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第一章【strangers-余所者-】

  1. 名前: 歯車の都香 2017/04/15(土) 19:31:43
    第一章【strangers-余所者-】

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    Mardish ⇒ July 28th
    ';'::'''"       |_| ̄/\:::::::/`|_{┬| |;、\::::::::i'|::::::r┴冂、、     , -─'゙7´ ̄ ̄ハ─r‐
        、v,..v、  |_}::/ 、';';〉.:/ /{_|┴lニニニニニl.r┴、_|_|_|:彡v、./ /.:: .::./....::/ ,::'.ソ;:::
    ─'ー;;ミ゙'爻爻ミ;.. |_;l'_;_;_∠;/_/___l_,,:;;}┬┴┬┴┬┴┐::| .:::|彡ミx;: -─: ッ淼w ー ywv、‐ー
    ゙':;ゞ;爻彡炎炎;ゞ~゛'' ┘⊥ 」_ |  |{_|┴┬┴┬┴┬┴┤ .:|彡ミメ゙';ヾ: ;:; ';: ;:; 'ヾ淡炎ミミx:;'
    '' ;~ ;^::;”v:";y;''゚  ; ::;y  ; ::; : ~゛'''' ┴'::⊥Λ二\.:|  .:|ー:| ;~ ;y ::; : ;:; 'ミ゙': ;: ',;:; ;~'',;'':; ;
    ";: ;: ;: ;:  ; ::; : ;:; :; :  :: :; : ;:; ;~'',;' ' : ;:; ;~ ; ::; ;~'',;''  ; : ; ::; :;~'',;:; ,”v:": ;:; ';v:'';'' ;~'',;'
                              【7years later after...】
                                七年後……

                                     マーディッシュ ▼七月二十八日
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻

    雲が一つだけ浮かんだ天空から降り注ぐ正午の日差しは、殺人的に強い。
    鉄板の上に肉を乗せて放置しておけばいい焼き具合のステーキになっていると云う冗談も、この炎天下で一時間も過ごせば冗談に思えなくなる。
    穴の開いたトタンと煉瓦で造られた粗末なバラックと、土塊かと見紛う建物を見て、ここが東の海に浮かぶフィリカ大陸の中でも屈指の都市であると誰が考えるだろうか。
    乾燥した空気は埃っぽくて土臭く、大地に吹く強風は砂塵の運び手となって目に見える全てを土色に変える。

    そして、十分前から響き始めた発砲音は耳を弄し、飛び交う銃弾によって通りから関係者以外を遠ざけていた。
    誰だって、鉛弾の行き来するパーティーに参加したいとは思わないだろう。
    例えそれが地球の裏側であっても、地の果てであっても。

    (,,゚Д゚)「本部、応援はまだか?」

    乗り捨てられていた錆びだらけの車を盾にして、デザート・ハットを被り膝立ちになった男がインカムに向かって苛立ち気味に尋ねる。
    返ってきたノイズ混じりの女性の声は、機械のように冷ややかだ。

    『現在地は?』

    (,,゚Д゚)「5110-1800だ。 繰り返す、5110-1800」

    『……ヘリが安全に着陸可能な地点まで移動してください。
    現在の位置では着陸できません。
    民兵をできるだけ撒いて、安全を確保するのが優先です』

    すぐ耳元を銃弾が掠め取んで行き、男は苛立たしげな表情を浮かべた。

    (,,゚Д゚)「何処だってその気になれば着陸できるだろ。
        何のためにクソ高い市民税を払ってると思ってるんだ?」

    『何のために貴方に依頼したと御思いですか。
    それに、納税者でもない元・イルトリア市民が税の話をしないでください』

    (,,゚Д゚)「皮肉の上手い女は好きだが、あんたは好きになれそうもないよ」

    『光栄です』

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
              \ヽ ヽ  >、」 _」_」 _」_」 _」_」_,<      /
                `>,____            _ _/
                   { |  ヽ ヽ _ _ _  /  ̄ ̄{r /
                    ゝ!    `ー─‐'´   ミ  _/ \
                        / ; 〃   |彡     {ミ / }.   }> ,_
                  ,/  ハj  _彡{  ノ  `  }}j  |   |.   i> ,_
                         Giko・Brogan
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    昨日誕生日を迎えて三十六歳になったギコ・ブローガンは、デザート・ハットの下に五センチほどに伸びた鬣のような白髪交じりの黒髪を持った、
    スカイブルーの瞳を持つ典型的なイルトリア人だった。
    嘗ては白く石膏のそれに近かった肌は浅黒く日に焼け、切創や銃創が競うようにその肌に刻まれ、一種の年輪のような役割を果たしている。
    一際目立つ顎の大きな傷は、奇しくも四年前にこの地で負った物であった。

    砂埃に汚れたSR-47を肩付けに構え、セミオート射撃で建物の角から出てくるサマリー人を正確に撃ち殺し、彼の隣で血に汚れたシャツを着る男を見ることなく、声を掛けた。

    (,,゚Д゚)「マイク軍曹、申し訳ありませんが、ヘリが着陸可能な地点まで移動する必要があります」

    マイクと呼ばれたイルトリアの軍人は、その声に力なく頷いた。
    マイクの顔は固まった血と土埃で汚れ、酷い打撲傷と擦過傷に歪んでいた。
    ギコの受け取った顔写真では彫が深く整った目鼻立ちをしていたのだが、今では見る影もない。
    サマリー人の怒りのこもった持て成しを受ければ、十人が十人とも振り返る美男子であろうとも、ゾンビと見分けがつかないぐらいの変身を遂げる事だろう。

    ――事の発端は一カ月前に遡る。
    軍上層部から指令を受けたイルトリア軍がマーディッシュの輸出入を司る大物の会合を襲撃する秘密作戦を終えて撤収する際、一人の軍人が捕えられると云う事件が起こった。
    秘密作戦故に大々的な救助チームを派遣する事も出来ず、かといって見殺しにもできない。
    イルトリアは正に身動きが取れない状況にあった。

    そこで、ギコの出番だ。

    ギコが所属する民間人質救出専門会社ホステージ・リベレイターは、人質を救出する事だけを専門とした異色の民間軍事会社である。
    一見して需要がなさそうにも思えるこの業界だが、一時間に六十件の誘拐事件が発生している現実と、会社が毎年黒字を叩き出していることから、決してそうでは無いことが分かる。
    いつの時代、どこの場所でも誘拐は有効な交渉の手段の一つとして考えられ、今日でもその考え方は根強く残っている。
    特に、争い事が長期化した場合や無理難題な要求を通そうとする際には、誘拐を利用した交渉が好まれる傾向にある。

    人質救出会社内でのギコの役割は、武力によって人質救出を行う実働部になる。
    リベレイター社は事件発生後すぐに軍に依頼を受け、ギコは単身サマリーに向かい、マイクを捕えた地元の武装組織の根城と相手の戦力を一カ月で事細かに調査した。
    それを元に綿密な計画を立て、時期を見計らって作戦を決行し、マイクの救出に成功した。
    そしてそれに気付いた武装組織に追われ、ギコはマイクと共にこうしてマーディッシュのバカラ・マーケットで白昼から銃撃戦を繰り広げていると云うわけである。

    当初の予定では、軍の秘蔵品である小型ヘリコプターが早急に回収に来ることになっていた。
    だが今し方、ヘリの撃墜を危惧した軍の意向によって安全な場所に移動する事が求められた。
    これを無理難題な臨機応変と云うのだろう。
    確かに昼間のマーディッシュは危険だが、空の危険など、地上で戦っている人間に比べれば可愛い物だ。

    それに、空を飛ぶ兵器に対してRPG-7を命中させるのは運に頼るところが大きく、仮に当てられたとしたら、それは間違いなくパイロットの責任だ。
    現存している航空兵器は全て希少なもので、この辺境の地でお目にかかることはまずない。
    可能性の低いリスクに臆病になっているのは、それだけヘリが大切だと云うこと。
    マイクとギコの命を天秤に乗せても、ヘリに傾くと云うことなのだろう。

    マーディッシュディッシュ人のほとんどが、航空兵器を見たこともないに違いない。

    「ギコ、弾はもつのか?」

    不安げに訊いてきたマイクに、ギコは間を空けずに答えた。

    (,,゚Д゚)「えぇ。あいつらが二十三ドルの箱を運んでくれるので、弾と経費の心配は要りません」

    ギコの使用するアサルトライフルの弾は、敵がカラシニコフ突撃銃を使う限り、途切れる事はない。

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    ◎⊂⊃    )二二))二)) |||||| |.├―――┐___/_. ||  ,))         `ヽ|
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    この銃はカラシニコフと比べて外観が全く違うが、使用する弾倉と弾薬は同一なのである。
    しかし、いくら武器と弾に恵まれても、それを使う肝心の人間だけは補充がきかない。
    少なくとも、ギコ側は実質一人と足手纏いが一人。
    今は武器も必要だが、それ以上に人手が必要だった。

    面と向かっての潰し合いで最初に根が上がるのは、技量と経験の差があれども、ギコの方だ。
    戦力差は絶望的だが、ギコは全く焦っていなかった。

    (,,゚Д゚)「心配はなにも要りません、軍曹。
        家に帰ってから奥さんに言う、ドラマティックな言葉でも考えていてください。
        どうにも、機嫌が悪そうですので」

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                    jl!    l' ,,,,,,,,,,,,,,,r:...._       |l;‐''''"~~~~~~~~~~~~""""''ll.ll′
        ,,;;:''''""゙''ll;,,,     !    !    !   l|       |l              ||
        .ill′     ll;    |l、   ll-''''''''''!!'l-'''′      f!              ll
       ,f!       ∥    |l;,   |l;             jl′           _  |l.
       _l!       ∥     ゙''lx..,,_ ゙'ll,,_          ,jl′         ,,rr'''"`"''''llll;;,
      ,|l        ,|l         `"゙゙''''''l:..,,,_   _,,,r'''lll         __,,f'′       ゙ll
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    最悪の状況下での救出作戦は、初めてではない。

    (,,゚Д゚)「……さぁ、軍曹。
       移動しましょう、この場所よりも、家庭で味わう地獄の方が幾らか過ごしやすい」

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
      | __________,―ー、,______ __|_||_||_||_||_||_||_|___|
      |.  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |三〕 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
      ヽ============| |     \ゝ\  o     ̄ ̄―――     /
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ / ̄ ̄ ―-ヽ    |        |  /
                    }|     亅|>ヽ   ヽ____ / o|
                    }|    <,ノ丿 ) 冊   ̄ ̄ ̄ ̄  .|||
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    スリングベルトを使ってライフルを肩に掛け、レッグホルスターからグロック18カスタムを抜いた。
    力なく背を車に預けていたマイクに肩を貸し、素早く退路を見出したギコは中腰で移動を開始する。
    建物の角が砂と風で削れて丸みを帯びた、窓ガラスのない窓を持つ三階建の家が、彼らに残された唯一の道だ。
    グロックで追手に対して牽制射撃をしつつ、申し訳なさ程度に備え付けられた鉄の扉を押し開いて、中に入った。

