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Ammo for Restart!! 序章【anniversary-記念日-】

  1. 名前: 歯車の都香 2017/04/12(水) 22:11:02
    Ammo for Restart!! 序章【anniversary-記念日-】

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    気持ちの良い風の吹く、四月三日の朝の事だった。
    カリメア合衆国が誇るポーツ州沿岸基地は、いつも通りの日常が始まろうとしていた。
    警備兵は芽吹き始めた街路樹に止まる小鳥を見て、その愛くるしさに頬を緩めた。
    風は優しく、日差しは穏やかだ。

    この基地は合衆国の海兵隊が常駐しており、主に、領海と領空の防衛の拠点となっていた。
    最も、この基地が本格的な動きを見せたのは五年前の中東への軍事介入の時以来で、それまでは平穏無事な時間が約束されていた。
    世界一の大国相手に喧嘩を吹っかけようとする国など、今では皆無に等しい。

    (´<_` )「いやー、平和だねぇ」

    ( ´_ゝ`)「まーったくだ」

    (´<_` )「今日の昼飯、どうする?」

    ( ´_ゝ`)「カリフォーニアロール定食にでもするかな。イモジャに幾つかお土産に買っていこう」

    警備兵がそんな会話をしている中、一際背の高い管制塔内には、コーヒーの匂いと沈黙が漂っていた。
    壁一面を埋め尽くすコンソール類は、その日も、正常に稼働していた。
    一時も油断してはならないと云う緊張感の中、管制官はレーダーに何か不審な物が映らないか、目を凝らしている。
    時折やってくるシャルラ連邦の哨戒機以外、ここ最近は映ったことが無かったが、万が一に備えるのが彼等の仕事だった。

    (‘_L’)「ん?」

    ヘッドセットをつけた野戦服姿の管制官が、レーダーに不審な影を見つけたのは、そんな朝の事。

    (‘_L’)「海上を高速で接近する影を捉えました。
        既に領海侵犯をしています」

    けたたましい警報音が、基地に鳴り響く。
    万が一に備えて、戦闘機のパイロットが格納庫に走りだす。
    整備兵は彼等の愛機が万全の状態で飛び立てる様に、念入りなチェックを行う。
    海上に待機していたイージス艦から、シーホーク・ヘリコプターが飛び立つ。











    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

          誰もが、予期していなかった。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━









    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    Date 04/03
    Time 07:32

                  ────=== t ===───---
                      _,,r==lニニニl)-          ≡=―
                     ,イ_lコ l ̄::::l ̄ ̄l""ロー - ..,,__'ミo;'ヾ ≡=―
                    (´、   .l_:::l__l_,,,,... ------'' "   ≡=―
                     ̄ ̄ 
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ( ><)『こちらシー・スワロー1。
         指示された座標に接近しているんです。
         相手はどこにいるんですか?』

    (‘_L’)「シー・スワロー1。
        そちらから、1マイル離れた場所です。
        急いで下さい。
        所属不明船は間もなく領空圏内に入ります」

    (;><)『ちょっ! いくらなんでも早すぎるんです!』

    (‘_L’)「高速艇の可能性もあります。
        気をつけて下さい」

    レーダーの上では、チェスの様な規則正しく理想的な動きで、イージス艦と高速艇が相手の進路を塞ぎにかかっている。
    シーホークのパイロットが危惧するまでもない。
    訓練と経験値が違うのだ。

    (‘_L’)「……ん?」






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

        誰もが、想像した事さえもなかった。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━










    (;‘_L’)「こ……これは?!」



    ( ><)『そろそろ視界に入りま……』





    (;‘_L’)「シー・スワロー1!!
        相手は所属不明〝船〟ではありません!!」










    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

          だが、誰もが勘付いていた。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    (;‘_L’)「それは、それは――!!」

    (;><)『――あ、あれ、戦闘機です!!
         繰り返します、アンノンは戦闘機です!!』

    基地に戦慄が走る。
    スクランブルを受け、準備していたF-15が三機編隊で飛び上がる。
    それに続いて、空中管制機が飛び立つ。
    レーダーに映る機影は、イージス艦と高速艇の影を飛び越え、領空へ侵入した。






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

          いずれ、誰かがやるだろうと。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    o川* - )o「……許さない」

