移せなかった。
    無言で実行に移した彼女の背中があったからこそ、自分はミセリ・エクスプローラーを守ることが出来た。
    かなり痛い思いもしたが、後悔はなかった。
    彼女が笑顔を浮かべて、再会を約束してくれただけで満足だった。

    ヒートの跫音に重なるように、砂を踏みしめる別の跫音を聞き取る。
    匂いを嗅がずとも、呼吸音を、この足運びの音を聞かずとも分かる。
    存在感だけで伝わる、この圧倒的な安心感。
    命の恩人であり、よき理解者。

    デレシアだ。
    今でも思い出せる。
    四日前、七月三十一日の出会いの瞬間を。
    あの日、デレシアとあの店で出会わなければ、今こうしていることはあり得なかった。

    自分は奴隷で、自由はなく、思考は禁じられ、ただ道具として徹することが人生だと思っていた。
    売られ、蹴られ、罵られ。
    それが日常だった。
    不変だと思っていた、当たり前の光景だった。

    だが、それは大きな間違いだと知ることが出来た。
    たった一人の意志と力で、世界は大きく変わるのだ。
    デレシアはその二つだけで、ブーンの人生を変えたのだ。
    未だに理由は分からないが、とにかく、結果は変わらない。

    ようやく、自分の置かれている状況が分かった。
    今、自分はヒートに背負われながら、海辺を歩いているのだ。
    そしてその傍にデレシアがいるのだ。
    どこに向かっているのか、まだ分からない。

    だけど、これだけは分かる。
    この先に何が待ち受けていても、きっと、大丈夫だ。
    意識が再び微睡み始め、思考がぼんやりとしてくる。
    そうして呼吸をする内に、また、眠りの中に落ちていく。

    どこか遠くから、ウミネコの声が聞こえてきたのを最後に、ブーンは眠りに落ちた。

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                                        原作【Ammo→Re!!のようです】

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    沿岸に走るシーサイドシュトラーセ鉄道は、ポートエレンを通る唯一の鉄道だ。
    鋼鉄の線路は潮風による酸化を防ぐための加工がされており、津波や暴風から車両を守るための線路壁が設置されている。
    線路壁とは、緊急時に電動で作動する防波・防風の役割を果たす壁の事だ。
    普段は細かく蛇腹状に分断されて線路脇に広がっているが、いざ電気信号を受け取ると、花の蕾が閉じるような動きで線路と車両を守る壁になる。

    寂れた無人駅の券売機で、三人分のチケットを購入し、改札を通ってホームに立つ。
    時刻表では、後七分でポートエレン行の列車が来ることになっている。

    ζ(゚ー゚*ζ「ヒートはどこまで旅をしたことがあるの?」

    三人だけのホームで最初に口を開いたのは、カーキ色のローブ、豪奢な金髪、宝石のような碧眼、そして履き慣らしたデザートブーツで足元を飾るデレシアだった。
    風に靡くローブと髪の毛が、どこか涼しさを感じさせる。
    普段は何も背負っていない背中には、彼女の背丈よりも僅かに小さな黒い長方形の物体があった。
    軍用第七世代強化外骨格――通称“棺桶”――の中でも、特化した目的で設計されたコンセプトシリーズのそれだ。

    強化外骨格を破壊することだけに重点を置いて設計された、対強化外骨格用強化外骨格。
    その名は、“レオン”。
    左腕には放電装置、右腕には巨大な杭打機を備え、あらゆる装甲を一撃で撃ち抜く力を持っている。
    だがそれは、デレシアの使用する棺桶ではなかった。

    デレシアの隣に並び立つ、黒いスラックスとグレーのワイシャツの上にデレシアと同じローブを羽織る女性こそが、その棺桶の持ち主。
    赤髪と瑠璃色の瞳、そしてまだ新しい傷を全身に負った元殺し屋、ヒート・オロラ・レッドウィングだ。

    ノパ⊿゚)「あたしは、北は水の都、南はシュタットブールまでだな」

    ヒートは、棺桶の代わりに犬の耳と尻尾を持つ少年を背負っていた。
    一般的には耳付きと呼ばれ忌避される人種だが、その運動能力、身体能力は一般的な人間を凌駕しており、その生態は謎が多い。
    奴隷として売られたり、生まれた途端に処分されたりとしているためだ。
    彼女達と共に旅をする少年の名は、ブーン。

    湾岸都市オセアンで奴隷として扱われていた彼は、偶然出会ったデレシアの手によって自由の身となった。
    同じくオセアンで出会ったヒートにも彼は受け入れられ、それ以来、三人で旅をしている。