    J::゚J゚::J『ひっ?!』

    開いたドアのすぐ前に、肌の黒い女性が蹲っていた。
    現地人の女だ。
    怯えた表情でギコを見てきたので、彼は笑顔を浮かべ、サマリー語で礼節を持って話し掛けた。

    (,,゚Д゚)『やぁ、いいお宅ですね』

    階段を使って上に向かおうとした時、彼らを追って来たコーヒー色の肌をした男が数人、ギコ達が入ってきた扉を蹴り破って乱暴に侵入した。
    自分達に危害が及ぶ前にギコは男達の胸を素早く撃ち、地面に倒れて生きている様子がある者は頭を撃って止めを刺した。
    家主の金切声を背に階段を上りながら、ギコはインカムに向かって声を荒げた。

    (,,゚Д゚)「本部、これから民家の屋上でイエロー・スモークを炊く。
        親鳥を急いで寄越させろ!!
        座標は、5120-1802だ。繰り返す、座標は5120-1802」

    『……もう少し、市街地への脱出を試みてください』

    (,,゚Д゚)「いいか、勘違いするな。
        俺の仕事はマイク軍曹を助ける事で、あんたらの仕事は回収用のヘリにキンキンに冷えたビールを積んで、俺の指示通りに寄越すことだ。
        ビジネスって云うのは互いに仕事をして初めて成り立つんだろ?
    あんたの後ろで腕組んでる最高にクソッタレな上官に、ようく言っておけ」

    無線を切ったギコはマイクに先に進ませ、追手に対する足止め役として、階段の踊り場に残った。

    (,,゚Д゚)「軍曹、これを」

    目印となる黄煙を発生させるためのグレネードをマイクに手渡しつつ、仲間の死体を民家から引き摺り出す色黒の手に片手で狙いをつけて撃った。
    男の悲鳴が上がり、応射された銃弾が脆弱な土壁を貫いてギコの足元を砕いた。
    数歩階段を上がって、銃弾の飛んできた壁面にギコは数発撃ち返した。
    拳銃弾でも、土壁を容易く貫通し、その向こうにいる人間に対する十分な威嚇になった。

    だがグロックの弾には際限があるので、出来るだけ撃ちたくはないのが正直な所。
    使うのなら、ライフルの方が優先だ。
    拳銃に比べて長いライフルの銃身を狭い階段で取り回すのは難しいため、ギコはライフルを使うのに適した場所を目指して、マイクの後を追った。
    既にマイクは上の階へと足を進めているようで、姿は見えないが跫音が上の方から聞こえてきた。

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                                 (;:...  {ttttttttttttttttt,=≡≡=、
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    二階に足が着いた瞬間、先ほどまで居た踊り場が爆発し、爆風に背中を殴られたギコは躓くように転んだ。

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      ̄        ̄(::: (( )     ゙ー-v、/  )    厂_,//
            //(:(:: )  : (( (   (  )   ∨` .r )
           /   (  (( :::( )   ((    ))    ̄  )
              / /(  ((:::::   (  ))    )  )
             .//   (  | : /:::  (    )  )
             /        .| ./
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    (;,,゚Д゚)「おいおい嘘だろ、おい?!」

    大穴の開いた踊り場の向こうに見える地上には、携帯式対戦車榴弾発射機RPG-7を構えた民兵と、カラシニコフで武装した男達がギコを指差し、大声を上げていた。
    殺意のこもった銃弾が天井と壁を細かく砕く中、ギコは立ち上がらずに転がって、その場を移動する。
    新たなRPG-7が発射され、丁度天井を見やったギコの目に、天井近くを通過する対人弾頭が映った。
    それは開けられた大穴からガラスのない窓を抜け、どこかに飛んで消えていった。

    間一髪の出来事に、流石のギコも冷や汗をかいてしまう。

    (;,,゚Д゚)「……あっぶね」

    『イエロー・スモークを確認しました。
    三十分以内に到着しますが、搭乗に割ける時間は十数秒です』

    その声が、ギコに平常心を思い出させる手助けとなった。

    (,,゚Д゚)「準備に時間を掛けたくせにデートをすぐに終わらせるような女は、男にもてないぞ」

    『遅すぎる男も女性には好かれませんよ』

    (,,゚Д゚)「ご忠告どうも。 ところで、ビールはどうした」

    一瞬の間。

    『……ビジネス、ですから』

    妙に人間味を感じさせる、ぶっきらぼうな声が返ってくる。
    その声に、ギコは素直な気持ちで感想を述べた。

    (,,゚Д゚)「素直な女は好感が持てる」

    『後は任せました……夫を、よろしくお願いします』

    マイクの妻が、先ほどとは違った声色で、そう、一言付け加えた。

    (,,゚Д゚)「了解」

    立ち上がり、ギコは三階を目指して駆け上がった。
    屋上に通じる扉の前で、マイクが身を低くしてギコを待っていた。
    今作戦に彼の妻が関わっていることは、黙っておくことにした。

    (,,゚Д゚)「お待たせしました。
        三十分程で到着するそうです。
        ビールを注文しておきました」

    「そいつはいい」

    終わりが近づきつつあることを察したのだろう。
    死人のような顔をしていたマイクにも、ギコの言葉で笑顔を浮かべる余裕が生まれていた。

    (,,゚Д゚)「一応、これを持っていて下さい。
        実用的なお守りというやつです」

    ライフルを弾倉と共に手渡し、ギコはマイクを壁から遠ざけ、衣装タンスの陰に移動させた。
    わざわざライフルが使える場所に出てきたのに、それをマイクに手渡したのには思惑があってのこと。
    長物のライフルを持って屋内戦に臨むよりも、拳銃の方が有利になることが多いことが一点。
    そして二点目は、ライフルには人間の恐怖心を少しだけ麻痺させる力があるからである。

    時間が来ればギコの勝利は揺るがない。
    故に、目指すのは効率的な防衛だ。
    一人しかいない戦力を、せめてもう少しだけ増やすことは、この逼迫した状況では当たり前と言える。
    親指と人差し指を立て、ギコは簡潔に話をした。

    (,,゚Д゚)v「ここに通じる場所は二か所あります。
        屋上と、そこの階段です。
        自分は階段を見るので、軍曹は屋上からの敵に注意してください。
        誰かが来たら、七十五セントのキスをくれてやってください、いいですね?」

    「あぁ、分かった」

    レバーを軽く引いて薬室を確認していたマイクの口から出た軍人らしい返答に、ギコは帰国後に彼の心が病む心配が少ないことを察した。
    イルトリアの軍人は、こうでなければいけない。
    再び階段に戻ったギコの耳に、荒々しい跫音が届いた。
    テルミット手榴弾を放って壁にぶつけ、階段の吹き抜けを転がして下の階に送り込む。

    爆発音と共に、人が生きながらに焼かれて上げる胸の悪くなる悲痛な叫び声が聞こえた。
    ここまで状況が終焉に近づいているのなら、出し惜しみは無用。
    あるだけの装備で応じるのが礼儀。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                         ,>:::r‐ ''´   ヽ- '' ¨_.. -‐ '' ¨  ̄
                         l/   ヽ'':.¨ヽ }`!「
                      _ /    、 \L`'_//
                    /:./     .r v' Y´!、 ̄
            ,, -―- ,-‐ ':.:.:.:/         l  l ', ヽヽ.
        _ .. - ''´:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.l        〉 l  ', ヽ, ヽ
    :-‐''´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.l       ,イ /  / / /
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    拳銃の残弾数に配慮してギコは極力戦闘を避ける事に決め、持っている弾倉の数が二つである事を確認し、両手でグロックを構えた。
    耳を澄ませ、跫音と気配に細心の注意を払う。
    砂を踏めば、否が応でも音は鳴る。
    それが微小なものであれ、ギコの訓練された耳がそれを聞き逃すことはない。

    二人以上の民兵が息を潜め、跫音を立てないようにして近づいている事を、ギコはすぐに察知した。
    跫音から伝わる体重と重心の掛け方は、銃を構えている人間のそれではなく、接近戦を想定した物だ。
    つまり得物はナイフか拳銃。
    左手をナイフの柄に伸ばし、ギコは呼吸を止めた。

    風が運んだ熱砂が建物を撫で大地を移動する音に紛れ、くぐもった鼻息と布擦れの音と古タイヤを利用して作ったサンダルが砂を踏む微かな音が、確実に、近づいてくる。
    移動の間隔、足取りから、得物が鉈に近い刃物である事をギコは遂に悟った。
    ナイフの柄を掴み、ギコは獣のように静かに、根気強く待った。
    経過した時間は一分にも満たなかったが、体感した時間は五分以上だった。

    殺気の塊が踊り場の一段手前に来た時、ギコが動いた。
    右足を軸に半円を描いて、壁一枚を隔てた吹き抜けにいる追手にナイフを突き立てた。
    シュマーグに隠れた右目に深々と刺さったナイフを捻りながら引き抜き、ギコは元の位置に素早く戻る。
    二〇センチ近くもあるナイフの半ばに、神経の尾を引いた眼球が付いていた。

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    グロテスクなそれが付いたナイフで空を切り裂くと、半分に切れた目玉が勢いよく飛び、石の壁にへばりついた。
    それを見たギコは、暫くの間魚料理を控える事にした。
    現地語で殺せ、見つけた、と物騒な声が聞こえてくると、いよいよ焦らずにはいられない。
    仕事仲間が増援を待つ間に惨殺された事は珍しくなく、そうなった場合、葬儀は期待するだけ無駄だ。

    よくて鳥葬、悪くて風葬、最悪の場合は肉屋行だ。
    火星の荒野と差異のないこの土地で散るには、まだ、やり残したことが多すぎる。

    『こちら親鳥、迷子の雛鳥を迎えにきたぞ。
    残り二分。
    待たせてすまない』

    イヤフォンに届いたその声は、ギコとマイクが待ち望んでいたそれだった。

    (,,゚Д゚)「こちら雛鳥。
        了解した」

    腰を落として頭を低くしつつ、後ろ向きに階段を上ってマイクの元にまで戻る。

    (,,゚Д゚)「お待たせしました。
        後二分で到着するそうです。
        屋上に出て、天使を出迎える準備をしましょう」

    得物をマイクと交換し、ライフルに持ち替えたギコは肩付けに構え、銃口と目線を階段から離さない。
    視線の先で昔懐かしい木の把手が付いた手榴弾が投げ込まれるのが見えたが、ギコは慌てなかった。
    あれは直線上に飛ばすのが主な使用用途であり、ギコが披露した様な芸当には向いていない。
    鈍い音と共に踊り場の壁にぶつかった手榴弾は跳ね返り、階段を転がって見えなくなった。