    水面を滑る様に超低空で領海へ侵入し、跳ねる様に高度を上げた戦闘機のパイロットがごちる。
    声は余韻に浸る傲慢ささえ窺えず、凪いだ海よりも静かだった。
    恐ろしい程に。

    o川* - )o「貴様らだけは、断じて許さない」

    女の声は、煉獄の炎にも勝る怒りに満ち溢れていた。
    彼女を乗せる戦闘機は無言で付き従い、目的地に運ぶ。





    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

       奪われた人間が、復讐するだろうと。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                          ,         。
                      l| __      |
                     _|l/ ‐、ヘ、__  |
          ______,,ィ:::::.'´  ヽ l::::::l゙-'、______
            ̄ ̄ ̄ ̄~`ー‐l::::ヘ ゚' ,ノ ,l::::::l :‐_:,―゙~ ̄ ̄ ゙̄
                     '' -`-'' ― '''''"
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    (  ゚∀゚ )『おいおい、どうしてこんなになってるんだ?』
      _
    ( ゚∀゚)『知るかよ、どうせ、管制官が寝てたんだろ。
        識別不明、国籍不明だとさ』

    (*゚∀゚)『ひゃひゃひゃ! 何にしても、糞度胸のある人間って事が分かればいいじゃねぇか!
        愉快愉快!』

    三機のF-15が扇形隊列を組んで、高度を所属不明機に合わせて迫る。
    アフターバーナーを使用し、大空を高速で駆ける様は正に鷲の様。
      _
    ( ゚∀゚)『所属不明機に告ぐ。
        こちらは、合衆国所属機。 既に貴機は領空侵犯をしている。
        ただちに転進しろ。繰り返す、ただちに転進しろ』

    応答はない。
    もともと、期待していなかった。
    単騎で合衆国の領空に侵入してくる腹積もりなら、こちらの話を聞く筈がない。
      _
    ( ゚∀゚)『警告に応じない場合、撃墜する。
        繰り返す、転進しない場合、撃墜する』






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     積もり積もった恨みは、倫理を無視して――

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           __,,,、
          .ヽ  \          _,.-‐.、
           ヽ   \       ./´     \         __
       、-‐、  .ヽ    .\    ./        \___,、‐:''^´:;:;:;:;:;`:''‐ 、,,__
       .ヽ .\ ヽ     .\ ./       __,,.-‐ '^´.'ー------――'´ `^¨'' :‐- ._
         .ヽ   \ヽ、.--――^     -‐ ''^´ ー‐--------...、         __,,,.- '´
         .ヽ    \、,,、-―'''^´         ―――――ッ'´. -―― ''''^^¨´
           ヽ     \        `¨¨^^>''^´    ,-''´
          __,,ゝ___- フ       _,.‐''´_,,、.-‐ ''´
        / ̄ _,.'´/     ._,.‐''´―'''¨´
      /._,.‐''´ ./   _,.‐'´
       ̄     ´ー --‐''´
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    三機のF-15が雲の上を泳ぐように突き進む。
    レーダーに映る機影が迫る。
    眼の前の雲が晴れた瞬間、二人がミサイル発射を宣言する。

    (  ゚∀゚ )『警告に従わない為、これより撃墜する。 FOX2!』

    (*゚∀゚)『FOX2!』

    放たれる二発の赤外線誘導式空対空ミサイルが、眼前より迫る敵に向かい――
      _
    (;゚∀゚)『この距離で……避けた!?』

    ――フレアの花が咲き乱れ、あらぬ方向へと飛んで行く。

    そして、彼等は遂に見咎める。






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ――やがて、災厄となって復讐を果たすだろうと。

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    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                    rヘ
                    │ i
           .l^l         | ヽ
           l ゝ        .゙| ヽ        _, -‐、、
           ゙l i        !  ヽ__ , -''"´  _ヾ. _、
            ゙! ゙l、___   ,,,==,,,|  ゙、-''"´     _/
            l . l- 、`´´--=〆 `       _/
           _l` ゙l/ ̄`       ヽ -=-_、 ――
       .---''"'"~´       、   〃  \〃 `、 /
    ''" ̄ ̄~  ___,,,,、-ー= .┴―、,,,/_ /  ̄,´^ヽ、
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      ヽ-=_//  `゙ヽ、. {   ヽ
                       ̄       `‐、、 _  i
                                 ` `ヽ
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    三機が一機と交差する。
    その一瞬。