    ノパ⊿゚)「ポートエレンは初めてだから、あそこに何があるのかあたしは分からねぇ」

    ζ(゚ー゚*ζ「市場と、あとはワインぐらいかしらね。
          人柄的にはオセアンよりも温厚よ」

    オセアンもポートエレンも海沿いに作られた街だが、オセアンは世界屈指の大都市だ。
    大量の埠頭を持つオセアンであるが、最大でも大型のタンカーが停泊できるぐらいの大きさしか――普通はそれで十分なのだが――ない。
    それに比べればポートエレンは小さな街だが、しかし、ポートエレンには可変式埠頭がある。
    埠頭を可変させることでどのクラスの船でも寄港することが可能となり、世界最大の船上都市であるオアシズが停泊できる数少ない港の一つとなっている。

    可変式埠頭の欠点は、それを使用している間、停泊できる船の数が減るという点にある。
    それでも、オアシズ停泊中に得る利益の方が魅力的だ。

    ζ(゚ー゚*ζ「実はね、あそこはワインよりもグレープジュースの方が美味しいのよ」

    ノパ⊿゚)「ほぉ、美味いグレープジュース、ねぇ。
        あれに美味い不味いがあるのかは知らねぇが、美味いのを飲んだことはねぇな」

    ポートエレンで採れるブドウはワインにすると甘口となり、ジュースにするとこの上なく濃厚な物となる。
    段々畑のような街並みの中にあるレストランでは、しばしばそのジュースを飲むことが出来る。
    しかし、ブドウをジュースに加工するよりもワインに加工する方が、はるかに利益がいいため、あまり数は出回っていない。

    ζ(゚ー゚*ζ「一度飲んだら忘れられない味よ」

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                     脚本・監督・総指揮【ID:KrI9Lnn70】

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    (∪-ω-)「おー……」

    ヒートの背中で、ブーンがゆっくりと瞼を開く。
    最初に目があったのは、デレシアだった。

    (∪´ω`)「お」

    ζ(゚ー゚*ζ「おはよう、ブーンちゃん」

    (∪´ω`)゛「おはよう……ございます、デレシアさん。
           ヒートさんも、おはよう、ございます」

    ノパー゚)「おう、おはよう。
        どうだ、体の方は?」

    (∪´ω`)「ちょっとだけ、おなかが……いたい、だけです」

    昨日負った傷が癒え始めている証拠だ。
    回復の具合によっては、流動食から固形物に切り替えてもよさそうだ。

    ノパ⊿゚)「そうか、なら今日はしばらくおぶっててやるからな」

    (∪´ω`)゛「ありがとう、ございます……お?」

    最初の頃は気まずそうに甘えていたが、今では、大分素直に甘えられるようになっていた。
    これもまた、成長だ。

    (∪´ω`)「なにか、きます」

    ζ(゚ー゚*ζ「そうね、そろそろ時間だからね。
          ブーンちゃん、列車を見聞きするのは初めて?」

    (∪´ω`)゛「れっしゃ?」

    ζ(゚ー゚*ζ「大きな乗り物なの。
          敷かれたレールの上をしっかりと走る、大きな乗り物の事を列車、っていうのよ」

    そして、地平線の向こうに現れた小さな点だったものが近づき、徐々にその赤黒い姿が大きさを増す。
    シーサイドシュトラーセ鉄道が誇る大型六両編成の鋼鉄の車両――テ・ジヴェ――が目の前を悠然と通り過ぎた時、ブーンの尻尾はわさわさとローブの下で動いていた。
    テ・ジヴェは発掘復元された太古の車両で、振動の少なさと速度の面において非常に優れたものだ。
    ポートエレンからジュスティアに入り、そしてその先の都市に行く前には別方面から合流した車両と連結を行い、合計で十二両編成となる。

    六両編成とは言っても、車内販売は勿論の事、食堂と個室を備え持つ。

    (*∪´ω`)「おー! おおきい! おおきいお!」

    珍しく声を上げて興奮を表すブーンに、デレシアもヒートも破顔を抑えられなかった。
    やはり、ブーンは子供なのだ。
    子供にはあまりにも悲惨な環境下で育った彼の中から、子供らしさは消えていない。
    この無垢な笑顔が、二人の心が腐り落ちるのを防いで暮れる。

    ある意味で、相互扶助の関係にある。
    ブーンを守り、無事に成長するまで手を貸し続ける代わりに、彼女達の精神安定剤の役割を果たしてもらう。
    無意識の内に生じたこの関係は非常に強力だ。
    何より、心地がいい。

    デレシアとしてはブーンだけでなく、ヒートの様子も観察できることが役得だと思っている。
    彼女にはまだ謎がいくつもあるが、特に気になるのが彼女の過去だ。
    これまでに多くの人間の過去を知ってきたデレシアの楽しみが、他人の過去を知り、現代に至るまでの歴史を知ることである。
    果てしない旅を続ける中で、これが彼女の趣味のようなものになっていた。

    人にはそれぞれの歴史がある。
    ブーン然り、ヒート然り。
    当然、デレシアにも過去はある。
    誰かに語り継ぐような過去ではないし、話すような過去でもない。