    二拍おいて生じた爆発の衝撃で建物全体が揺れ、天井から土埃が降ってきた。
    イルトリアが事前に掴んでいた情報通り、何者かがこの街に大量の銃器を流している。
    ――それこそ、隣接する街を相手取っての激しい戦闘が可能なほどに。
    それについて頭を悩ませるのはギコの仕事ではない。

    些事を一瞬で頭から消し飛ばし、瞬きをせずにギコは叫んだ。

    (,,゚Д゚)「ワン・ミニッツ!!」

    遠方からここにまで聞こえてくるローターの回転音は、救援に駆けつける騎馬が蹄を鳴らして疾走する姿を連想させ、長い仕事に終わりが近づいてきた事を告げる。
    ギコはコンマ数秒の間、両目を閉じて音だけで周辺の状況を脳裏に思い描いた。

    (,,-Д-)

    黒い肌と白い目の現地の人間が、殺意を剥き出しに階段を駆け上がる。
    不揃いな跫音が近づいてくる。
    煩わしい事を考える時間を暴力の時間に変換するのが彼らの流儀。
    ――ギコの両瞼が薄らと開く。

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       ⌒ヽ   ヽ、    -=<    ゝ.// ソ     //^ゝ
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    (,,゚Д゚)

    瞳は刃のように鈍い輝きを放ち、呼吸は静かだった。
    それから起こった全ての出来事は、ギコが脳裏に描いたそれと大差なかった。
    階段を上がってきた男の人数。
    そして、タイミングまでもがギコの予想した通りだった。

    ギコが彼らを、彼らがギコを目視した瞬間、銃声が木霊し、交錯した。
    カラシニコフを乱射しながら、雄叫びを上げながら、次々と階段を上がってくる姿はホラー映画の一場面を切り抜いた様。
    しかし、銃弾は壁と床を抉り取り、ギコの野戦服の裾を掠め取っただけ。
    対するギコは焦らず正確に狙いをつけて、即座に一人を射殺した。

    狭い道の戦闘で、人数の多さは有利ではなく不利に働く。
    先頭の一人を撃てば、後は弾が勝手に解決してくれる。
    倒れた一人が後続の人間の進路を妨害し、身動きが取れなくなっているところに、ギコは数発ずつ撃ち込み、一人残らず殺した。
    弾倉を交換し、壁の向こうに控えているであろう増援に向けて、牽制射撃を加える。

    『親鳥より雛鳥へ。
    着陸態勢に入る』

    (,,゚Д゚)「雛鳥より親鳥へ。 了解した。
        ――軍曹、帰りましょう」

    最後にスモーク・グレネードを階段通路に投げ込み、ギコはマイクを抱えて屋上に飛び出した。
    屋上では上空から発生した凄まじい風圧が砂埃を舞い上げ、砂煙を立てている。
    その中心部に、風を作り出している物が浮かんでいる。
    今まさに着陸しようとしていたのは、イルトリアの虎の子とも言える、世界に数百機しか現存していない電気ヘリコプターのリトル・スパローだ。

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                    ~^`"'ー- 'ヘ.,_,.ソ'ヽ(⌒"'
                            (.., 、
                              ヾ,....ソ
      __,..,_ _,.;'"'⌒'`^~(⌒ヾ、_,, _
       ~"'^(.,_,.ノ'"~`ヾ.,_ソ
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    砂漠用迷彩にペイントされた卵型の機体が着陸する寸前で滞空し、二人を待つ。
    そこにマイクの体を押し込み、自分もその横に乗り込む。

    (,,゚Д゚)「よし、出せ!!」

    浮遊感の後、二人を救出したヘリコプターは土塊の建物を飛び去った。
    わずかに遅れて到着した民兵が急いでRPG-7を撃つが、リトル・スパローは高度を上げ、機首を前に傾けてその場を飛び去った後。
    円錐形の弾頭は放物線を描いて街の一角に落下し、爆発した。

    (.ノ円)「ご苦労様でした」

    副操縦士がクーラーボックスからバドワイザーを二本取り出し、ギコに手渡す。

    (,,゚Д゚)「すまない、恩に着る。
        マイク軍曹、少し薄いですが、命の水ですよ。
        こいつを飲めば、生き返ります」

    さぁ、と言ってギコはよく冷えたビールを差し出す。

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                      //     ,L二二」    丶\
    、               トヽ  o  //\  ヽ  o  ヽ.}
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    :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:」 ,     へ: : : : : : : : : : !| , | l/   l
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    「あぁ、ありがとう」

    プルタブを開け、ギコとマイクは缶をぶつけ合う。
    乾杯の言葉は要らなかった。
    二人は同時にそれを呷り、喉を鳴らして黄金の液体を流し込んだ。
    カラカラに乾いた喉に、ビールが染みる。

    (,,^ー^)「お帰りなさい、軍曹」

    ギコは傷だらけの顔に満面の笑みを浮かべて、そう言ったのであった。

    * * *
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    Forresta ⇒ August 2nd
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    ハハ从'从∧::::∧::::::::::::::::::::::::::::,,;.;.'' ;;;;;''":::::::::::::::::::::::::::::::::::__/kkkkkkkkkノノヾ从ノノ;
    ノノゞゞ"ヾハ∧从∧:::::::::::::::::::::::''''""::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/kkkkkkkkkk∧kk,',,彡ミ彡爻',
    〃゙ゞ∧ノノ',ゞ从゙ゞソ∧,,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::__ノ¨kkkkkkkk,,∧从从゙ゞ;:;"ゞ,,ソゞ从
    ∧゙ミ爻彡从爻"ハハ彡ゞ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.ノkkkkk∧kk∧ミ从ミゞ',从リ冫';',彡ンゞ,
    爻Y;'ハリ从ソゞミハ∧ゞ゙ヽ ̄ ̄) 冫 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄从;爻゙ヾ,,  フォレスタ ▼八月二日                                    
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    早朝の澄んだ空気の中、鬱蒼と生い茂る常緑樹の間から見える白い化粧を施した歪な刃のように険しいクラフト山脈と夏の青空。
    そしてそれを反射する透明度の高い湖の組み合わせは、芸術の域を遥かに超えて美しい。
    この荘厳な景色を見る為にはニクラメンの港からバスを使い、電車を乗り継ぎ、渓谷の街クロジングからドルイド山の麓を目指してフォレスタと呼ばれる樹海に踏み入る必要がある。
    マーディッシュから船に揺られて半月ぶりに我が家に帰って来たギコは、新聞受けに溜まっていた新聞の束を一掴みにして、
    郵便受けの中に少しだけ入っていた手紙を指の間に挟み、玄関の鍵を器用に解錠し、扉を足で開いた。

    木で作られた家の中は杉の香りが強く、それがギコにとっての我が家の香りだった。
    ベッドの上に新聞と手紙を放り投げ、窓を大きく開いて網戸だけの状態にした。
    朝露と木の香り――即ちフォレスタの匂い――が部屋いっぱいに広がる。
    井戸水で満たしたヤカンをコンロに乗せ、ギコは大きめのマグカップにたっぷりの砂糖とインスタントコーヒーを入れ、湯が沸くまでの間、手紙と新聞に目を通すことにした。

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         ,---、  ヽ/ 〃     ̄`ヽ
         l/´ / ヽ、 ヽ /_  ,ィ     ',
         ヽl    `ヽ/   〃      ',
            ヽ、    ``ミ=-、__,    .',
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    ────―-,-/`r、              ',
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    固いスプリングを軋ませベッドに腰を下ろし、郵便物を手に取る。
    差出人の八割は、全く同じ人物からのそれであった。
    それ以外はダイレクトメールの様で、一応目を通してからゴミ箱に丸めて捨てる。
    目ぼしい物は特になかった。

    取り分けておいた封筒の封を慎重に鋏で切る。
    そこには、一枚の写真と一通の手紙が入っていた。
    手紙に書かれた字は汚く、乱雑で、そして元気に溢れた文字だった。
    解読するのには時間がかかるが、一緒に収められていた写真を見れば、何が言いたいのかは一目で分かる。

    前歯のない少年や、みすぼらしい格好をした少女の屈託のない笑顔は、それを雄弁に物語っている。
    同じ差出人からの便りには、全て異なる子供の笑顔の写真と直筆の手紙が添付されていた。
    全て何度も見直した後、ベッドの横の床板を一枚外し、そこから古びたブリキ缶を取り出した。
    そこにはこれまでに彼に送られてきた手紙と写真が全て収められ、先ほど見ていた手紙と写真もまた、そこに収められる事となる。

    それはまるで、小さな子供が大切に隠しておいた宝箱のようで、壊しがたく侵しがたい雰囲気を醸し出していた。
    ブリキ缶を床下に戻し、床板を嵌めると、ヤカンがカラカラと音を立て始めた。
    重い腰を上げてガスを止め、湯をカップに注ぐ。
    途端に立ち上る香ばしく甘い匂いが森の香りと混ざり、ギコの心を落ち着かせる。

    ――四日前に味わった激しい感情の変化はあの日と比べて落ち着きを取り戻してはいるが、その毒はまだ彼の心を内側から蝕んでいた。
    これまでに百人以上の人質を救出し、その度にギコは感謝をされていた。
    それは自己満足でしかなかったが、彼が仕事を続ける上ではなくてはならない見返りのようなものだ。
    その見返りのためにギコは危険に身を晒し、人質を助けてきた。

    仕事と割り切るには、彼はあまりにも長くこの体験に携わりすぎていた。
    仕事ではなく生甲斐として感じるようになってしまっていたのだ。
    それは、彼の仕事の終わりと直結していた。
    仕事はあくまでも仕事であり、私情と混同してはいけなかったのだと、忘れてしまっていたギコの失態だ。

    荒れ果てたこの時代で生き様を貫き通すのは、とても難しい。
    今まではそれを誤魔化し、騙し、忘れて生きていたが、直視せざるを得なかった。
    夢が終わった気分だった。
    体の一部を失った感覚だった。

    無期限療養と銘打った事実上の退職宣言を受けたギコは、ベッドに腰掛けてコーヒーを啜りながら、今後の身の振り方について考え始める。

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       /7,.- 、   .ゝヽ{'         ' : : : : : : /
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    彼は人間付き合いが希薄なことに加えて、クロジングの人間には変人として見られていたので、この辺りにいる知り合いは皆無に等しかった。
    彼がごく稀に街へ買い出しに行くと、親は子を連れてギコから遠ざかり、それまで笑顔を振りまいていた店員は途端によそよそしくなり、八百屋に至ってはシャッターを下ろす始末なのだ。
    そうなった原因に心当たりが幾つもあるため、もう、ギコはクロジングの人間とコミュニケーションをとることを諦めていた。
    そもそもクロジングは閉鎖的な街であるため、余所者であるギコがそこに馴染むこと自体が非常に難しく、
    ギコは街から離れたフォレスタ――地元の住民は魔女の住む森と呼んでいる――に仕事仲間の手を借りて家を建て、街の人間と関わり合いにならないように生きてきたのだ。