    (;*゚∀゚)『スーパーフランカー(Su-37)?!』

    赤と黒のカラーリングが施されたその機体の姿は、まるで、終焉の運び手の様に禍々しかった。



    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       それは、萎えを知らない灼熱の炎。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



      _
    (;゚∀゚)『こちらイーグル1! 所属不明機はSu-37だ!
        繰り返す、所属不明機はSu-37!』

    機体の進路を強引に反転させ、フランカーの後を全速力で追う。
    しかし、しかし。

    (;*゚∀゚)『は、疾っ!?』

    追いつけない。
    速度が段違いだった。
    標準的なエンジンではなく、別の物を積んでいるに違いなかった。
    このままでは逃げ切られてしまう。

    (  ゚∀゚ )『FOX3!』

    切り札とも言えるレーダー誘導のミサイルを、イーグル2が放つ。
    ミサイルが白い尾を引いて、フランカーに迫る。
    これで、終わりだ。

    (; ゚∀゚ )『はぁっ?!』

    チャフと共に、フランカーが宙を優雅に舞った。
    ミサイルはチャフに惑わされ、明後日の方向に飛んで行く。
    悠々としたフランカーの姿に、彼等は驚きを隠せない。


    (;*゚∀゚)『く、クルビット(注釈:空中で殆ど高度を変えないで宙返りをする技)……!
         実戦で使うの……初めて見た……』

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    それは、全てを焼き尽くすまで止まらない大火。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


    (  ゚∀゚ )『だが、そう何度も!
          FOX3!』
      _
    (;゚∀゚)『……まずい! 駄目だ、まだ撃つな!』

    宙を舞ったフランカーは機首を天に向け、F-15に背を見せて急激に速度を落とした。
    蜘蛛の巣に絡まった木の葉が、風に流される様な軽やかな動き。
    アフターバーナーを使って最高速まで加速していたF-15では、この展開に即応できない。
    全力で追ったのが仇となり、三機は瞬く間に追い抜いてしまう。

    イーグル3が呆然と、追い抜きざまに愕然とフランカーを仰ぎ見る。

    (;*゚∀゚)『だ、ダブルクルビット(注釈:クルビットの後、再度クルビットを行う技)?!』

    次の瞬間には、フランカーは彼等の背後へ。
    レーダーが有効になる前に目標を失ったミサイルは、そのまま彼方へと消える。

    (; ゚∀゚ )『ちょっ?!』

    三機よりも後方上位を確保したフランカーの機銃が火を噴き、イーグル2のコクピットが砕け散った。
    そのまま力を失った紙飛行機の様に、F-15は海面に向かって堕ちてゆく。





    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             これは、変災。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






      _
    (;゚∀゚)『あ、あの野郎!』

    (;*゚∀゚)『動け、動けええええええ!!』


    残った二機はバレルロールを駆使して逃げようとしたが、時すでに遅く。
    弾丸によって鋼鉄の翼は無残にも引き千切られ、鋼の体は食い荒らされた。
    臓物のように計器類が剥き出しになり、血の様なオイルと炎が機体を包む。

    そして、空に散った。


    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
          、′     、 ’、  ′     ’      ;  、
              . ’      ’、   ′ ’   . ・
           、′・. ’   ;   ’、 ’、′‘ .・”
                ’、′・  ’、.・”;  ”  ’、
           ’、′  ’、  (;;ノ;; (′‘ ・. ’、′”;
             ’、′・  ( (´;^`⌒)∴⌒`.・   ” ;  ’、′・
          、 ’、 ’・ 、´⌒,;y'⌒((´;;;;;ノ、"'人      ヽ
               、(⌒ ;;;:;´'从 ;'   ;  ;) ;⌒ ;; :) )、   ヽ  -‐,
               ( ´;`ヾ,;⌒)´  从⌒ ;) `⌒ )⌒:`_,,..・ヽ/´
       ′‘: ;゜+° ′、:::::. :::    ´⌒(,ゞ、⌒) ;;:::)::ノ‐''"..,,_
                `:::、 ノ  ...;:;_)  ...::ノ  ソ,. r ''" `''‐,,._ X
               ,ゝ `く/ /  〉 /  ∧_ ...::ノ  ''
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             これは、天災。