    空気の抜けるような音と共に、列車の扉が開く。
    まとまって降りてきた二十名弱の男女は、皆、似たような恰好をしていた。
    日焼けした肌、海水で色が抜けた茶色の髪。
    金属がぶつかり合う音のするボストンバックに、マリンシューズ。

    海底に沈んだニクラメンに向かい、金品や貴重品を引き上げるトレジャーハンターだ。
    身に付けた装飾品、もしくは服には彼らがトレジャーハンターギルド(※注釈:企業よりも規模の小さな集団)に所属することを示す、独自のロゴが描かれていた。
    錨とサメをあしらったロゴは、彼らがトレジャーハンターの中でも世界第三位の規模を持つギルド、“マリナーズ”に所属していることを意味している。
    それに続いて、マリナーズと同じ格好をした十人ほどの男達が降りてきた。

    案の定、服にはギルドのロゴがあった。
    それまで寝ていたのか、続々と人が列車から降りてくる。
    フリーランスのトレジャーハンターやギルド、彼らを狙った売春婦の一団までいた。
    先に乗車していたヒートとブーンが、デレシアの方を不思議そうに見る。

    ニクラメンに向かった人間達に対する興味を失い、デレシアも乗車した。

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                撮影・演出・音響・衣装・演技指導・編集【ID:KrI9Lnn70】

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    ひんやりとした列車内は、驚くほど空いていた。
    三人が乗り込んだのは三号車だったが、誰も座っていない。
    一駅先のポートエレンまでは、十分弱の列車旅となる。
    短い間だが、楽しませてもらうとしよう。

    テ・ジヴェの座席は全て、机を挟んだ対面型の四人席。
    一車両に十四セットあり、合計で五十六人が乗ることが出来る。
    それが今は、三人の貸切状態だ。
    これで、周囲を気にすることなく電車旅が出来る。

    入り口に最も近い席を選び、ブーンを窓際に座らせ、ヒートが通路側に座った。
    ブーンと向かい合う形で座り、デレシアは途中まで降ろされていた窓を全開にした。
    若干くぐもった車内の匂いと空気は、ブーンの鼻には厳しい物がある。
    直ぐに涼風が車内の空気と入れ替わり始めた。

    一瞬だけ車両が揺れると、テ・ジヴェはゆっくりと発車した。

    (*∪´ω`)「すずしい……です」

    静かに移り変わる景色を見ながら、ブーンはそう呟いた。
    冷房よりも自然の涼の方がブーンは気に入っているようだ。
    徐々に加速する景色から目を離さず、食い入るように見ている。
    青空と真っ白な入道雲を背景に、まだ雪化粧の残るクラフト山脈と、鮮やかな新緑に囲まれたフォレスタが作り出す幻想的な風景は、まさに夏の景色と言える。

    蝉の声とウミネコの鳴き声が合わさって、そこに風と潮騒、そして枕木がリズミカルに踏まれる音とが重なり、音楽を作り上げる。
    遠ざかるフォレスタの森に、ブーンは何を思うのだろう。
    自分を愛してくれた人間との別れを経験した地、それがブーンにとってのフォレスタだ。
    目の前で笑い、目の前で死んだペニサス・ノースフェイスは、ブーンに何を残せたのだろうか。

    列車が曲がり道に差し掛かり、車両が内側に傾く。
    視界からフォレスタが消え、景色に夢中になっていたブーンの表情が一瞬だけ陰り、小さく呟いた。

    (∪´ω`)「……またね、ペニおばーちゃん」

    その小さな声は風がそっと運び去り、夏の空へと吸い込まれていったのであった。

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                 制作協力【全てのブーン系読者・作者の皆さん】

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    波止場に打ち寄せる波の音に耳を澄ませ、弱々しい太陽光を乱反射する水面に目を細めた。
    強く吹き付ける潮風に流れる紫煙に目を細めつつ、水平線の向こうに浮かぶ黒雲を眺める。
    今夜には嵐になりそうだ。
    嵐は好きだ。

    音を、姿を、匂いを、そして人の記憶を曖昧にしてくれる。
    晴天よりも曇天、曇天よりも雨天、雨天よりも嵐だ。
    計画実行にはこの上ない天候である。
    この天候も予定の内。

    必要とされる状況、展開、そして結末。
    そこに至るまでに必要とされる環境。
    あらゆる不測の事態を想定し、それに対応するだけの策は巡らせてある。
    そして、つい先ほど、想定していた負の展開が発生したことを確認した。

    しかし問題はない。
    それの解決の仕方を知っている。
    解決に至るシナリオは用意してある。
    その事件は描いたシナリオの通り、事故へと転じ、無害な物へと変わる。

    斯くして、全ては整った。
    あらゆる物事がレールの上を走り、完全犯罪成就という終着点まで進むだけ。
    誰にも止められない。

    何故ならこれは――

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                   これは、力が世界を動かす時代の物語
          This is the story about the world where the force can change everything...

                     そして、新たな旅の始まりである
                  And it is the beginning of new Ammo→Re!!

                                                     序章 了

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ページのおしまいだよ。。と