    互いに関わり合いにならなければ、面倒事は避けられる。
    過干渉を好まないギコにとっても異人を好まない街の人間にとっても、これが最善の選択だと今でも胸を張って断言できる。
    これで、彼らが愛してやまない平和と日常は守られる。
    そして、ギコの心の平穏も守られる。

    ギコは平和と云う言葉と、変わらぬ日常と云う言葉を心底嫌悪していた。
    これほど彼を不愉快にさせる言葉はそうない。
    日常も平和も、ただ、その生ぬるい時間に甘んじて身を投じ、前に進むことを放棄した人間が好んで使う言葉だ。
    人間だけでなく、生物の自然な状態とは闘争である。

    闘争が成長を促し、進化を促進する。
    そうして築き上げられた今日なのだ。
    平和とは即ち、人間だけが信仰する反吐が出るほど不自然な状態。
    世界は変化を望んでいる。

    それは決して止まることのない歩みだ。
    平穏な日常とは平和の一部であり、それを好む人間とギコは対極の存在なのだ。
    そんな彼らと対話すればいつか必ず衝突する日が来てしまう。
    ギコが街の人間と関わり合いにならなければ、無用な衝突は避けられる。

    そうするだけでギコは要らぬ手間と時間を掛ける必要がなくなり、街の人間は気分を害さなくて済む。
    少しの不便を受け入れれば、隠居生活は何の問題もない。
    殺し合いに精神を病んだ戦闘狂にとって見れば死刑宣告に等しいが、そうではないギコにとっては、新たな生き方の一日目が今日だ。
    少しずつ慣れていけばいいだろうと、悲観的になることなく、腰を落ち着けて現状を受け入れていた。

    紙面を流し読みしながら、オセアンで起こった出来事とその影響に関する記事に目が留まり、眉をほんの少しだけ顰める。
    死者多数、重傷者数名。
    そして、目的不明、目撃者無し。
    対立宗派を狙ったテロリストの犯行ではないことだけは明らかだ。

    一か月前に紙面を騒がせていた集団強盗事件、そして過激派の宗教団体が起こした自爆攻撃の拙い手口と比べると、実に鮮やかで見事な手口だ。
    興味深い事件だが、この長閑な田舎――の近くにあるフォレスタ――にそれが飛び火しなければ、ギコとしては何が起ころうが困らない。
    そもそも、閉鎖的なこの街にそういったおかしな人間が訪れれば、五分とかからずに街全体にその存在が知れ渡るから、危惧するまでもない。
    足首に巻いていた小型のグロックを無意識の内に取り外し、新聞の上に乗せた。

    鮮やかな手つきでグロックを分解し、銃の状態を確認する。
    部品の摩耗具合を指の腹で撫でて調べ、問題がないことを確認してから銃を組み立て直す。
    日常的に繰り返してきたこの作業は、ギコの体に染みついて離れることはない。
    こうした作業が結果的にギコの命を救い、彼に敵対する人間の命を奪ってきた。

    足首にそれを戻し、ギコは首の骨を鳴らした。
    その時ふと思い出したかのように空腹を覚えたギコは冷蔵庫の扉を開き、嘆息した。
    何ヵ月も家を空ける事があるため、ギコは基本的に自分用の食材を買い溜めない。
    冷蔵庫に入っているのは、いつのものか分からないマヨネーズとソース、そして少々の保存食だけ。

    これで飢えを凌げと言われれば可能だが、今はその必要に迫られていない。
    今、腹を満たすには二つの方法がある。
    気乗りしないが、クロジングのスーパーマーケットに買い物に行くか、ウィンチェスター・ボルトアクションライフルを提げて森に分け入り、獣を狩るか。
    労力と時間と確実性を考慮して、ギコは前者を選ぶことにした。

    ヒップホルスターにグロック・カスタムを収め、その上にジャケットを羽織り、ギコは玄関の扉を押し開いた。
    風に合わせて音を奏でる木々のざわめきに混じって、鳥の囀りが聞こえる。
    森林の青々とした香りは太陽のそれと混ざり合い、極上の香りとなって周囲に漂っている。
    ギコはその香りを肺一杯に吸い込み、似合わない微笑を浮かべたのであった――

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    ━━━━━━━━Opening of new Ammo→Re!―――――――――→

    第三次世界大戦は、世界を一新させた。
    国家と云う枠組みを失い、それと同時に政治的駆け引きと云う物は姿を消した。
    複雑で稚拙な仕組みを失った世界は、必然的に単純な法則に従って理想的な形に変化した。
    即ち、力が全てを変える時代の到来である。

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    The little boy who had been injured had met few dignified persons and traveled around the world with them.
    His name is just Boon that was named by beautiful traveler.
    He hasn't known about the love and own life yet.
         / .l .lヘ :.:.:i         ,      /;イ :.l:.:.:l  \
       /  l .l:.:ヘ :.:.i              イ:.i  :.l:.:.l    \
      /, -ィ ' l l:./ヽ:.ヽ     ー ―    イ':/  :.l:.:.l--―`¨´
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    ..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:一人の少年がいた。:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:
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    この時代を象徴する“力”は二種類ある。
    一つは武器。
    銃器、刃物、爆薬。
    老若男女、誰であれ――例え少女であろうが幼女であろうが――それを手にすれば殺傷行為を行える便利な道具だ。

    二つ目は、“棺桶”と呼ばれる兵器だ。
    それは、気が遠くなるほどの大昔に作られた、第七世代軍用強化外骨格“カスケット”の通称である。
    大雑把にAからCと云う大きさのクラスに分けられ、兵器を武器として運用し、それを身に纏うことで使用者の戦闘力を劇的に向上させる兵器。
    栄華を謳った“太古の時代”の終焉に加担した、“人類最新”の兵器だ。

    この二つの前には、権力や富、名声や地位などというものは意味を持たない。

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    The killer who wants to be common person has traveled around the world.
    Her name is Heat・Ororus・Redwing who is called "Leon".
    She does think innocent child has a right to spend good life.
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    .          /:::::::::::::::;;::-''":::::/  ,.-'''"´ ___          ,.r''",イ \          ヽ
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            /-‐'''":::::;.、-'゙T'''" ̄  `'┬‐┬--、.,,,___ `''‐-'゙、._\\イ イ´\        〃
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    ..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:.一人の殺し屋がいた。.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:
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    盛んな貿易によって繁栄する湾岸都市、オセアン。
    この地では多くの棺桶と武器が発掘され、一日も途切れることなく世界各地に向けて輸出されている。
    オセアンは今、大きな転換期を迎えていた。
    これまでオセアンを支配していたロバート・サンジェルマンの死が、銃爪になったのだ。

    彼の死は、事故や自然死ではなかった。
    事件に巻き込まれたと言うよりかは、“災厄”に巻き込まれたと云う形で、彼は命を落としていた。
    “レオン”の渾名を持つ殺し屋、ヒート・オロラ・レッドウィングと、奴隷として売られていた“耳付き”の少年、ブーン。
    この二人に加えてもう一人、この災厄に関わっている人間がいる。

    カーキ色のローブに身を包んだ素性不明のうら若い女性の旅人、デレシアによってそれはもたらされたのである。

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    The beautiful traveler is strong and mysterious whose name is Dellesia.
    No one knows her purpose and destination of her travel.
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    ..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::そして、旅人がいた。:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:
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    三人はオセアンの秩序を嘲笑い、踏みにじり、虚仮にした。
    何故なら、彼女達にはそうしてでも果たしたい目的があったからだ。
    ヒートは友の復讐を。
    ブーンは決別を。

    そして、デレシアは――

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                                   _The story is full of love.
    It's time to begin to tell their story. ______// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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                           Ammo→Re!!のようです

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                                 ¦
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    サイドカーを付けた電動バイクが、夜が明けて間もない淡い空の下を走っている。
    速度計は時速百二〇キロを示していたが、太陽光と充電池だけで駆動するエンジンの音は驚くほど静かだった。
    海沿いの道を、潮風を切り裂くようにバイクを走らせている運転手は、周囲の景観に目を向け、それを楽しんでいた。
    光の弱い朝日に照らされるバイクと運転手の姿は、凛々しく、幻想的だった。

    やがて、左手側に岩肌が剥き出しになった山が見えてきた。
    その大きさは、オセアンに並ぶ高層ビルよりも大きく、歪で、そして立派だった。
    それが天然の城壁の一部であることを、運転手は知っていた。
    今は隠れていて見えないが、反対側にも同じような山があり、その切断面が見えてくるはずだ。

    ところどころペンキの禿げた青い標識を見つけ、運転手はその少し先に現れたY字路を左に曲がった。
    道は狭く、やや凹凸が目立つようになった。
    高性能サスペンションは、タイヤが小石に乗り上げても窪みに落ちても、搭乗者にそれをほとんど伝えなかった。
    ようやく両門が見えてきたが、それでもまだ一部分だけだ。

    緩やかな上り坂に差し掛かる手前の道を左折すると、切り立った崖の門が姿を現した。
    門には鉄柵も警備装置もない。
    だが、門が作る閉鎖的な空気だけは、十分にあった。
    坂を上りきると、そこには街があった。

    運転手は坂を下って、その街へと向かった。
    山を巨大な爪で抉ったような、不自然な地形が運転手の目的地。
    第三次世界大戦の戦闘で自然に出来上がったその土地には、一つの街があった。
    ドルイド山の膝元、クラフト山脈を間近に見ることの出来る位置。

    豊かな自然に囲まれ、綺麗な空気に恵まれた土地。
    質のいい被服の生産と輸出で栄え、独自の風習で外部との接触を最小限に留める街。
    歴史の流れに逆らい、歴史の産物を崇拝する紡績の街。
    留まり、閉ざし、変化を嫌う街の名は――

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    Clothing ⇒ August 2nd
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                                           クロジング ▼八月二日

    Ammo→Re!! のようです
     ~Ammo for Relieve!! 編~                  ◆第一章【strangers-余所者-】
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    地元の農家が栽培した野菜を販売する朝市の活気が最高潮に達した頃、バイクに乗った三人の旅人が渓谷の街クロジングに到着した。
    切り立った谷に挟まれた街は、土と森の匂いが漂い、オセアンとは違って穏やかな空気が流れている。
    サイドカーをつけたバイクを運転していたのは、端正な顔立ちをした、波打つ美しい金髪が特徴的な若い女性だった。
    澄み渡った空色の瞳を持つ女性はカーキ色のローブに体を包み、足元を八インチのデザートブーツで飾っている。

    ζ(゚ー゚*ζ

    着飾らずとも、女性は元々絶世の美女に分類される顔であるため、化粧の必要さえもない。
    生のままの美を惜しげもなく晒す女性の隣には、赤茶色の髪をした若い女性がサイドカーの揺篭の中で、毛布に包まって眠っていた。