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    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       ir''""二二゛`ヽ、ノノ丿 i i、 ,i !___,.ィ"~´,.,.,.,.=--―ミヾ.、 ミ ヾ ヽ ミ;;;;i  `i.,ミ
       | /´   ``ヽ ヽ/   `i, l  _,.=-‐''ゝ、ミニ=-‐'. `ー=ヽ Lヽ ミ;;;;ヽ  ヾ;;
       l /  ,r'';ニ、__`ヽ.i   人   i~    ,,..=ニニニ、'"´  ヽ、ゞ ミ;;;;;;;;;;;;;ヽ l
        i   ,ir'" ,,..,,ヽ.i l    丶、ヽ   fr=''"~´  ヽ、    il;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;
         i  〈  (●:) `i,i  ,:'':,   \ ヽ, i i (●)  ,.ィ     ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
          〉  `ー-===-ィ,:' ,;'      ゝヽ、ゝー---―''"         l;;i;;;;;;;;;;;;;;;;ilヾ;;;
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    レーダー上から、友軍が全て消えた時、管制官は声を失った。
    たった一機に。
    たった一機の戦闘機に、合衆国の空軍が歯も立たなかった。


    (;‘_L’)「そ、そんな……馬鹿な……!」


    緊急警報が発令される。
    基地に待機していたほぼ全ての戦闘機、空中管制機が空に飛び立つ準備を開始する。
    離れた場所にある空軍基地にも、この緊急事態は伝わっていた。


    (;‘_L’)「所属不明機、領土内に……!」


    所属不明機の通過点に、ポーツ州沿岸基地があった。
    そして、その光点は徐々に迫り――






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             これは、人災。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━







    o川* - )o「見るがいい……英雄狂。
            聞くがいい……英雄狂。
            来るがいい……英雄狂。
            そして悦ぶがいい、英雄狂」


    女が嘯く。
    来い。
    もっと、もっと自分を追って来いと。
    届く事のない誘いの言葉を送る。


    o川* - )o「貴様等の……」


    操縦桿を握る手に、力がこもる。


    o川* - )o「……貴様等の正義を、腹いっぱい馳走してやるぞ」






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             これは、始まり。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

              ┌ '' "´\                              ,. ‐'´  ̄_>‐、‐- 、_,..+‐
              |l ̄l ヽ\                       / > ̄`ー'´    ヽ/
              |l |l   ヽ\                     _ .-/ _ 〈     ,..-‐ 7"´
              __ 」| |l    ヽ\ ____ ,. - ' "L - '"´‐ '' ´     `ヽ ¨ | 「' "´
              / 7|l |l.       ヽ\   __ / /||`'"<  `丶、 _ r'" ̄  , ‐'´
           ヽ_>|| |l         _ > '"/ /  ||_   _ ≧=' "´_ __,.=‐く
              || |l  ,..- ' "´  / /    || ¨´ └┘   ̄ i i, ‐'´
    _ ,. .- -──┤l _」l-' └ァ _ / /     _レ′          i l,
    \ < __ /─¨´r'〈=ァ'´/ / /  ,..- '_´                  i l,
      ` ̄      ̄ ̄ ̄ /__/ jニブ=┴_,ニ´ rイl  ̄" '' =z- _          i l,
                        ̄/|_,. - '"   | l.|_`ー-   ,_- 、           i l,
                       |/|       l  |  ̄"‐ニ._>‐ニ__- ニ __//
                       |  L_      | |            ̄" '' ─ ' ´
                        `丶、丶 、_, ‐' , ‐'´
                           ` '' - '
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


    ('A`)『クロウ・リーダーより各員へ。
       射程内に入り次第、速やかに迎撃しろ。
       間違っても、市街地に入れるな!』


    (・∀ ・#)『これ以上、合衆国の空を飛ばせるかよ!』


    (#・∀・)『ここは、俺達の空だ!』

    リーカンス州の空軍基地から十五機の最新鋭戦闘機大隊が、一機のフランカーを迎え撃つ為に飛び立っていた。
    F-22ラプターの群れは、たった一機の敵に一切の手抜きを許さない。
    これは最早、戯れでは済まされない。
    そして、世界に知られてはならない事態にまで発展していた。


    ('A`)『距離、40マイル。
       山で墜とすぞ!!」


    /;,' 3『――本隊より緊急入電!
       ポーツ州沿岸基地が……う、嘘じゃ……嘘じゃぁああ!!』


    ('A`)『落ち着け。
       ストーキング・アイ、説明を』


    /;,' 3『か、壊滅……壊滅したんじゃぁああああ!!』






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

           これは、一つの区切り。

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    (;'A`)『そんな馬鹿な!!』



    戦闘機の持つ戦闘力でも、基地一つを全滅させるには時間がかかる。
    しかし、敵は通りすがりにそれをやってのけた。
    有り得ない。
    物理的に、その様な事は有り得ない。


    (;・∀・)『何をしたってんだよ!』






    /;。゚ 3『化学兵器が使用されたんじゃぁああ!!』






    (;'A`)『な!!』






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

          いつか来る、滅びの時。

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     /,'i|__|ヾト、;;X 、:/:、  ,/_,..ニ 、` |!_|lト、
    /!|i!/_、|/;;<;( ◎);;イ,ー-''-/( ◎) ,i  !, ヽヾ
    丿i|| ,d|/",!i :\ , c( )っ、:` ̄    ib ||ノイ、
    |ll!| ヽ_| l| :i  /i、 ,!!、 ヽ::.      :|_,/イi|l|
    ノl!!!| i|:|、:::..    `ーキニ=ー':.、::.   ,!/i|ノノ
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


    (;゚_L。゚ ・ ゚「ひっぼああぁくぁwせdrftgyふじこlp;!!」


    言葉にならない悲鳴と共に、体を捩って悶える。
    焼き鏝で内臓をひっくり返し、かき混ぜる様な痛みに、基地中の人間が死につつあった。
    この世のものとは思えない、激しい苦痛が彼等の精神を蝕んだ。
    その声は、切りそこなった無線を通じて仲間達を恐怖のどん底に陥れた。


    ・;゚_J。゚ ・ ゚「ひ、ひゅ……ひゅ……た……たひゅ……」


    懐に忍ばせてあった家族の写真を服の上から握りつぶし、激痛と苦悶の中で管制官は内臓を吐いて死んだ。





    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

       それを早めたのは、他ならぬ、人間。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    ('A`)『……レーダーに確認。
       レーダーロック、フォック――』


    /;。゚ 3『……! な、ならん!!
        全機、所属不明機を撃墜してはならない!』


    (;'A`)『な、何故だ!』

    /;,' 3『奴の積んでいるのが全て化学兵器のミサイルだとしたら、空中で撒き散らす事になる!
       この高度で散布された化学物質がもたらす被害は、予想できん!
       種類の特定も出来ておらんのじゃ!』

    (;'A`)『じゃあ、どうしろって言うんだ!』

    /;,' 3『洋上に誘い込み、出来るだけ低空で撃墜するんじゃ!
       それが無理なら着陸させるんじゃ!
       航行不能にさせるのは駄目じゃ! 墜落すれば、化学物質が漏れだす可能性がある!』

    (;・∀・)『そ、そんなの無理に決まってる!』

    (・∀ ・;)『でも、今落とさないと!』


    /;,' 3『……大統領の指示を待つんじゃ!』


    十五機と一機の距離は、確実に縮まりつつあった。





    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             これは夜明け。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    o川* - )o「どうした……英雄狂」

    迫って来ているのが分かる。
    正面から、向かって来ているのが分かる。
    だが、それがどうした?

    o川* - )o「正義を果たしてみろ」

    敵意の塊が、前方に無数の点となって現れる。
    相手はステルス戦闘機。
    レーダーで捕捉し、数を知る事さえ難しい。
    しかし、はなっから、女は彼等を相手に戦うつもりはなかった。

    数は問題ではない。


    o川* - )o「犯す事は慣れていても、犯される事には不慣れか」


    先の一発。
    化学兵器の存在が伝わっているのならば、今の段階で撃墜される事はない。
    全てが、予想通りだった。


    o川* - )o「ならば、強姦の作法を教えてやる」


    眼下に、第二の目標であるジョセフ州陸軍基地が見えて来た。
    空対地ミサイルの発射ボタンに指を乗せる。






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             これは芽吹き。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    手出しが出来ない事を知っているのか、フランカーは大軍を意に介する様子も見せず、二発目のミサイルを発射した。


    (;'A`)『や、野郎!』


    /;。゚ 3『い、いかん!!』


    ミサイルは高度を下げ、陸軍基地の真上で爆発した。
    まだ、大統領からの指示は来ない。
    撃墜出来ない!