    ノハ´⊿`)

    赤毛の女性の胸元の毛布が蠢き、垂れた犬の耳を持つ少年が顔を出した。
    そして、豊かな胸に引き寄せられるように顔を埋め、安心しきった寝顔を浮かべる。

    (∪-ω-)...zzZ

    ζ(゚ー゚*ζ「……着いたわよ」

    金髪の女性、デレシアはエンジンを切り、赤毛の女性――ヒート・オロラ・レッドウィング――に小声でそう呼びかけた。

    ノハう⊿`)「……おぅ」

    (∪-ω-)...Zzz

    ヒートは寝ぼけ眼を擦りながら、安らかな寝顔の耳付きの少年――ブーン――を起こさないように、ゆっくりと体を起こした。
    周囲の景観を眺め、ヒートは確認するような口調でデレシアに尋ねた。

    ノパ⊿゚)「クロジングか?」

    ζ(゚ー゚*ζ「えぇ。 来たことはあるかしら?」

    バイクから降り、デレシアは荷物を肩に担いでそう訊いた。

    ノパ⊿゚)「一回だけな。
        二回目は遠慮したいと思ってたんだが……」

    ヒートの顔が少し陰る。
    クロジングの閉鎖的な環境で耳付きの少年は、確実に軽蔑と差別の対象となる。
    可能であれば素通りしたい街の一つだ。

    ζ(゚ー゚*ζ「この街、人間の性根はさておいて、服作りに関しては世界で一番なの。
          ブーンちゃんにちょうどいい服をプレゼントしてあげようと思ってね。
          昔の知り合いに服作りが上手な子がいるから、挨拶がてらに服を作ってもらうのよ」

    確かに、これから旅を続ける以上はブーンに服を買い与える必要がある。
    安物ではなく、長く着用できる丈夫で実用性に富んだものが好ましい。
    それらの条件に一致する服が入手できる街となると、自然とクロジングの名が挙がる。

    ノパ⊿゚)「デレシアの知り合いならまともな人間なんだろうけどよ、街の人間はそうじゃねぇだろ。
        石を投げられたらどうするんだ?
        耳付きに好意的な街だとは思えねぇが」

    クロジングの服はここだけでしか買えない、と云う訳ではない。
    少々値段が跳ね上がるが、安全な場所で購入した方がいい場合もある。
    買える場所の一つにオセアンがあるが、戻るには大分厄介な状況を作ってしまった。
    後五年は訪れない方がいい。

    ζ(゚ー゚*ζ「鉛弾で答えてあげるわ。
          ひとまず、朝ご飯を食べないとね」

    モーニングの提供を知らせる看板を出している喫茶店を指さし、デレシアはそう言った。

    ノハ;゚ー゚)「……できれば、朝から硝煙の匂いは嗅ぎたくねぇな。
         オセアンでたらふく堪能したからよ」

    ヒートは苦笑いを浮かべながら答える。
    そんなヒートの膝に抱きついていたブーンが身じろぎして、薄らと瞼を開いた。
    群青色の瞳が見上げたのは、切り立った崖に縁どられた、どこまでも澄み渡った夏の青空。
    そして、遥か彼方に浮かぶ大きな朧月。

    (∪-ω-)「ぅ……ぉー……」

    ζ(゚ー゚*ζ「おはよう、ブーンちゃん」

    ノパー゚)「おはよう、ブーン」

    そしてブーンは、気恥ずかしそうにして挨拶を返した。

    (∪´ω`)「おはよう……ござい……ます……」

    ブーンの起床に合わせて、ヒートはその小さな体を抱えてサイドカーから降りた。
    すれ違う人間がブーンの耳を見て何かをしないように、ヒートはブーンを傍らに抱き寄せる。
    ヒートはブーンと手を繋ぎ、デレシアの横に並んだ。
    そして、ブーンを二人の間に挟んで喫茶店へ足を運んだ。

    丁度、開店準備をしようと店外に出てきた店員がデレシア達を見て、一目で上面だけと見て取れる作り笑顔と共に声を掛ける。

    ノ゚レ_゚*州「いらっしゃ――」

    (;∪´ω`)「……っ」

    応対した若い女性の店員の顔色が変わるよりも早くブーンは身を強張らせ、デレシアとヒートは顔色一つ変えずに臨戦態勢に入っていた。

    ノ゚レ_゚*州「お客様、申し訳ありませんが当店はペットの持ち込みは禁止でして」

    ζ(゚ー゚*ζ「ペット?」

    その言葉に応じたのは、デレシアだった。
    ヒートは瞬時に握りしめた拳を解くことなく、二人のやり取りを見守ることにした。

    ノ^レ_^*州「はい。
          耳付きのペットは店外に繋いでおいていただかないと、当店のご利用はできません。
          他のお客様が気分を害してしまうので」

    店の傍に置かれている朽ちかけた犬小屋を指さした店員の指を、デレシアはそっと摘まんだ。

    ノ゚レ_゚;州「え」

    ζ(゚、゚*ζ「ダメねぇ。
    ゴミはちゃんと捨てないと」

    デレシアがぐい、と店員の指を引くと、店員の体は勢いよく後ろに向かって飛んで行き、異臭を放つ黒い袋が積み上がったゴミ集積所に頭から突っ込んだ。
    大きな音に驚いた店員が店の奥から飛び出し、隣接する店、そして対面する店からも続々と人が出てくる。
    中には散弾銃を手にした大男までおり、朝の爽やかな空気は一瞬の内に剣呑なそれへと変わった。

    ノパ⊿゚)「……昔と変わってねぇな、ほんと」

    デレシア達が街に足を踏み入れた段階で、おそらくその情報は半径三〇ヤードに広まっていたことだろう。
    かつてこの地に来たことのあるヒートは、この歓迎に対してそこまで驚くことはなかった。
    この街を訪れた余所者の情報と行動は、街中に張り巡らされた人脈と云うネットワークを通じて、瞬く間に広まる。
    街を出るまでの間、彼らの行動は逐一監視され、観察されることになる。

    閉鎖的な街ではよくある体制だ。
    当然、デレシアはこの街に残る悪習を熟知していたことだろう。
    その上でデレシアがこういった行動をとった理由が、ヒートには思い浮かばなかった。
    ブーンの保護者の一人であるヒートは心情的にデレシアの味方であり、今の行動を責める気にはならない。

    とはいえ、朝食をとる機会を失ったことは非常に残念だ。

    ノハ;-⊿-)「朝飯もろくに食えねぇのかよ……」

    目頭を押さえ、ヒートは安心したような呆れたような声を出した。
    その裏でデレシアの行動について考えを巡らせるが、答えらしい答えは出なかった。

    ζ(゚、゚*ζ「まぁ、この街はそう云うものよ。
         いきなりああ云う態度をとる店の味なんて、たかがしれているわ」

    (;∪´ω`)「ご、ごめんなさい……」

    ノパー゚)「ブーンが謝ることなんて何もねぇよ。
        デレシアの言うとおりだ。
        不味い飯で一日が始まるのは、タバコと硝煙の匂いで目を覚ますよりもひでぇ一日の始まりだからな」

    ヒートはブーンの頭をくしゃりと撫で、肩を抱いて引き寄せた。
    一方、デレシアはただ微笑を浮かべて、周囲の人間を石像か何かのようにさして興味もなさそうに見ていたが、両手はローブの下に隠れたままだ。
    察するまでもなく、デレシアはいつでも戦端を開く準備を整えている。
    ヒートもさり気なく、腰のベビーグロックへ手を伸ばし、素早くブーンを庇えるように重心を移動させた。

    手負いの身とはいえ、“レオン”の渾名で恐れられた殺し屋のヒートなら、ブーンを無傷でこの街から脱出させることは訳ない話だ。
    ただ、それは万が一の場合であって、当初の目的ではない。
    無用な殺しは避けるべきだし、争いには極力関わらない方がいい。
    そうなると気がかりなのが、果たして何故、デレシアは避けようと思えば避けられる争いを招いたのかと云う点だ。

    ヒートはそれが気になって仕方がない。
    今のは、触れようとしなければ触れずに済んだことだ。
    しかし敢えてそれに触れたと云うことは、何か理由がある。
    穏やかで柔和な雰囲気を漂わせるデレシアは、向こう見ずな楽観主義者ではない。

    むしろ楽観主義の真逆であり、一切の無駄を嫌う性格をしている。
    二日、三日一緒にいるだけでも、ヒートにはそれが分かっていた。
    答えが分からないまま、教師が口にする正答を待ち望む生徒の心境で、ヒートは成り行きを見守ることにした。

    ζ(゚、゚*ζ「この街が皆そろって余所者を歓迎するなんて、何百年ぶりのことかしら?」

    (,,゚,_ア゚)「歓迎しているように思えるのか?」

    散弾銃を持った大男が古めかしい木製のポンプを引いて、人造の威嚇音を鳴らす。
    先陣を切って動き、そして武器を持って立ちはだかると云うことは、この男をリーダーと見ていいだろう。
    単身巨躯だが、体つきはがっしりとしており、力はありそうだ。

    ζ(゚、゚*ζ「まさか。
          私は貴方達みたいにおめでたい脳みその作りをしてないわよ」

    体格差など気に留める様子も見せず、デレシアは男達を罵った。

    (,,゚,_ア゚)「何をしに来た、余所者」

    デレシアが何を考えているのか、ヒートにはまだ考えが及ばない。
    ただ、一つだけ断言できることがある。

    ζ(゚、゚*ζ「貴方に用はないわ、田舎者」

    結局のところ、デレシアの行動の根幹にあるのは――

    ζ(゚、゚*ζ「私の可愛いブーンちゃんをペット呼ばわりした不心得者を教育しただけよ」

    ――ブーンのことなのだ。

    (;,,゚,_ア゚)「っ……! この街からさっさと出ていけ、気狂いめ!!」

    堂々としたデレシアの言葉に、大男の声は心なしか震えているようにも聞こえる。
    つくづく、デレシアと敵対関係にならずに良かったと、ヒートは内心で安堵する。

    ζ(゚、゚*ζ「出来るならそうしたいんだけど、やることがあるのよ」

    (,,゚,_ア゚)「……この街の保安官は俺の叔父でな。
         困った時は、よく俺を助けてくれるんだ。
         余所者が原因の暴行事件の一つや二つなら、ランチ一つでなかったことにしてくれる」

    ζ(゚、゚*ζ「へぇ、その年齢でお子様ランチを頼めるなんて驚きね。
          ケチャップライスの上に乗っている旗の意味を知っているかしら?」

    ヒートはデレシアの口の巧さに舌を巻く思いだった。
    わずかな火種。
    それこそ、火花並みの小さな、刹那に存在する火種。
    それを、デレシアは決して逃さず劫火へと成長させる。