    (#'A`)『あの糞野郎!! おい、指示はまだか!!』


    ラプター全機が急静動をかけ、目と鼻の先に迫って来たフランカーをやり過ごし、その後を素早く追う。
    全員の指は、ミサイルと機銃を撃ちたくて怒りと悔しさに震えていた。


    /;。゚ 3『あ……ああぁっ……!』


    『ひっあああ……たす、たすけ……あがだまあbかj、mkjんhbgftれ……っ!!』


    再び、戦意をむしり取る断末魔の悲鳴が操縦手全員の耳に届いた。






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             これは、開花。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    (#'A`)『指示はまだかと聞いている!』


    /;。゚ 3『い、今、会議が始まったところじゃ!』


    (#'A`)『ふざけんな! このままじゃ、このままじゃ!』

    だが誰も攻撃を始めない。
    始められない。
    彼等は軍人。
    免罪符が無ければ、彼らはただの罪人になり下がってしまう。

    大量の死者を出しても、それが許される免罪符。
    発行元は、彼らよりも上位の権力者。
    即ち大統領。

    (#'A`)『……予想進路は?』

    苛立たしげに問いただす。

    /;,' 3『敵の進路には――メルカトル(注釈:ジョセフ州の州都)がある。
       距離、約30マイル』

    (;'A`)『お、俺の故郷だぞ、あそこは!
       妹だって、カーチャンだっているんだ!
       やらせるか、やらせるかよ!』

    彼等は侵略する事に長けていても、される事に関しては経験が無かった。






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

            これは、夢の始まり。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    o川* - )o「……ハイン、もうすぐよ」

    胸ポケットから取り出した手垢だらけの写真を見て、女は穏やかな声で愛娘の名を呼んだ。
    五年前、炭化した肉片だけになって死んだ七歳の愛娘。
    中東某国、女の祖国に対して指導者の圧政と弾圧から市民を開放すると云う名目の下行われた、一方的な侵略。
    いもしないテロリストを殺す為に行われた、新兵器のテストを兼ねて行われた大規模な空爆。

    テロリストと呼ばれた人間よりも一般人の死体が多く積み上げられ、娘が殺された。
    娘の破片を血と瓦礫の中から探していた女は、侵略してきた軍人に力づくで犯された。
    謝罪も軍人に対する罰もなく、正義の完遂を宣言したカリメア合衆国現大統領。

    o川* - )o「……ロマ、後少しよ」

    愛娘の横に並んで映る、彫りの深い男性は夫だった。
    無人攻撃機の誤爆によって、人差し指しか残らなかった夫。
    奪われた家族の命と、平穏な日々。
    そして、荒らされた祖国の血に濡れた大地が女に復讐を誓わせた。

    家族が死んだ理由は?
    どうして平穏を乱したのか?
    どうして自分の国に干渉したのか?
    指導者を奪い、平和と石油の利権を奪った挙句、捨て去るのは何故か?

    全ては、彼等が信仰する正義と云う言葉に帰着した。
    ならば、と女は思った。
    ならば、相手の言う正義を自分が執行しても問題はないのが道理。
    傲慢なカリメアに正義の鉄槌を下す事は、何一つとして間違いではない。

    殺し、奪い、犯す。
    それこそが、彼等の言う正義なのだから。





    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

           これは、夢の終わり。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    /;。゚ 3『指示が出たぞ!』

    待ちに待った言葉が届いた時には、両勢はメルカトルの大都市を目前に控えていた。





    /;。゚ 3『撃墜許可が降りた!』





    ラプターの操縦手達は、叫ぶようにミサイル発射を宣言した。
    少しでも手前で撃墜する為に。


    (#'A`)『間に合ええええぇぇぇぇ!!』


    (#・∀・)『FOX3ィィイイイイイイイイイ!!』


    (・∀ ・#)『FOX3!! 消し飛べ、このテロリストがぁぁぁぁ!!』


    白く細い雲を残し、ミサイルの群れは忌々しいフランカーに襲いかかる。
    操縦手は全員、神に祈った。





    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

            これは、夢の成就。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    o川* - )o『カリメア合衆国の軍人よ!』