    一歩間違えれば自分自身を焼き尽くす劫火の扱いをどうするのか。
    それだけがヒートの懸念点だった。

    ζ(゚、゚*ζ「道を空けなさい」

    ただ一声。
    余計な修飾語も、補語もない。
    簡潔極まりない命令の言葉。
    声に威圧感があったわけでも、表情を変えたわけでもない。

    デレシアの一言は極めて自然なもので、挨拶するそれと大差はなかった。
    ただ、声に感情はこもっておらず、薄氷のように色と呼べるような物もなかった。
    そして、この一言で二つの変化が訪れた。
    一つは、デレシアの進路から一瞬にして人間がいなくなったこと。

    二つ目は、ブーンの体から緊張が抜け、この空間から危険が去った事を知らせたことだ。
    ブーンの並はずれた感覚ならば、五感に頼らずに正確な危険状況を知ることができる。
    間違いなく、相手の戦意は喪失していた。

    ノパー゚)「……」

    敵意と悪意を一言で払い除けたデレシアの目的がこの時、ヒートにも分かった。
    狙いは、悪意と敵意、そして注意を一点に集めることにあった。
    そして、それらを一掃することで道を確保することを狙っていたのだ。
    悪意にしても殺意にしても、分散していると対処に時間と労力がかかってしまう。

    そしてもう一つ。
    街に根付く風習の根源は、群れにある。
    群れを統率するための秩序が生まれ、風習へと変貌した。
    即ち風習とは、その群れが群れであるために必要な一つの要素でもある。

    悪習が残っていると云うことは群れが今尚残っていることを意味しており、つまり、街の人間はやや賢い野犬と大差がないわけだ。
    ならば、対処方法もさほど変わらない。
    つまり、群れの長を潰すと云うこと。
    デレシアはそれを群れが見守る中で行い、力の差を見せつけ、撃退したのである。

    結論から言えば、これもまた、ブーンに対する教育の一環だったのだ。
    徒党を組んだ人間の心理と対処法を一度に教えるためと考えれば、なるほど、デレシアの行動は全てがブーンの為になっている。
    ヒートは内心で惜しみのない賛辞をデレシアに送った。
    彼女と共にいるだけで、多くの勉強ができそうだ。

    無論、ブーンといるだけでも多くを学べる。
    三人は一発の銃弾も使うことなく、その場を制し、また、ブーンの教育ができたのだから。
    デレシアに無言で促され、ヒートとブーンはバイクに乗り込み、その場を走り去った。
    バックミラーに映る影が遠ざかり、そして、見えなくなった。

    * * *

    もう一人の余所者、トラギコ・マウンテンライトは出された常温のアイスコーヒーを一口で飲み干し、ブラインドから差し込む朝日に忌々しげに眼を細めた。
    客人として歓迎されるとは思っていないが、ここまで露骨な対応をされると、やはり礼儀として怒るべきなのだろうか。
    クロジングの小さな街にも警察はある。
    トラギコの所属する世界規模の警察組織とは異なり、地元の治安を守るためだけに存在する警察だ。

    彼らにとって見れば、トラギコの所属する警察組織を歓迎する必要はなく、ましてや、格上として対応する義理もない。
    そう言われてしまえばそれで終わりだが、それで引き下がるトラギコではない。
    食らいついた獲物の息の根を止めると云う意味でつけられた“虎”の渾名は、アウェーであろうとも健在だ。
    図太い神経がなくては、この時代、警察で長く働けない。

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        ξ       ||    ||         .\  .
    ニニξニニニニ||ニニニ||ニニニニニニニニニニニ!!. ..
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    例え、氷の浮かんでいないアイスコーヒーを出されて三〇分以上蒸し暑い取調室で待たされたとしても、トラギコは必要な情報を聞き出すまでは帰らない。
    なんでも、保安官長が昨夜から帰ってきていないために、トラギコへ情報提供が出来ないとのことらしい。
    保安官の管理が出来ていない街で得られる情報などたかが知れているだろうが、情報に鮮度はあるが貴賤はない。
    無益なら無益でいい。それは、無益と云う立派な情報だからである。

    トラギコが求めている情報は、オセアンで起きた事件に関わる一切合財のそれだ。
    彼の予想では、犯人はこのクロジングを通った可能性が非常に高い。
    この閉鎖的な街を通れば、必ず痕跡が残る。
    余所者とはそう云うものだ。

    捜査の初期段階で人相や背格好、特徴が掴めていればここまで苦労することもなかった。
    しかし、オセアンの無能な人間と賢い犯人の働きによって、トラギコは全くのゼロから捜査を開始しなくてはならない。

    (=゚д゚)「くっそ……!!」

    思えば思うほど、トラギコの怒りは膨れ上がった。
    だが怒りが成長するのに比例して、心を躍らせる何かもまた、その大きさを増していった。
    言葉とは裏腹にトラギコの頬は緩み、樹皮のような顔の皺が笑みを浮かべていた。
    彼は、少年のように喜んでいた。

    オセアンの事件は幕開けだと云う確信が彼にはあった。
    彼の人生を華やかにする幕開け。
    そして、世界を揺るがす大事件の幕開けだ。
    それに気づいている人間は、まだ、彼ぐらいだろう。

    力が全てのこの時代。
    その時代の中で、トラギコは己の信念に基づいて警官としての職務に誇りを持ち、それを果たしてきた。
    だからこそ言える。
    この世界に正義はなくとも、彼を興じさせる真実はあるはずなのだ。

    そう。
    それこそが、トラギコが欲し求めるものだ。
    理想の果て。
    羨望の極地。

    たった一つの。
    幾千、幾億にも達する真実が緻密に折り重なり、織り成す“一つの真実”。
    それが得られるのなら、困難は糖蜜と同じ意味を持つ。

    (=゚д゚)「……」

    グラスを片手に乱暴に席を立ち、椅子に掛けてあった薄手のジャケットを掴んでトラギコは出口に向かった。
    ドアノブを回そうとするも、外側から鍵がかけられているのか、ノブが動かない。
    赤いネクタイを緩めつつ溜息交じりに数歩下がり、扉に飛び蹴りをかました。
    扉は、あっさりと砕けて壊れた。

    (+゚べ゚+)「な、なっ?!」

    (=゚д゚)「時間ラギ」

    扉の横で待機していた事態を把握しきれていない若い保安官の胸ぐらを掴み、取調室に投げ飛ばす。
    机の上に倒れこんだ保安官が目を白黒させる内に、トラギコはグラスを壁に叩きつけて砕いた。
    すると、手に残るのは鋭利なガラス片。
    大きな歩幅で歩み寄り、その切っ先を男の目に向けて振り下ろす。

    瞬きをすれば瞼を傷つけるほどの距離で止められたガラス片に、保安官は声も出せないほど怯えていた。

    (=゚д゚)「二日以内にこの街に来た、余所者に関する情報は?」

    (;+゚べ゚+)「しっ、しららいっ……!!」

    怯えた男は、しっかりと単語を発音することも出来ない。

    (=゚д゚)「誰なら知ってるラギ?」

    (;+゚べ゚+)「……!!」

    言葉はなくても、反応を見れば分かる。
    この保安官は全く使えない。

    (=゚д゚)「なるほど、分からねぇラギか。 なら、こいつはもらうラギ」

    保安官の胸から金色のバッジを剥ぎ取り、トラギコは鳩尾を至近距離から殴りつけ、男の意識を奪った。
    このバッジさえあれば、少しの間、自由な行動ができる。
    その自由時間中に優先して行うのは、聞き込みだ。
    余所者に対してこの街の人間は非協力的だが、保安官の立場を偽れば、その口が多少なりとも柔らかくなることが見込める。

    愛銃のベレッタとこれが合わせれば、トラギコはたちまち聞き上手な人間に変わる。
    聞き込みの基本は、人の多く集まる場所で行うことだ。
    更に、余所者の人間が訪れる場所となると、場所は限定的になってくる。
    トラギコはガラス片を投げ捨て、ジャケットを羽織って、保安官詰所を後にした。

    * * *
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                                              クロジング▼八月二日
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    トラギコが保安官詰所を出発した頃、デレシア一行は、クロジングで最も大きなスーパーマーケットに足を運んでいた。
    先ほどの一件で、デレシア達が訪れられる店はかなり限られてしまっていた。
    飲食店、宿泊施設、個人経営の店は軒並みデレシア達が近づくと“閉店”の看板を表に出し、来店を拒んだ。
    そこで、食べ物に関しては自分達で調理することになり、そのための食料品を購入することになったのであった。

    雨風を凌げる場所はデレシアに心当たりがあるとのことで、寝泊りする場所を心配する必要はなかった。
    そして、個人経営ではないスーパーマーケットは彼らの来店を拒むことはしなかった。
    スーパーマーケットには色とりどりの野菜、豊富な種類の魚、そして多様な肉や生活雑貨が並び、朝にもかかわらず買い物客で賑わっている。
    デレシア達は商品を吟味して買い物かごに入れながらも、彼らを付け狙う人間がいないかどうか、店内の様子を観察していた。

    (∪´ω`)「お?」

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           ∠>ト<スx1イ
            レべくl.{{
                》lL
                 ノ゙::::::`ヽ
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    ふと、陳列されていた赤カブに興味を示したのか、ブーンは青果コーナーの前で立ち止まった。
    野菜の前にある商品札の文字を見て、ブーンは首を傾げる。
    どうやら、商品にではなく文字に興味があるようだ。

    ζ(゚ー゚*ζ「それは赤カブって読むのよ」

    (∪´ω`)「あか、かぶ?」

    ζ(^ー^*ζ「そう。赤カブ。
           サラダに入れたりするの」

    (*∪´ω`)「あかかぶ……」

    服の上からでも分かるほど、ブーンは尻尾を振って喜んでいた。
    新たな知識の習得とその理解は、人間の知識欲に直結する。
    続いてブーンは赤カブの隣にあった野菜に目を留めた。

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          ,-、, -y'⌒ v-、_
      (⌒ ( / f´ V  Y レ'V⌒!
       ヾ ヽ( ヽ{  Y 介v  ) }
        \ ヽ込 ゞ`l|/ Y )/ Y
         ヾヽ戈∧||( y/( ノノ
           V:::}l{:|| ::,','///
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    知りたいとは言わなかったが、上目遣いでこちらを見たその期待に満ちた顔を見れば、何を望んでいるのかは一目で分かる。

    ノパー゚)「それはホウレンソウだ」

    (∪´ω`)「ほ、ほうれーそー?」

    ノパー゚)「ほ・う・れ・ん・そ・う、だよ」

    (∪´ω`)「ほうれんそーお?」

    ノハ^ー^)「そう。ホウレンソウだ」

    拙い発音を注意することなく、ヒートはブーンの頭を撫でて褒めた。

    (*∪´ω`)「お……」

    ブーンは単語を何度も反芻し、それを自らのものとして吸収しようとしている。
    警戒の糸は張りつめっぱなしだったが、ブーンの無邪気な姿にデレシアとヒートの頬は緩んでいた。

    (∪;ω;)「ぴっ……?!」

    とある野菜の前に来た時、ブーンが鼻を押さえて小さく悲鳴を上げた。

    ノハ;゚⊿゚)「どうした?」

    慌ててブーンの肩を抱くヒート。
    デレシアはその横を落ち着き払った様子で通り抜け、一瞬で原因を突き止めた。

    ζ(゚ー゚*ζ「……ハバネロね」

    (∪;ω;)「ひゃばにぇろ?」

    ζ(゚ー゚*ζ「とっても辛いトウガラシよ」

    敏感な感覚を持つブーンに、生のトウガラシはそれだけで効果を持つ。
    それがハバネロともなれば、効果は絶大。
    犬よけにハバネロの粉末を使う方法があると、ヒートは聞いたことがある。

    (∪;ω;)「あかいの……きらい……です……」

    ノパー゚)「ペペロンチーノなんかに入れると、けっこう美味いもんなんだけどな」

    (∪;ω;)「おいしい……?」

    ノパー゚)「今度、食べてみるか?」

    (∪;ω;)″「……お」

    ブーンが涙目で頷く。
    デレシアは指でブーンの涙を拭いとり、目線の高さを合わせて微笑んだ。

    ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、今日の朝ご飯で食べてみましょう。
          ブーンちゃんが苦手なこれは、後で買いに戻りましょうね」

    料理に使う食材を吟味しながら買い物かごに入れ、売り場を転々とする。
    乾燥パスタにオリーブオイル。
    品揃えは豊富だった。
    残すは調理器具と云うところで、問題が起きた。

    ζ(゚、゚*ζ「……あら」

    (::(・)::(・):)::(・):)『HAHAHA!!』

    魚の切り身を手に取った時、デレシアは視線を店の一角に固定した。
    帽子を目深に被り、半袖のパーカーと色褪せたジーンズに身を包んだヒッチハイカーと見られる二〇人近くの集団が、
    他の客が向ける迷惑そうな視線を気にすることなく、雑貨コーナーの一角で溜まって雑談で盛り上がっている。
    全員がキャンプ用の大型リュックを背負っているために、通路は完全に封鎖されていた。

    調理器具を買うためには、彼らの存在は極めて邪魔だ。
    ヒートが一喝して散らそうとした時、彼女の脇を人影が音もなくすり抜けた。

    (,,゚Д゚)「……おい、邪魔だ」

    ジャケットの下から押し上げるように発達した、太く浅黒い腕。
    胸板も厚く、背筋がピンと通っている。
    彫りの深い顔には傷が刻まれ、顎の肉の一部が欠けていた。
    イルトリア訛りを話す見るからにイルトリア人の男は、まさに、巌のように屈強な姿をしていた。

    店員でさえ敢えて触れようとしなかったその集団に向かって、一人の男が唸るような声で注意を促した。
    だが、ハイカーは悪びれた様子もなく、ニタニタ笑いを浮かべて応じる。

    (::(・)::(・):)「あぁ、すみません。
          あと少しで終わりますから」

    そう言って、若いハイカーは雑談に戻ろうとする。
    彼らの言葉と態度に、反省した様子は微塵もない。

    (,,゚Д゚)「今すぐそこを退け」

    セダーレインボーカラーのワークブーツの爪先が、若者の脛を容赦なく襲った。
    鈍い音と短い悲鳴が上がり、すぐさま仲間の一人が拳を振り上げ襲いかかるが、男はそれを難なく掴み取り、そのまま捻りあげた。
    訓練を積んだ人間の動きだった。
    それも、かなりの場数を踏んだ人間の動きだ。

    瞳に浮かぶ色は冷ややかで、多くの死を生み出し、目の当たりにしたことが一瞬で分かる。

    (,,゚Д゚)「退けと言ったんだ」

    その言葉を聞いた時、ブーンの体が微かに震えたのを、デレシアとヒートは見逃さなかった。
    そして、二人は動き出した。

    * * *
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    ギコ・ブローガンがスーパーマーケットに足を踏み入れた時、奇妙な光景が最初に目に飛び込んできた。

    (,,゚Д゚)「……」

    それは、紛れもなく余所者の人間達だった。
    風体、格好。
    そして何よりも、耳付きがいることがその証だ。

    (*∪´ω`)

    青果コーナーの一角で尻尾を振って喜びを表す耳付きの少年の格好は、奴隷やペットにしては綺麗すぎた。
    いや、そう云った類の扱いを受けていた経験はあるのだろうが、それは、少年の両脇にいる二人の女性によって行われたものではないと断言できる。
    二人が少年を見る目つきは、慈愛に満ち溢れていた。
    仲の良い親子か、姉弟そのものの構図だ。

    クロジングでは耳付きは道具以上にはなり得ない。
    それどころか、災厄をまき散らすとさえ言われており、老人の中にはその言い伝えを信じて、見つけ次第殺せと怒鳴る人間もいる。
    今のところ何かトラブルに巻き込まれた様子はないが、難癖をつけられたり嫌がらせを受けたりするのは時間の問題だろう。
    対して興味もないことだが、どうしてか、耳付きの少年の浮かべる笑顔がギコを惹きつけて離さない。

    濁りのない瞳は深淵を内包し、その奥に表現しがたい何かを秘匿しているようにも見えたのである。
    耳を澄ませ、ギコは彼らの会話に聞き耳を立てた。

    (∪´ω`)「ほ、ほうれーそー?」

    ノパー゚)「ほ・う・れ・ん・そ・う、だよ」

    (∪´ω`)「ほうれんそーお?」

    ノハ^ー^)「そう。ホウレンソウだ」

    (*∪´ω`)「お……」

    どうやら、商品札に書かれた文字を使って言葉の読み方を教えているようであった。
    微笑ましい光景だった。

    (,,゚Д゚)「……」

    気付けば、ギコはその光景に見入るあまり、当初の目的を忘れてしまっていた。

    (,,゚Д゚)「……ちっ」

    その光景から目を背けるようにして、ギコは買い物かごを掴んで別の通路へ足早に向かった。
    しかし、どれだけ豊富な食材を見ても献立が頭に浮かぶことはなかった。
    自分が食べる予定のない保存食を大量にかごに入れ、興味のない商品を手に取っては眺め、棚に戻す。
    ギコは、あの光景で完全に心が乱れていた。

    銃弾には慣れている。
    ナイフで脅されることにも、仲間が目の前で死ぬことにも。
    故郷に、戦友に裏切られることにも嫌と云うほど慣れていた。
    だが、“あれ”に対する耐性は皆無に等しかった。

    胸に黒い感情が芽生える。
    思い出すのは、己の失態と後悔の念。
    そして、どうしようもない、行き場のない憤り。
    焦燥にも似たそれは心の底で燻り、常にギコを蝕む毒と化していた。

    そして今。
    再びその毒が活性化し、彼の手足、そして脳髄を侵食し始めた。
    いつの間にか握りしめていた拳は意味もなく震え、指先は蒼白になっていた。
    呼吸を落ち着けるために、ギコは一度だけ深呼吸をした。

    だが、怒りが沈むことはなかった。
    そんな折、迷惑の塊ともいえる集団がギコの目に入った。
    フォレスタにキャンプでもしに行くような恰好をして通路を塞ぐ一団の一人に、ギコは声をかけた。

    (,,゚Д゚)「……おい、邪魔だ」

    (::(・)::(・):)「あぁ、すみません。
          あと少しで終わりますから」

    (,,゚Д゚)「今すぐそこを退け」

    その返答に対して、ギコは衝動的に攻撃を加えていた。
    鉄板の入ったワークブーツで若者の脛を思い切り蹴ると、悲鳴を上げてその場を飛び退いた。
    運が良ければ骨にひびが入っているだろう。
    仲間の一人が殴りかかるが、ギコはそれを易々と掴み取る。

    遅い。
    あまりにも遅い。
    しかし、迷いなく暴力を選んだその行動力は少々気になる点だった。
    冷静に相手の戦力を分析し、ギコは言い放った。

    (,,゚Д゚)「退けと言ったんだ」

    その時、ギコは今朝読んだ新聞の記事の内容を思い出し、腰に手を伸ばしていた。

    * * *

    (,,゚Д゚)「退けと言ったんだ」

    ;(;∪´ω`);「っ……?!」

    男がそう言った瞬間、ブーンは得体の知れない寒気に身を震わせた。
    何か。 何かが起きようとしている。
    混沌と暴力の気配。
    死と生の競り合い。

    ――それは、争いの予兆だった。
    デレシアと出会う以前から幾度となく感じ取っては、怯え震えていた感覚。
    それが争いの始まりを意味しているのだと知ったのは、デレシアと出会ってから。
    命が散る争いが、血生臭い殺し合いがもう間もなく始まる。

    始まりの合図である巨大な銃声が、天井に向かって轟く。
    それはデレシアの銃でも、ヒートの銃が放ったものではない。
    リュックを背負った集団の一人の手元から、それは鳴り響いたのだ。
    その正体を見る前に、気づいた時にはデレシアに抱きかかえられ、ブーンは鮮魚の並ぶ平台の陰に飛び込んでいた。

    ヒートもその隣に隠れ、腰から拳銃を取り出している。

    (::(・)::(・):)「……くそっ、誰も動くんじゃねぇ!!」

    その声と共に、店の至る所から銃声が響き渡り、絶叫と悲鳴が上がった。
    デレシア達の背後からも、断続的に銃声が上がる。
    新鮮な火薬の匂いに混じった血の匂いが、ブーンの鼻をついた。

    (,,゚Д゚)「……ったく」

    先ほどの男が銃を撃ちながらデレシア達の近くまで後退してくるのが、跫音と同調した銃声から伝わる。

    (,,゚Д゚)「あ?」

    (∪´ω`)「……ぉ」

    ぐったりとした若者を羽交い絞めにして拳銃を撃つ男と、ブーンの目線が絡み合う。

    (,,゚Д゚)「よぅ」

    (∪´ω`)「ぅぁ……」

    その声と目は笑うわけでも、驚くわけでも、蔑むわけでもなく、ただ、ブーンと云う個人の本質を見定めようとするそれだった。
    この時、ブーンはデレシアの目が僅かに細められたことに気づかなかった。

    * * *

    一目でクロジングの人間ではないことと、堅気の世界に生きる人間ではないことが分かった。
    得物は一目でグロック18のカスタムモデルであることが判別できるだけでなく、無駄な物が一切省かれていることが一瞬で把握できる。
    銃全体に残る細かな傷は、使い込まれた証。
    そして、彼の腕と顔に刻まれた無数の傷は場数を示す。