    ミサイル警告音が煩い。
    チャフを散らして縦横無尽に軌道を描きながら、山を越えて都市の真上へと高度を上げて行く。
    積んでいたミサイルを設定した座標に向けて全て発射し、残る武器は増槽を満たす化学物質だけ。
    撃墜されることを前提にした、フランカーに搭載された最後の武器。

    それは都市一つを死の街に変えるには、余りある量だった。
    オープンチャンネルに向かって、女は声高らかに告げた。



    o川*゚ー゚)o『刮目して目に焼き付けろ! これが、貴様等の愛してやまない正義だ!!
           そして聞け! これこそが新たな時代の夜明けを告げる、鐘の音だ! 福音だ!!
           さぁ神に祈れ! 祈って足掻いて死に晒せ!
           ハレルヤァァァァァァアアアアアアアアッハッハッハ!!』



    十分な高度に達した時、背後から迫って来たミサイルの群れはフランカーを爆散させた。
    女は細かな肉片になっても、笑って、嗤って、泣いて喜んでいた。
    業火に焼かれても、女は満足だった。
    夫と娘のいない世界は、これで、終わるのだ。


    嗚呼、この素晴らしい世界よ。
    これで、終わりだ。






    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

            だから、この日は――

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    爆散すると同時に雨の様に降り注ぐ、世界最悪の化学物質。
    それは、風に乗って辺り一帯の生命を無秩序に蹂躙した。

    ;゚A。゚ ・;:* ゚『ばああヴぁあえあkhgぁkじゃヶvhなかxdcfgtyふじこlp;@:「!!!!』

    落ちる。

    (;゚◎。゚  ・ ゚・ ゚『うげgじゃえjがjhlはdftgypぉきじゅhygtfrで!!!!』

    墜ちる。

    「;∀ ;:。゚ ・;;:- ゚;『ひぎぁゎじぇあjl;cxsでwrvfgrty6うjふい8!!!!』

    堕ちる。

    /;。゚ 3『ひっ、ひいいいいい!!!』

    権威が。
    矜持が。
    群れなす鋼鉄の鳥達が。
    二度と這いあがれない奈落の底に、叩き落とされる。

    /;。゚ 3『……ごっ?!』

    /;。゚ 。,j i:i;l 。゚ i!、o『ばぁあらsななbがjばえhんヴぁいにあmヴぇあえんhtんヴぁvhまmんは!!!!』

    一人の女の手によって、〝正義〟は執行され、夜明けを告げる鐘の音が音もなく鳴り響く。

    Date 04/03
    Time 07:46






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          序章【anniversary-記念日-】
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    Date 04/03
    Time 07:40


    春の穏やかな空気の漂う四月三日。
    その日は、カリメア合衆国首都ニューソーク近郊に住むマリエル・クーパーの十歳の誕生日だった。
    マリエルは人形の様な愛くるしい顔立ちをした、ブロンドと碧眼の似合う柔和な性格の、美しい少女だった。
    マリエルにとって、誕生日は特別な日だ。

    朝食は大好物のシュガートーストとサニー・サイドエッグ、カリカリに炒めたベーコン。
    色鮮やかなフルーツサラダ。 砂糖がたっぷり入った、少し大人の味がするコーヒー。
    誕生日の朝は何もかもが特別に感じる。 朝の陽ざしの優しさ、風の賑やかさ、小鳥の合唱が耳に心地よく響く。
    母親のキュリアは娘を溺愛していた。 それに負けず劣らず、父親のロバートも娘と妻を溺愛していた。

    決して豊かな暮らしではないが、それでも、年に一度、娘の誕生日だけは盛大に祝うのが彼等の習わしだった。
    昨日よりも一段と可愛くなったと褒めて、その自慢のブロンドの髪を手櫛で漉く事が、両親の楽しみだった。
    朝食を終えたマリエルは歯を磨き、プレゼントされたばかりの少し大人っぽい服に袖を通し、満面の笑みを浮かべた。
    両親はその笑みを太陽の笑みと呼んでいた。

    ロバートも冷凍食品会社で営業の仕事がある為、スーツに身を包み、マリエルに恥じる事のない父親の逞しい姿を鏡の前で確認した。
    どんな事があっても、今日は残業するわけにはいかない。
    例え社長が飲みに誘ったとしても、断固たる意志で拒む自信があった。
    それだけ、ロバートは娘を愛していた。