    デレシアは、ローブの下で握っていたデザートイーグルの銃把を離し、この場を男に任せることに決めた。
    銃は嘘を吐かない。
    この男、只者ではない。

    ノパ⊿゚)「……譲るのか?」

    ζ(゚、゚*ζ「譲るも何も、ふっかけたのは私じゃないわよ?」

    非難の眼差しを男に向けたデレシアであったが、そこに、意外なものを見ることになった。

    (,,゚Д゚)「……」

    (∪´ω`)「……」

    男とブーンが無言で見つめ合い、何か意思疎通のようなものをしていたのである。
    その間にも銃弾が飛んでくるが、男は冷静に撃ち返すことでその狙いを逸らさせ、己への被害を食い止めている。
    楯にしていた死体を手放し、男はデレシア達と通路を挟んで一つ隣の平台に隠れた。
    次第に銃声が引き、店中に満ちていた悲鳴が鳴き声と命乞いに代わる。

    「隠れていないで、大人しく出てこい!!
    そうすれば、手荒な真似はしない!!」

    (,,゚Д゚)「……」

    店の入り口のシャッターが下ろされる音が、デレシア達の耳に届く。
    用意周到、そして少しばかり考える脳みそを持った強盗であることが分かった。
    視線をブーンから外した男は、手の内のグロックの残弾を確認してから、初めてデレシアとヒートを見る。

    (,,゚Д゚)「悪いな」

    声を潜めた率直な謝罪の言葉に、デレシアは素直に囁いた。

    ζ(゚、゚*ζ「まったくその通りね」

    (,,゚Д゚)「……容赦ねぇな、あんた」

    ζ(゚、゚*ζ「容赦する理由があるかしら?」

    (,,゚Д゚)「ないな」

    そんな二人の会話に割り込んで、先ほどと同じ声が店内放送で流れた。

    『店内の人間に告げる。今持っている現金、貴重品を全て差し出せ。
    そうすれば、命までは取らない、約束する。 その金は全て、間違いなく世界のために使う、間違いなくだ』

    声が流れている途中で、イルトリアの男はその場を移動し始めた。
    事の成り行きを見守るデレシアとヒート、そして、ブーン。
    男は跫音をさせずに調味料の商品棚の突出しに身を隠し、物陰から様子をうかがい始めた。
    この男、一人でどうにかしようとするつもりらしい。

    『無謀な男よ、君の抵抗は無駄に終わるだろう……調味料の棚に隠れているぞ!!』

    監視カメラに万事が映っていることを、男は失念していたのだろうか、いや、それはないだろう。
    駆け足で近づいてくる複数の跫音に対して、イルトリアの男は慌てた様子を見せなかったのだから。
    最初に姿を晒した男を撃ち、それから滑らかな足捌きで、すかさず反対側にいた男を。
    まるで敵の来る方向が分かっているかのような完璧な動きは、実に見事で鮮やかだ。

    『我らの一歩は友の道。我らの歩みは国の路!!』

    ζ(゚、゚*ζ「あら」

    (,,゚Д゚)「ちっ」

    男の表情が初めて険しくなったのは、Aクラスの第七世代軍用強化外骨格『カスケット』――通称“棺桶”――“キー・ボーイ”の起動コードがデレシアの耳に届いた時だった。
    平均的なAクラスの棺桶ならば、あのリュックに収納することができる。
    彼らが背負っていた大きなリュックは、棺桶を隠すためのカモフラージュだったと云うわけだ。
    キー・ボーイはジョン・ドゥとほぼ同時期に作られ、強襲作戦で先陣を切る人間に向けて開発された棺桶だ。

    上半身の急所を守る軽量装甲が使用者の体を覆う姿は、まるで、一回り大きな骸骨に包まれているよう。
    専用の武器は存在しないが、代わりに、多くの武器弾薬を収納できる機能が備わっているのが特徴だ。
    太陽光を利用した発電機能も搭載されており、暗視装置を使用した夜間戦闘も可能である。

    (,,゚Д゚)「まじぃな……」

    棺桶が使用されるのであれば、面倒事は確定したような物だ。
    面倒事に巻き込まれないように、デレシアは行動を起こすことにした。
    デレシアはヒートに手信号で相手があの男に注目している間にブーンを連れて裏口から出るように指示をして、自分もそれに続いた。
    自分で撒いた種は自分で刈り取るのが筋だ。

    裏口の扉をヒートが開こうとして、そこで、問題が起きた。

    ノパ⊿゚)「……ンの野郎」

    ヒートが扉に手を触れる直前で止めているのを見て、デレシアは何が起きているのかに気づいた。

    ζ(゚、゚*ζ「あらあら、用意周到なのね」

    扉の隙間から僅かに見える、細い糸の輝き。
    それは紛れもなく、罠が設置されていることを示唆していた。
    状況から察するに、爆弾系の罠だろう。
    従業員の中に彼らの協力者がいる証拠だった。

    解除は可能だが、敵に無防備な姿を晒すことになる。
    棺桶を持っていないイルトリアの男があの棺桶持ち達を相手に五分も持ち堪えられれば上出来だが、それは希望的すぎる。
    人間相手には慣れているかもしれないが、棺桶を生身で相手にすることに慣れているかどうかまでは、デレシアにも判断ができない。
    彼の銃に撃たれた人間の反応を見る限り、装填されているのは通常の9ミリ弾。

    あれでは、キー・ボーイの防弾装甲を撃ち抜けない。
    結局、このスーパーマーケットから出るには、正面から行くしかない。
    となれば、棺桶持ちが邪魔だ。
    結局、デレシアは避けようとしていた面倒事と対面せざるを得なくなってしまった。

    致し方あるまいと、デレシアは決断した。

    ノパ⊿゚)「どうする?」

    殺し屋“レオン”は先日負った傷が癒えておらず、まだ完全な状態にない。
    更に、ヒートの“対強化外骨格用強化外骨格”は駐輪場のバイクに乗せてあるため、棺桶持ちを排除するには、デレシアが手を貸すしかない。
    長く美しい金の宝冠を頂いた両眼が、物思いに耽るようにして細められた。
    両手は既に銃把を掴み、瞳は影を捉えている。

    〔 (0)ш(0)〕u(0)〕

    ヒートの質問に対する返答は、黒く、巨大で、武骨な拳銃が奏でる二発の銃声だった。
    強装弾はヘッドギアを容易く砕き、その内部にある頭を床に飛び散らせ、銃爪を引かせなかった。

    〔 (0)ш(了。゚`’・,’√ш(0)〕

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    ζ(゚、゚*ζ「……」

    (,,゚Д゚)「……」

    しかし、倒れた棺桶は三つだった。
    デレシアが排除する前に、男はキー・ボーイの装甲が及んでいない場所、即ち脚部へ銃弾を撃ち込んでいた。
    だが、それでは死に至らない。
    すかさず、デレシアが倒れた男の頭部を撃ち抜く。

    (,,゚Д゚)「……“棺桶に片足を突っ込んでいるのか?”」

    この男は、棺桶持ちへの対処方法を全てではないにしろ知っている。
    男が口にした古典的な棺桶持ちへの問いかけの言葉は、その証拠。
    そしてその言葉は、聞かなくなって随分と久しい。

    ζ(゚ー゚*ζ「“それは蹴るものよ”」

    だからデレシアは、古典的な返し言葉で、それに応じた。

    (,,゚Д゚)「……ギコだ」

    ζ(゚ー゚*ζ「デレシアよ」

    その後に、言葉は不要であった。
    デザートイーグルはデレシアの手の中で火を噴き、銃声の数だけ命を消した。
    悲鳴が上がったのかもしれない。
    命乞いの一つでも、勇ましい雄叫びの一つでも上がったのかもしれない。

    全ては弾倉が二つ尽きるまでの間の出来事。
    上げた声など銃声に上塗りされ、誰かの耳に届くことはない。
    一発の銃弾を撃つこともできず、抵抗することも出来なかった骸が山となって積み上がっていた。
    中には商品棚の裏に隠れて震えていた者もいたが、デレシアは情け容赦なかった。

    何より、商品を貫通して彼らに死を与えた銃弾は慈悲というものを知らなかったのだ。

    (,,゚Д゚)「坊主、ついてこい!!」

    ギコが先陣を切って走り出す。
    驚いたことに、彼が呼んだのはブーンだった。

    ノパー゚)「……ブーン、行くぞ!!」

    (;∪´ω`)「……は、はいっ」

    ヒートに手を引かれ、ブーンは店の入り口に向かって走り出した。
    その後ろにデレシアが続こうとして、店中に指示をしていた男の声が聞こえた。
    早口で紡がれた言葉の羅列は、デレシアがこれまでに聞いたことのない、棺桶の起動コードだった。

    『夢と希望が我らの糧。我ら、正義と平和の大樹也!!』

    建物全体を揺らす地鳴りと共に、純白のカラーリングと黄金の木のイラストが描かれた棺桶が彼らの進路に現れた。
    しかし、そこに立っていたのは決して珍しい型の棺桶ではなかった。

    〔欒゚[::|::]゚〕「断じて、誰一人として逃がさんぞ!!」

    オセアンのチンピラまでもが所有しているジョン・ドゥ程度、なんの脅威でもない。
    しかし、起動コードが明らかに通常のそれと異なっていた。
    素人の知識でコードの書き換えはできない。
    棺桶の起動コードは兵器を動かすための鍵、最後の要石だ。

    一言で纏めると、異常だった。

    ζ(゚、゚*ζ「……」

    〔欒゚[::|::]了。゚`'"’゚「死で償っ……!!」

    デレシアはその姿が見えた瞬間、銃爪を引いて引導を渡していた。
    頭部が欠落したジョン・ドゥが前のめりに倒れ、店内に静けさが戻る。

    (,,゚Д゚)「……終わったか」

    さり気なくヒートとブーンを銃弾から庇える位置に移動していたギコは、グロックの銃口を下ろした。

    ζ(゚、゚*ζ「……いいえ、終わりじゃないわ」

    そう。
    これは始まり。
    デレシアが聞いたこともない起動コードで起動した、ジョン・ドゥ。
    それが意味するのは、ただ一つ。

    ζ(゚ー゚*ζ「楽しいことの始まりよ」

    ――そして、デレシアの言葉は正しかった。
    クロジングから沖へ三マイル離れた場所にある、海上都市ニクラメンで、それは始まろうとしていたのだから。

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    Clothing ⇒ August 2nd  .. .. ..   . ...          . .. .            .. :... ..
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    i;;ii:i;;i ̄|rニユ l |l i: i:二i, .;';':;:';'::;:';'; ,. '':';;:::;:;;:爿|:::.:....;';':;:';'::;:';'; ,. '':';;:::;:;:;;::::.:....;';':;:';'::;
    二.ll.| . 二 ̄ ̄|=,ィ'⌒ニニエニニil]1lー-il]|_三rーilil ̄|─r‐┬||irr-、v冖v  To be continued.
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                      第一章【strangers-余所者-】 了

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