    キュリアは仕事をしていなかったが、マリエルが学校に行っている間に家の中を綺麗に掃除して、磨き上げ、誕生日を祝う準備を整える重大な役割があった。
    この日の為に昼食代や食費を削って貯めた金で、以前からマリエルが欲しがっていたプレゼントを買いに行く事も忘れてはいない。
    一年に一度。この日だけは、マリエルは一日中笑顔でいてもらいたい。 幸せな気分でいてもらいたい。
    世界が混迷を極めるこの時代、可愛らしい我が子だけは誰よりも幸せになる権利がある。

    世界は美しいと云う事を、マリエルには知っていてもらいたい。それが、親として願う一番の望みだ。
    二人が並んで玄関で靴を履く。
    マリエルの靴は買ったばかりの、ピンク色のエナメルのスニーカーで、ロバートの靴は昨晩キュリアが鏡の様に磨き上げていた。
    玄関扉をロバートが押し開き、執事の様に恭しくマリエルを先に行かせる。

    家の前には黄色いスクールバスが停まっていた。 時間通りだった。
    何もかもが、いつも通りの光景だった。
    ただ、クーパー家にとっては幸せに溢れた一日の始まりだった。
    愛くるしい笑顔を振りまいて、マリエルがバスに駆けて行く。

    折角、その柔らかい頬にキスをしようと思っていたのにと、残念に思う。

    ノノ*^ヮ^)「行ってきます、ママ、パパ!!」

    キュリアもロバートも、思わず破顔した。

    川イ゚ー゚)「行ってらっしゃい、マリエル」

    彡ノ゚ー゚)「気をつけるんだぞ」

    ノノ*^ヮ^)「うん!!」

    マリエルを乗せたバスが、クラクションを軽く二度鳴らして、学校に向かって走って行く。
    二人は庭を出て、その姿が消えるまで見送った。
    そろそろ、近所の家から出勤の為に顔見知りの人が出て来る頃だった。

    彡ノ゚-゚)「それじゃあ、僕も行ってくる。六時までには帰る様にするよ」

    川イ゚ー゚)「えぇ、それじゃあ、気をつけてね、貴方」

    軽くキスを交わして、ロバートが歩いて行く。
    何と云う事のない、幸せな朝。
    明日がどうなるか分からない時勢だからこそ、こうして、一日一日を楽しまなければならない。
    しかし、その日は、いつも通りに進む事も、幸せな日々も、叶う事のない夢で終わった。



















         川イ゚-゚)「あら?」



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          "::、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,''''"゙"' :
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         .;;:,,.      .″  .`  `゙'-.:"     ,      .,
          . .::;;                      .′     :"
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    小さな黒い何かが、白い尾を引いて真っ直ぐに市街地に向かって飛んで行った。
    それは鳥にしては真っ直ぐに飛んでいたし、速かった。 飛行機にしては静かすぎ、何よりも不気味で不吉だった。
    次の瞬間、太陽の様な眩い光がキュリアの網膜を焼き尽くし、最初に視力を奪った。
    それと同時に、キュリアは一切の感情と感覚を失い、愛する娘と夫の事さえも考えられなくなった。

    単に、他の思考が阻害していたのではない。
    例え凌辱と拷問にかけられても、最期の瞬間まで娘と夫の名を口にするだけの強い心を持っていた。
    しかし、それも考える脳と時間が与えられていればの話。
    音も、光も、匂いも、味も。

    全てが一瞬で、正に、瞬きを一度する様な時間で、突如出現した太陽が何もかもを奪い取ってしまえば、何の意味もない。
    未来も日常も、夢も家族も、記憶や想いさえも、何一つ残らない。
    シャルラ連邦の発射した大陸間弾道ミサイル〝ドーン・ベル〟の戦術核弾頭は、半径五〇〇マイルにいた全ての生命を一瞬で蒸発させ、街から人の姿を消した。
    一瞬前まで子供の笑顔と笑い声で溢れていたスクールバスの中には、誰もいなかった。

    ただ、人がいた痕跡と、人影だけが残されていた。
    真新しい靴には、空に輝く第二の太陽が映っていた。

    Date 04/03
    Time 07:47





    その日は、世界が終焉を迎えた記念日。




    人類がそれまで築き上げた全てを自らの手で灰燼に帰した、第三次世界大戦の始まりの日であった。










    序章【anniversary-記念日-】 了
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